社会人のコミュニケーションに必須の「科学的思考」を身に着ける方法

社会人のコミュニケーションに必須の「科学的思考」を身に着ける方法

物事を判断するときに、「なんとなく」で捉えて判断してしまうことは誰にでもある。ただ、とくにビジネスの場面で「なんとなく」の印象で判断していたら、損失を出してしまったり、好機を逃してしまうかもしれない。

「なんとなく」はやはり減らすべきだ。物事をデータや数値化など、科学的に考えることができれば、失敗は減り、成果も上がるはず。

■物事を科学的に考えるためにすべきこと

『なぜ君は、科学的に考えられないんだ?』(松尾佑一著、クロスメディア・パブリッシング刊)では、そんな「なんとなく」の判断を減らし、データや事実に基づいて「科学的」に思考できるようになるために、社会人3年目の山田咲良と変人教授班目との共同プロジェクトの物語をとおして冷静で論理的な「科学的な考え方」を紹介する。

伝え方も「なんとなく」ではなく、科学的に考えると、伝わりやすくなる。たとえば、意味や定義をちゃんと理解できていない言葉は使わない。説明の起承転結が一本道になるように意識する。意味をわかった上で、数値を用いて説明する。一文が長くならないようにするなどだ。

これらの中でも、起承転結は人に物事を伝えるときの基本的な構成となる。「起」で状況を説明する。「承」で問題提起・状況の変化。「転」で解決方法・状況の変化に対する対応。「結」でどうするのかのまとめをする。というように起承転結は使う。自分が他者に伝えようとする際に、構成を考えて、そしてそれぞれの構成が論理的につながるように説明することを意識することが大切になる。

ただし、起承転結の型に収まらない場合もあるので、注意しなければならない。それは「解決方法自体を一から考えよう」というテーマや「そもそも何も変化を起こす必要がない物事・状況」を扱う場合などだ。このような場合は、「序論」で状況説明。「本論」で具体例。「結論」でまとめる。というような構成で説明するのがふさわしい。

また、自分が書いた文章やプレゼンのための原稿などを人に伝える前に自らで声に出して読み上げてチェックすることは重要。自分で読んでみて引っかかる場所は、相手にとっても理解しにくい部分だからだ。

認知心理学を研究する高橋麻衣子氏によると、人は活字媒体を理解するときに、声を出して読むほうが、黙って読むことよりも理解できるという実験結果が報告されている。一度声に出して読むことで、自分自身も理解し整理でき、相手にも伝わるプレゼンができるようになるのだ。

「なんとなく」ではなく、科学的な視点で物事を捉え、伝えることで、仕事の場面でも役に立つはず。本書は思考やコミュニケーションを科学的なものに変えるために大いに役立ってくれるはずだ。

(T・N/新刊JP編集部)

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