映画音楽の地位を高め、作曲家として類稀なる才能を発揮した伝説のマエストロ『モリコーネ 映画が恋した音楽家』
忘れないー。マエストロが遺した永遠のメロディ。
芸術の深淵を見た彼が、カメラの前で最後に語ったこととは─?
2020年7月、世界は類稀なる存在を失った。エンニオ・モリコーネ、享年91歳。
500作品以上の映画とTVの音楽を手掛け、アカデミー賞(R)に6度ノミネートされ『ヘイトフル・エイト』(15)で遂に受賞、全功績を称える名誉賞にも輝いた。
そんな伝説のマエストロに、弟子であり友でもあるジュゼッペ・トルナトーレ監督が密着、結果的に生前の姿を捉える最後の作品となってしまった音楽ドキュメンタリー映画『モリコーネ 映画が恋した音楽家』が1月13日(金)に公開決定。
モリコーネが世界的にその名を広める発端でもあり、世界的なマカロニウエスタンブームの引き金となったセルジオ・レオーネ監督『荒野の用心棒』(64)のテーマ曲“さすらいの口笛”誕生の秘話や当時の想いを、主演を務めたクリント・イーストウッドやモリコーネ本人が語る本編特別映像も解禁されている。
彼が世界的にその名を響かせる発端になった『荒野の用心棒』(64)のテーマ曲“さすらいの口笛”。本作の大ヒットをきっかけに<イタリアで作られる西部劇=マカロニウエスタン>のジャンルを確立、そのブームの立役者として広く名前を知られることになったセルジオ・レオーネ監督によるものだが、すべての発端は、小学校時代の同級生だったレオーネ監督から「『荒野の用心棒』はこの雰囲気だ」と、黒澤明監督『用心棒』(61)の映像を見せられたことからだったという。
レオーネ監督の要望を受けたモリコーネは早速、彼のイメージに合うように米国の歌手のためウエスタンの曲を独創的に編曲。その上でさらに、全てをオリジナルでゼロから楽曲を書き直すという変遷を経て、結果的に、それまでの映画音楽ではほぼ使われることの少なかった「口笛」や「チャルメラ」、「金床」「鐘の音」なども効果的に楽曲として採用、“さすらいの口笛”に象徴されるように、シンプルながらも記憶に残るこれらの独創的なメロディが生み出された秘話が明かされている。
主演を務めたクリント・イーストウッドが「当時あれほどオペラ的な西部劇の曲はなかった」と振り返るように、まさに、当時は「カルチャーショックだった」モリコーネの音楽。
本作以降、モリコーネ以外とはタッグを組まず、その監督と作曲家という関係を超え、創作においても彼に全幅の信頼を置いていた、というレオーネ監督の逸話も残るほど、周囲の予想を遥かに超える革新的な音楽を生み出し続けたモリコーネの作曲の秘密、そして想いが垣間見えてくるようなシーンともなっている。
モリコーネ自らが自身の半生を回想し、かつては映画音楽の芸術的地位が低かったため、幾度もやめようとしたという衝撃の事実の告白、そして、いかにして誇りを手にしたか。
数多の傑作の名場面とワールドコンサートツアーの演奏と共に紐解かれ、さらに、クエンティン・タランティーノ、クリント・イーストウッド、ウォン・カーウァイ、オリバー・ストーンら70人以上の著名人のインタビューによって、モリコーネの仕事術の秘密が明かされる本作。
モリコーネのメロディを聴くだけで、あの日、あの映画に胸を高鳴らせ涙した瞬間が蘇る。同じ時代を生きた私たちの人生を豊かに彩ってくれたマエストロに感謝を捧げる、愛と幸福に満ちた音楽ドキュメンタリー。
2023年1月13日(金)
TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー
公式HP : https://gaga.ne.jp/ennio/
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ『ニュー・シネマ・パラダイス』『海の上のピアニスト』
原題:Ennio/157分/イタリア/カラー/シネスコ/5.1chデジタル/字幕翻訳:松浦美奈 字幕監修:前島秀国
出演:エンニオ・モリコーネ、クリント・イーストウッド、クエンティン・タランティーノほか
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