思い出の潟分校の懐かしい景色と田沢湖ブルー。秋田県仙北市の旅
夏らしいジメッとした暑い日が続くようになるとつい、「どこか涼しくてきれいな自然に癒やされたーい!」なんて気持ちになってしまう私のような方、いませんか?
写真と旅とおいしいものをこよなく愛する写真家・鈴木かなえです。
例年通り夏の暑さにやられはじめてしまった私。美しい自然と涼、ノスタルジックなスポットに癒やされるため、今回は秋田県仙北市の田沢湖と角館周辺の観光スポットを巡る旅をしてきました!
JR東京駅
秋田新幹線で一路、龍神伝説の残る田沢湖へ
旅の始まりはJR東京駅。秋田に行くのは初めての私、ドキドキしながら秋田新幹線の乗り場に向かいます。ホームに上がった私を出迎えてくれたのは、赤い車体がかっこいい秋田新幹線「こまち」!
東京駅からJR田沢湖駅までは約3時間。JR仙台駅を過ぎたあたりから増えてくる車窓の緑。生まれも育ちも東京の私は、窓の外の景色が変わってくると無性にわくわくしてしまいます。どんな見知らぬ世界に出会えるのか、期待に胸が膨らむばかり。
車内でパソコン作業をしていたら、あっという間に田沢湖駅に到着。大きな龍がお出迎えしてくれました。田沢湖駅構内にあるバス案内所でチケットを購入し、路線バス「田沢湖一周線」に乗り込みます。
思い出の潟分校
懐かしい思い出の世界にタイムスリップ
最初の目的地は「思い出の潟分校」(観覧料:大人500円)。最寄りの上田子の木停留所までは田沢湖駅から約20分。バスを降りてふと右を向くと、太陽の光を浴びてキラキラと輝く真っ青な田沢湖が!
この時は知らなかったのですが、地元の方いわく、この上田子の木停留所付近から見る田沢湖が一番ひらけて美しく見えるのだとか。真っ青な空に、深いコバルトブルーの水面。永遠に眺めていたくなる美しい青の世界です。
停留所から歩くこと約10分。思い出の潟分校に到着です。
1974(昭和49)年に廃校になった田沢湖町立生保内小学校潟分校が修復され、2004(平成16)年から思い出の潟分校として一般公開されています。
木漏れ日のさす玄関をくぐり、木造の校舎内に足を踏み入れた瞬間、「うわぁ……」と声が漏れてしまいました。
積み重ねてきた年月の長さを感じさせる、色の濃くなった木目の廊下、太陽の光がさし込む大きな窓、オレンジ色の暖かな光を灯した電球。そこには約50年前に小学生たちが時を過ごしていた建物と空気がそのまま残っていました。
教室にはきれいに整列された机と椅子。
座席に座ると小学生の頃の思い出がふと頭をよぎって、なんともいえないノスタルジックな気持ちに。
建物から授業に使う道具まで、どれも本当にきれいに当時の姿を残していて、管理している方々の愛情を感じます。
目をつぶると廊下を走る子どもたちの足音と笑い声が聞こえてきそうな、今風に言えば「エモい」という言葉がこれ以上なくぴったりな場所。子どもの頃を思い返しながらシャッターを切れば、自分の大切な思い出まで形に残ったようなエモい写真が撮れること間違いなしです。
田沢湖畔周辺
どこまでも美しく広がる田沢湖の青
思い出の潟分校で昔を懐かしんだあとは、徒歩で田沢湖に向かいます。緑に囲まれた道を歩くこと約25分、再び真っ青な世界へ!
田沢湖といえば、423.4mという日本一の水深を誇る湖。透明度の高い湖水と、その青色の美しさが有名です。
空と湖の青を満喫したあとは、大沢停留所から再び田沢湖一周線に乗車。ちなみに、この田沢湖一周線は途中、潟尻停留所と御座の石神社前停留所の2箇所で停車時間を設けています。
潟尻停留所の近くには、たつこ姫伝説をモチーフにつくられたブロンズ像の「たつこ像」があります。
御座の石神社前停留所は、美容にご利益のある「御座石神社」の最寄りの停留所です。田沢湖のシンボルでもあるスポットを巡りながら、約1時間かけてスタート地点でもあった田沢湖駅に戻ります。
プラザホテル山麓荘 1日目
美肌成分たっぷりの温泉での〜んびり
田沢湖駅からホテルの送迎バス(事前予約制)で、この日の宿泊先である「プラザホテル山麓荘」へ向かいます。
田沢湖駅から約30分、ロビーでは秋田の夏の風物詩である竿燈まつりの竿燈が出迎えてくれました。チェックインして部屋に荷物を置き、さっそく温泉へ。
源泉かけ流し100%の温泉は熱過ぎずぬる過ぎず、長湯をするのにちょうどいい温度。一日よく歩いた身体がゆるんでいくのを感じます。
こちらの温泉は、美肌成分といわれる硫黄・硫酸塩・炭酸水素塩の3つの成分を含む他に、天然保湿成分であるメタケイ酸を豊富に含んでいるそう。そのおかげか、湯上がりの肌がいつもより艶々と輝いているような……!
プラザホテル山麓荘の夕食
秋田の郷土料理をお腹いっぱい満喫
温泉で身体を温めたあとは夕食の時間。プラザホテル山麓荘では、地元の食材を使った50種類以上のお料理が並ぶバイキングを楽しめます。秋田の郷土料理をメインとした和食メニューはもちろん、洋食・中華メニューも豊富に用意されていて、何をいただくか迷ってしまいます。
その中でも目を引いたのはやはり、きりたんぽ鍋!
たくさんの具材が入ったお鍋に出汁を注ぎ、固形燃料に着火! しばらく待つとお出汁がふつふつと煮えていい香りが。
食べごろを見計らってお椀によそい、いざ実食。鶏のお出汁がしみこんでやわらかくなったきりたんぽが、口の中でほろほろとくずれておいしい! これはたまりません。
こちらは全て秋田の郷土料理です。海藻を使ってつくられた、やわらかい刺身こんにゃくといった印象のエゴ。卵寒天と豆腐カステラは、秋田ではお茶請けやお菓子として食べられているそうで、素朴な甘さがありました。
ほかにも、焼き立てを提供してくれる牛肉のステーキにデザートとコーヒーまで、お腹いっぱいいただいて大満足の夕食でした。
プラザホテル山麓荘 2日目
一日の始まりは温泉と郷土料理で
2日目は早起きをして露天風呂へ。朝日を浴びた瑞々しい緑を眺めながら入る露天風呂は気持ちよすぎて、ついつい長湯をしてしまいました。
露天風呂から上がったら朝食の時間。夕食と同じく、朝食もバイキングスタイルです。
朝食で特に好きだったのが、スタッフさんに「郷土料理だから食べてみて!」とおすすめされた、ひっつみ汁。
小麦粉を水でこねたものと、たくさんのおねぎ、大根、にんじん、豚肉が入った汁物。おいしすぎて3杯もおかわりをしてしまいました。
ツルンとした舌触りがおいしい秋田名物のじゅんさい。畑のキャビアと呼ばれるとんぶりはとろろにのせて。
朝からお腹いっぱいご飯を食べたあとは、チェックアウトを済ませて、ホテルの送迎バスで田沢湖駅へ移動します。
田沢湖駅駅舎・田沢湖線
美しい光がさすガラス張りの駅舎
ホテルを出発してから約20分、再び田沢湖駅にやってきました。
駅舎全体がガラスでできた田沢湖駅に澄んだ朝の光がさし込みます。
田沢湖線に乗って約25分のJR角館駅へ。
田植えが終わったばかりの美しい田んぼの緑を眺めていたら、あっという間に角館駅に到着です。
抱返り渓谷 遊歩道入り口
オンデマンド交通に乗り、いざ「抱返り渓谷」
角館駅からは「角館オンデマンド交通・よぶのる角館」に乗って、「抱返り渓谷(だきがえりけいこく)」に向かいます。よぶのる角館は予約制の乗合交通サービス。私は東京から秋田に向かう新幹線の中で予約を行いました。
角館駅を出発してから約20分、目的地の抱返り渓谷に到着!
昔は道幅が狭く、人がすれ違う時にはお互いに抱き合うようにしないと進めなかったことから、抱返りと呼ばれるようになった全長約10kmの渓谷。新緑と紅葉の名所として知られ、秋の「抱返り紅葉祭」は多くの人で賑わうそうです。今回は「回顧の滝(みかえりのたき)」を目指して、遊歩道を散策します。
ふと横を見ると緑の中に美しいターコイズブルー! 抱返り渓谷にはいくつかの見所があり、その一つが、この真っ青に輝く川「玉川」です。
遊歩道の入り口から徒歩約3分のところにある「神の岩橋」という鉄橋を渡ると、いよいよ本格的な散策の始まりです。
抱返り渓谷・回顧の滝
自然の美しさに癒やされて
抱返り渓谷の見所の一つ、大きく平らな「茣蓙の石(ござのいし)」。
続いて「誓願橋(せいがんばし)」。
誓願橋を渡るとすぐに、「誓願寺(せいがんじ)」。
誓願寺といっても、実際にお寺はありません。渓谷を流れる水のしぶきが、お寺のお香の煙のように見えることからこの名がついたそう。ここまで来るとゴールまではあと少し。
岩をくり抜いて作られた真っ暗なトンネルを歩いていくと、徐々に滝の流れ落ちる音が……!
トンネルを抜けたその瞬間、あまりにも美しい光景に思わず言葉を失いました。キラキラと輝く木々の間を流れ落ちる真っ白な滝。
遊歩道の入り口から歩いて約30分、「回顧の滝」に到着です。
何度も振り返って見たくなる、というのが名前の由来になったというのも納得の光景。実際、この光景とおさらばするのが名残惜しくて、私は帰り際に何度も振り返ってしまいました。
抱返り渓谷の自然に癒やされたあとは、再び、よぶのる角館で角館駅へ。秋田新幹線で東京へと帰ります。「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」は、往路の降車駅と復路の乗車駅が別で設定できるので、旅の自由度が高まります。
思い出の潟分校で昔を懐かしみ、温泉と秋田の郷土料理を楽しんで、美しい青い世界と自然に癒やされる最高の旅。みなさんもリフレッシュしに、秋田に行ってみませんか?
東京駅
掲載情報は2023年9月12日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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