スマートホームが普及するとどうなる?今後の課題も併せて解説
スマートホームをとりまく現状
自分の周りでスマートホームを利用している人があまりいないと感じている人もいるでしょう。スマートホームに関する話題をよく耳にする割には、あまり普及していないのではないかと感じている人もいるかもしれません。
実は、スマートホームをとりまく現状は日本と海外で大きく異なります。では、どのような状況なのか見ていきましょう。
日本の現状
ICT総研が2021年に「スマートホーム家電の利用動向に関する調査」を実施しました。これによると、日本でスマートホームを利用している人は約13%にとどまるという結果でした。自分の周りにスマートホームを利用している人がほとんどいなくても頷ける数値です。
しかし、その一方で、スマートホームに関して意味を把握している人は26.7%でした。知ってはいるものの、実際には利用していない人が、実際に利用している人と同じくらいいることになります。
さらに、スマートホームという言葉を聞いたことがあるが意味を把握していない人は41.4%でした。これも合わせると約68%です。認知度の割には、実際に利用している人や、興味を持っている人は少ないことが分かります。
海外の現状
Statista社が2022年アメリカと中国、ノルウェーを対象にして調査を実施しました
これによると、スマートホームを利用しているのはアメリカでは81%、中国92%、ノルウェー66%という結果でした。軒並み日本より大幅に高い数値です。特にアメリカと中国では、スマートホームを利用しているのが当たり前といえるくらいに普及しています。
スマートホームが普及するメリット
スマートホームが普及することで、次のようなメリットが得られます。
日々の生活が便利になる
スマートホームが普及すれば、家電製品の操作が楽に行えるようになります。これまでなら、ボタンを押すなどして操作していましたが、スマートスピーカーとIoT家電を連携させていれば声に出して言うだけで操作可能です。何度もボタンを押したり画面を切り替えたりして行う操作をする必要がなくなるため、時間を短縮できるでしょう。
また、手元にリモコンがなくても操作できるのもメリットです。スマホと連携させていれば、外出先からでも自宅にある家電製品を操作できます。例えば、帰宅する少し前にエアコンをあらかじめ付けておくことなどができて便利です。外出先で消し忘れに気づいたときにも、スマホで操作して消せます。
エネルギーの効率化につながる
スマートセンサーを使用していれば、IoT家電を自動的にスイッチオンにしたり、オフにしたりできます。強弱なども自動調整できるため最適な状態を維持できるのがメリットです。手動で電源のオン・オフや強弱・明るさなどの調整をするよりも効率よくエネルギーが使えます。
昨今では、電気代の高騰が続いていますが、そのような中で節電につながるでしょう。
防犯対策を強化できる
スマートロックやスマートカメラがあれば防犯対策になるのもメリットです。手動で鍵をかけていると、たまにかけ忘れてしまうこともあるでしょう。オートロックシステムを採用しているスマートロックなら、玄関から出てドアを閉めると自動的に鍵がかかります。そのため、鍵のかけ忘れてしまうことがありません。
オートロックシステムでなくても、遠隔操作できるタイプのスマートロックなら、外出先から鍵がかかっているかどうか確認できます。もし鍵が開いていた場合には、遠隔操作で施錠できるため防犯対策を強化できるでしょう。
また、開閉履歴を記録できるタイプのスマートロックもあります。
スマートホームのデメリット
スマートホームが普及した場合には、次のようなデメリットにも注意が必要です。
導入コストが高い
スマートホームを導入するには、IoT家電など、スマートホームに対応しているデバイスを買い揃える必要があります。デバイス1つだけなら、それほど高くはありませんが、必要なデバイスを買い揃えると、それなりに導入コストがかかるのがデメリットです。
また、ネット回線の乗り換えが必要になることもあります。例えば、現在使用しているネット回線がADSLやホームルーターなどの場合にはスマートホームにはあまり向きません。そのため光回線への乗り換えが必要です。
高齢者が適応しづらい
スマートホームを使いこなすにはある程度のITリテラシーが必要です。IT機器の扱いにあまり慣れていない人だと、スマートホームを導入してもスムーズに使いこなせないこともあるでしょう。
特に高齢者だとこれまでよりかえって不便に感じることもあります。
セキュリティリスクが高まる可能性
スマートホームでは、家電製品や鍵などを常にインターネットに接続して使用することになります。そのため、不正アクセスや情報漏洩のリスクには十分な注意が必要です。
特にスマートロックに関しては、パスワードが漏れるなどすると、遠隔操作で玄関の鍵を開けられてしまう可能性もあります。防犯カメラの映像も覗き見られるリスクがあるため注意しましょう。
スマートホームの普及を目指す上での今後の課題
日本でスマートホームをこれまでより普及させるには、次のような課題を克服しなければなりません。
継続的な情報発信
日本では、スマートホームという言葉自体は聞いたことがあっても、詳しくは知らない人も多いです。スマートホームに関する十分な情報がないために普及しない面もあります。
そのため、スマートホームに関する情報発信をすることが重要です。スマートホームを導入すれば、どんなことができるのか、何が便利になるのか広く知れ渡ることで普及につながります。
規格の違いを解消する
スマートホームに対応しているデバイスを製造しているメーカーはいくつかありますが、規格がメーカーごとに異なるのが実情です。そのため、同じメーカーのデバイスでないとあまり便利に使えません。メーカーが異なるデバイスだと、連携できなかったり、一部の機能が使えなかったりすることもあるでしょう。
便利に使用するにはメーカーを揃える必要があり、このことが普及を妨げている面もあります。
人材確保
国内メーカーのスマートホーム対応デバイスやIoT家電は、まだまだ種類が少ないのが実情です。選択肢が少ないということで、普及していない側面もあるのかもしれません。
その背景には、製品開発やシステム構築に携わる人材が不足していることが挙げられます。人材が少ないと良い製品も生まれにくいため、人材確保が課題の1つといえるでしょう。
セキュリティ強化
セキュリティ面を懸念してスマートホーム導入をためらう人も多いでしょう。そのため、セキュリティ面を重視した製品が多く登場すれば、スマートホームを導入したいと考える人も増える可能性が高いです。
まとめ
スマートホームが普及すれば、日常生活が便利になりエネルギーも効率的に使えるようになります。しかし、高齢者などITリテラシーがあまり高くない人にとっては不便に感じられるかもしれません。セキュリティリスクを不安視する人も多いです。
そのような理由もあり、日本では諸外国と比べてスマートホームの普及が遅れています。セキュリティ面での不安の払拭やリテラシーの向上などが、スマートホーム普及の鍵を握るでしょう。
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