紙巻たばこ→加熱式たばこ切替えで呼吸器疾患のリスクは低減する? 最新の研究によると……
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フィリップ モリス ジャパンは、世界各国で導入が広がる“たばこハーム・リダクション”を主要テーマとした「メディカル&サイエンスセミナー」(全三回)を昨年より主催。1月27日に開催された第三回「COPD患者におけるたばこハーム・リダクション」では呼吸器疾患の権威であるカターニャ大学のリカルド・ポローザ教授が登壇し、COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease、慢性閉塞性肺疾患)患者に対して加熱式たばこ使用が与える健康影響について、最新の科学的エビデンスが紹介された。
喫煙者にリスクが伴うCOPDとは
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COPDとは、有害物質が原因で肺が炎症を起こす病気で、日本ではその原因の90%以上が喫煙によるものとされている。階段昇降などで身体を動かした時に息切れを感じるほか、慢性の咳や痰といった症状が特徴的だ。病気自体の認知度が低く、症状があっても受診していないケースも多いというが、日本国内で500万人以上の患者が存在すると推定されている。
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「最も効果的な解決策は禁煙」だと指摘するポローザ教授だが、「(たばこに含まれるニコチンには)依存性があり禁煙は困難、特にCOPD患者はその傾向が強い」という。実際に、COPDの診断を受けたあとも約2割が喫煙を続けているとの研究報告もある。
加熱式たばこは「より安全な選択肢」
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喫煙を続けるCOPD患者が多く存在する事実に対して、問題解決のための新しいアプローチとして広がりつつあるのが“たばこハーム・リダクション”という考え方だ。これは、「吸っていない人は吸い始めない」「喫煙している人は禁煙する」のがベストな選択肢であることを前提に、これからも喫煙する意思のある喫煙者に対しては、より害の少ない選択肢への切替えを促していくというもの。
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紙巻たばこの煙に含まれる有害性成分の発生は“燃焼”によって起こるが、加熱式たばこではたばこ葉を“加熱”することによって、発生する有害性成分の量を大幅に低減している。紙巻たばこの煙と比較して、IQOSから発生するベイパー(蒸気)に含まれる有害性成分の量は平均して約95%低減しているという化学的分析が報告されている。
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実際に、加熱式たばこに切替えたCOPD患者を3年間にわたって追跡調査(※)したところ、紙巻たばこの消費が著しく減少した結果、呼吸器症状の改善や重症化の軽減が見られた。ポローザ教授は、「加熱式たばこの使用による呼吸器系への重大な悪影響が出る可能性は低い」「COPD患者にとって、加熱式たばこは紙巻たばこに代わるより安全な選択肢である」と結論付けた。
(※紙巻たばこ喫煙者24人と、加熱式たばこユーザー24人を比較)
たばこハーム・リダクションの浸透へ
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フィリップ モリス インターナショナル 科学渉外アジア担当の飯田朋子ディレクターは、たばこハーム・リダクションには「害の低減が科学的に実証されているかどうか」、さらに「喫煙者にとって紙巻たばこの代替品として受け入れられる製品であるかどうか」が重要だと説明。
「長期的な研究がさらに必要」だとした上で、「これまでのデータから、紙巻たばこから加熱式たばこへ切替えた方がリスクが少ないと言える」と、加熱式たばこへの切替えがCOPDや、有害物質に起因するその他疾患の解決策への一助となる考えを示した。
一方で、「喫煙者の15~20%がCOPDを発症すると言われている」「日本においては男性の死因の9位(2021年時点)となっているにも関わらず、COPDの認知度は27.8%(2019年時点)と非常に低いのが現状」と、煙のない社会の実現を目指す同社として、COPDの認知度を上げ、たばこハーム・リダクションの有効性を提唱していく重要性を説いた。
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