新製品誕生まで研究15年! 大正製薬「リアップ」研究施設で知った真摯すぎる研究ぶりに乾杯!
1999年に日本初の発毛効果のある一般用医薬品として発売された発毛剤「リアップ」。その後何度もリニューアルを繰り返しながら発毛成分や育毛サポート成分が強化され、2023年10月には最新の「リアップX5チャージ」が発売となります。
「リアップX5チャージ」は発毛成分の「ミノキシジル」を日本の一般用医薬品として配合できる最大濃度(5%)で配合。さらに6種類の抜け毛予防サポート成分に加え、毛髪に栄養や元気を与える育毛サポート成分の「パンテノール」を初配合することに成功しました。
なんと、この「パンテノール」を配合させるための研究には15年もの歳月を費やし、数百通りもの薬剤の組み合わせを試しながら、ようやく社内の厳しい基準をクリアする製品を誕生させることができたとのこと。15年もかけた新製品ってすごいな!
「リアップ」の研究所を見学してきた
そんな「リアップ」の研究施設が大正製薬大宮工場敷地内にあるのですが、先日メディア向けに研究施設取材の場が設けられたので参加してきましたよ。
取材に応対してくれたのはセルフメディケーション研究開発本部の阿部晃也さん。まずは研究施設内でおこなわれている研究の一部を見学させていただきました。
粉末状の有効成分を溶かすのに苦労する
こちらは発毛成分の「ミノキシジル」と発毛サポート成分を、薬剤のベースとなる基剤に溶かし込む、リアップ次期製品の試作テストの様子。
「ミノキシジル」などの有効成分は粉末になっているため、発毛剤として製品化するには液状の基剤に溶かす必要があるのですが、その成分や投入する順番によって薬剤が溶けたり溶けなかったりしてしまうのだそう。
今回はダミーの試作ということで、あえて左側のビーカーは比較用に水で「ミノキシジル」を溶かしていただいたのですが……
右側は「リアップ」で研究された処方なので有効成分がしっかり溶けて透明になっているのに対し、左側は溶け切らずに濁った状態となってしまっています。これでは安定性を出せず、とても製品化などできません。
最新の「リアップX5チャージ」の開発では、育毛サポート成分「パンテノール」が従来の基剤との相性が悪く、2015年に発売した「リアップX5プラスローション」など、その時々でのベストの製品を発売しながらも地道に研究を続行。その結果どうにか安定して成分を溶解させることができるようになったのだそうです。
頭皮への吸収性を高めるのも大変
ところが、「パンテノール」を入れた状態での溶解には成功したものの、今度は頭皮への吸収性が目標基準に届かないという問題が起きてしまいました。
せっかく有効成分を溶かすことができても、頭皮にちゃんと浸透しなければ発毛効果が得られませんし、吸収しすぎても副作用などの安全性のリスクが生じてしまいます。吸収しすぎても、しすぎなくてもよくないのです。
頭皮への吸収性を確認するのに必要になるのが、シリコン製の人工膜等を用いた「ミノキシジル」の皮膚透過実験。専用の器具に薬液を垂らし、「ミノキシジル」が膜をどのくらいの量が、どのくらいの速度で透過していくのかを念入りに研究します。
しかし「パンテノール」を配合した薬剤は何度試しても基準をクリアすることができず、悩みに悩んだ末に従来から使用していた基材を変更してゼロからの開発に踏み切ることに。
それでも研究は一筋縄ではいかず、同じ成分でもメーカーや順番を変えたりしながら約200通り以上もの処方検討を重ね、ついに社内の厳しい基準をクリア。このたびの新製品「リアップX5チャージ」の発売にこぎつけたのです。
リアップこそが最高峰の発毛剤だという自負
研究を見学しながらお話を伺っていると、少しでも良い製品を届けたいという大正製薬の「リアップ」新製品開発にかける熱量をひしひしと感じることができましたが、研究にそれだけの時間をかけるということはコストをかけるということでもあります。
でも「パンテノール」を配合するために15年もの歳月をかけたと聞くと、すごさを感じるのと同時に「そこまでする必要はあったの……?」と素人ながらに思ってしまったのも事実。単純にコストを抑えられれば、販売価格だって抑えられるはずですし。
そんな疑問を阿部さんにぶつけてみると、返ってきた答えからは“リアップこそが最高峰の発毛剤という自負”が伝わってきました。
「リアップ」は日本ではじめて発売された発毛効果のある一般用医薬品。その当時、僕自身はまだ10代で髪の毛もフサフサでしたが、それでもCMがバンバン流れて話題になっていたのはとても記憶に残っています。ゆえに、発毛剤といえばリアップと脳に刻まれている人はとても多いはずなのです。
阿部さんをはじめ「リアップ」の開発スタッフが大切にしているのは、ユーザーがリアップに対して抱いている高い期待や信頼感を裏切らないこと。そのため、社内ではあらゆる基準を非常に厳しく設定。効果だけでなく安全性も含めてトータルで最高峰の発毛剤を作ることで、ユーザーの期待に応えていこうとしているのです。
となると、より良い製品を開発するためにスタッフが一丸となり、15年もの歳月を捧げることができるのも必然。これぞプロの研究者という姿勢を知ることができました。
容器や塗布しやすさにも徹底したこだわり
「リアップ」のこだわりは薬剤の成分だけではありません。もちろん薬剤そのものが最も大切ではあるのですが、ユーザーのみなさんが上手に塗布することができなければ効果が出るものも出なくなってしまいます。
そこで薬剤同様に力を注いでいるのが容器の改良。最新の容器はもはや“デバイス”だとしていて、新アプリケーターの採用により片手で正確に1回の使用量の1mLを測定でき、細い先端で正確かつ均一に塗布することができるのです。
この最新容器は保管・軽量・塗布の3つの機能がひとつに集約された発毛剤専用デバイスとして評価され、グッドデザイン賞2023を受賞しています。
そして実際に塗布するとなると、その髪型や毛量もさまざま。美容院などでよく見かけるマネキンのいろいろなタイプを用意し、頭皮への塗布しやすさや液の垂れにくさなども念入りにテストしているのです。
実際のユーザーに近い、なんて言ったら失礼かもしれませんが、やや薄毛なマネキンもありました。
マイクロスコープを使った頭皮チェックも研究には欠かせません。頭皮環境研究によって配合成分の選定に繋げているのだそうです。
今回の見学で触れることができたのは「リアップ」の研究のごく一部。公開することができないところで、日夜さまざまな研究をおこない、さらなる新製品の開発を進めているのでしょう。
そんな研究の末に誕生した「リアップX5チャージ」は10月20日新発売。希望小売価格は8140円(税込み)となっています。
【公式】リアップX5チャージ:
https://brand.taisho.co.jp/riup/riupx5charge/[リンク]
(執筆者: ノジーマ)
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