「失敗を愛する」 大病や失敗を乗り越えられる人はどう困難と向き合っているのか
私たちの人生は常に平坦ではなく、大小さまざまな壁が立ちはだかる。そして、その困難を乗り越えるために考え、動いたときに初めて成長できる。
34歳のときにステージIIIの精巣がんが見つかり、即手術。その後も狭心症で心臓を手術したり、頚髄損傷を負ったりするなど、病気やケガに悩まされた。また仕事においても、大規模なシステム開発で納期に間に合わず、訴訟沙汰になりそうになったこともあった。
それでも立ちはだかる困難を乗り越え、挑戦を続けた。がんの手術から2年後、会社から独立をして自分のビジネスを立ち上げ、1人で年商1億円を稼ぐまでになった人物が奥村哲次氏だ。
奥村氏は困難を克服する力を「乗り越え力」と名づけ、成長し続けるために必要なことを『乗り越え力: 僕ががんから生還して年商1億円フリーランスになった理由』(日本ビジネス出版刊)という一冊の本にまとめた。
■失敗こそ愛する。乗り越える力を身につけるための土台
奥村氏は本書の冒頭で、こう述べている。
苦しみは、それを乗り越えることで自分を成長させてくれます。苦難を乗り越え、それを成長の糧に変えていける力があれば、人生は何倍も楽しくなります。そして、それはちょっとした心の持ち方や考え方を変えることで身に付くのです。(p.6より引用)
困難を乗り越え、人生を楽しくするためには、心の持ち方や考え方を変えたり、身につけることが大事だ。
しかし、それを阻む心理もある。「失敗」に対する恐れだ。
どんなに小さな挑戦であっても、失敗はつきもの。そして、その失敗が怖いと思っている人も少なくないだろう。
しかし、奥村氏は失敗したからこそ、前進があると述べる。そこで大切なのは、失敗をしたプロセスを分解し、一つ一つ点検していくことだ。「ここで躓いた」というポイントを発見し、それをどう改良するか。多くの反省点から、教訓を得る。成功せずとも、大きな成長ができる機会なのだ。
アメリカ・シリコンバレーのベンチャーキャピタルは、失敗の経験を持つ起業家に将来性を感じて投資するとも言われる。「失敗経験はプラス評価」という考え方は、乗り越える力を身につけるための土台ともいえるはずだ。
■病床で気持ちを「切り替え」。それが人生の決断のスピードを上げた
本書では「乗り越え力」とともに3つの思考法が紹介されている。「切り替え力」「合理化思考」「アイデア術」だ。そのいずれも「乗り越え力」とつながっていて、失敗から学び、成長し、挑戦するための必要不可欠な要素となっている。
例えば「切り替え力」。
父親の手術に立ち会う機会を利用して受けた診察で、突然がんを宣告された奥村氏は、当初何も考えることができず、駐車場で1時間ほど泣いていたという。すぐに手術を受け、無事に成功。その後の経過も良好だったが、奥村氏はその病床で自分に与えられた時間の短さと大切さを実感していた。
悩む価値のないことを、いつまでも悩んでいる時間はない。「がん」との対峙は奥村氏にとって、悩む問題ではなかった。それは悩んだとしても、自分で解決できることはないからだ。
その「切り替え」がすばやかったからこそ、奥村氏は人生を加速することができた。いずれは社長になろうと思って計画を立てていたが、予定を1年前倒しする形で、手術から2年後に独立を果たした。
大規模プロジェクトの責任者をやりきった自信、新しいステージへの期待、自分が大病を患ったときにサポートをしてくれた仲間たちの存在という背景も大きいが、「自分に残されている時間は短い」という思いへの「切り替え」が、奥村氏のジャッジを加速させたのだ。
◇
もう2つの「合理化思考」や「アイデア術」では、奥村氏のビジネス観がつづられている。なぜ毎年1億円近い年商を上げながらも、時間に追われることなくサーフィンを楽しむことができるのか、その秘訣が明かされている。
困難が目の前に聳え立った時に、どのように考え、いかに早く行動をするか。それがその後の人生に大きく影響を及ぼす。もし失敗が怖いと思うなら「乗り越え力」を身につけてほしい。一つ一つクリアしていけば、いつの間にか「挑戦体質」になっているはずだ。
(新刊JP編集部)
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