浦和レッズが導入! スポーツチーム応援アプリ「マイクロオーナーズ」は新たな収益源確保につながるか
よしだたつき:WBCが非常に盛り上がった。この熱をコロナ禍で大打撃を受けた日本のスポーツ界に何とか反映したいと考えている関係者は多いと思う。
スタッフ15号:無観客や入場制限の影響が尋常じゃなかったと聞く。
よしだ:サッカーJリーグを例にすると、19年度は増収35クラブだったのに対し、20年度は増収13クラブとなり、リーグ全体でクラブ運営が困難だった状況が分かる。21年度は46クラブが増収、営業収益はクラブ合計でコロナ前の規模(19年度対比97%)に戻りつつあるけど、入場料収入はコロナ前の54%にとどまっている。
15号:逆に言うと、入場料以外のところで収益を伸ばしたクラブが多かったのか。
よしだ:近年ではクラウドファンディングを実施したり、選手の会見にギフティング機能を取り入れたり、各クラブが財源の確保に尽力している。それで、今回は「MICRO OWNERS(マイクロオーナーズ)」というスポーツチーム応援アプリが新たに登場して、第1弾としてJ1の浦和レッドダイヤモンズが導入を決定したということで、サポーター目線で会見に参加してみた。
新たな収益源の確保へ
よしだ:マイクロオーナーズのモバイルアプリをダウンロードすると、ファンが日常生活の買い物で電子マネー(※)決済するごとに、応援ガチャチケットというのが付与される。
※PayPay、au PAY、d払い、LINE Pay、楽天ペイ、メルペイ、pring(プリン)に対応
15号:日常の生活と応援が紐づいているのか。生きているだけで推しの役に立つ、と。
よしだ:ただし、ガチャを回すにはメダルが必要で、1枚200円、5枚900円、10枚1600円で購入することができる(4月24日まではリリース記念として50%オフの1枚100円で提供)。だから厳密に言うと「生きているだけで」とは違う。そしてガチャを回すと、決済手数料などの諸経費を差し引いた応援金がチームへ送られる仕組み。
15号:電子マネー決済と連動してもらえる応援ガチャチケットは、“応援金を送る権利”が得られるような感じかな。そして、そのチケットを使ってガチャを回すには有料のメダルが必要です、と。ガチャを回すと何がもらえるの?
よしだ:選手のメダルがもらえて、コレクションできる。レア度がそれぞれ1~4に設定されていて、余談だけど、チームマスコットであるレディアのレア度が最も高く設定されているのは、レッズのファン・サポーターからするとクスっと笑えるポイント。
15号:そうなんだ(笑)。でもメダルを集めるだけというのは、ちょっと……。
よしだ:あとは、応援金に応じたオーナーズランク(ブロンズ、シルバー、ゴールド)が付与されて、チームからの感謝としてランク別のデジタルコンテンツが毎月配信される予定。クラブごとに内容は異なると思うけど、YouTubeやInstagramなどの公式SNSでは配信していないコンテンツをマイクロオーナーズ向けに提供するクラブもあるんじゃないかな。
ファン・サポーターに定着なるか
15号:ファン心理としては、このサービスどうなの?
よしだ:クラブがいろんな選択肢を提供してくれるのはポジティブな印象。あとはクラブからのリワード次第かな。結局のところグッズを購入した方がいいかも……という可能性はある。推しに貢ぎたい気持ちはあるから、電子マネーの決済時に数パーセントのチップを上乗せしてクラブへ自動的に応援金を送って欲しい、というコアファンもいるかも(笑)。
15号:それこそまさに「生きているだけで」ってヤツ(笑)。
よしだ:細かいことを言うと、現状は電子マネーで決済する際に、毎回マイクロオーナーズのアプリを立ち上げるワンステップが必要になる。各電子マネー決済事業と連携してこのひと手間が省ければもっと使いやすいかなと思った。
15号:まだ参加クラブがひとつだけだから、今後いろいろと改善されていくかも。フィードバックを受けながら参加クラブを増やしていくのが課題かな?
よしだ:他のJリーグクラブだけでなく、野球やバスケットボールなど他のプロスポーツへの展開も視野に入れているとのこと。浦和レッズの場合、コロナ禍による入場制限で、20年度と21年度の入場料収入が19年度比で約20億円の減少だった。スポンサーや観客動員数だけではない新たな収入源を確保して、コロナのような予想外の事態に備えておくのはどのクラブにとっても重要だと思う。
15号:Jリーグ最大規模のファン・サポーターを抱えるクラブがどのくらい成果を上げるのかは気になる。見守ってみましょう。
よしだ:加えて、このサービスで割とポイントだと思ったのが、提携しているホームタウンの飲食店や施設のお得なクーポンを受け取ることができる(予定)ということ。クラブを応援しながら、同じくコロナ禍で打撃を受けた飲食業などを応援することができて、住んでいる街の活性化に繋がることが期待できる。ファンとクラブと地域が循環する仕組みとしては、今後の展開に注目したい。
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