ゾンビを殺すのは犯罪? 「質問きてた!」動画で人気の弁護士が法律問題に回答
私たちが生きていくうえで無関係でいることはできない「法律」。けれど、なんだか小難しくて、その言葉を聞くだけで拒否反応を示してしまう人もいるのではないでしょうか。そうした人たちのために、法律を身近に感じながらカジュアルに学ぶことができる書籍が誕生しました。それが弁護士の岡野武志さんが執筆した『おとな六法』です。
岡野さんは登録者数150万人超のチャンネル「岡野タケシ弁護士【アトム法律事務所】」を持つYouTuberであり、よくSNSで目にする「質問きてた!」の元祖としても知られています。同書に収録されている法律にまつわる疑問は、100万再生以上を記録した動画を中心に厳選されたものとなっています。
たとえば「ゾンビを殺すのは犯罪になりますか?」という質問を見てみましょう。こうしたクスリと笑ってしまうような問いかけに対しても、岡野さんは「ゾンビがもともと人間である以上、殺してしまうと犯罪になる可能性が出てくる」と真摯に答えます。なんと、どの段階でゾンビを殺すかで罪状も変わってくるようです。人間からゾンビになる途中で殺したケースは、このゾンビはまだ人間と言えるため刑法199条の殺人罪に問われる可能性があり、死刑、無期懲役、5年以上の懲役のどれかに当たるといいます。完全にゾンビになったあとに殺した場合は、人間の死体として扱われるため、殺人罪には問われません。ただし、死体を傷つけていることになるので刑法190条の死体損壊罪に問われ、3年以下の懲役になる可能性があるそうです。
「自分の身を守るためにゾンビを殺したなら、正当防衛として無罪になる可能性もあるけど、ゲームみたいにそこら辺を歩いているゾンビを無差別に倒しまくったら完全にアウトやね」(同書より)
いつか『バイオハザード』や『ウォーキング・デッド』のような世界がやってきたときのためにぜひとも覚えておきたい法律知識ですね!
同書は全部で10の章から構成されています。「アニゲー」の章に出てくる「コナン君が使ってるキック力増強シューズは犯罪ですか?」「ウルトラマンが怪獣と戦う中で街を壊すのは犯罪ですか?」といった質問は、子どものころに誰もが一度は気になったことがある疑問として興味深く感じる人も多いのではないでしょうか。
「職場」の章にある「会社で有休を申請しても却下されました。これってどうなんですか?」「キャバクラやガールズバーで副業したら、会社をクビになるって本当ですか?」などは、今まさに悩んでいる人もいる問題かもしれません。ほかにも「学校」「犯罪」「刑務所」「事故被害」「ネット」などのテーマで章分けがされていて、どれも私たちの日常生活に根差した身近な質問が取り上げられています。
今後、ますますコンプライアンスが問われる時代になることは確かです。気軽に読めて法律知識に詳しくなれる『おとな六法』は、現代社会に生きる私たちが目を通しておいて損はない一冊ではないでしょうか。
[文・鷺ノ宮やよい]
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