北海道日本ハムファイターズはいつから変な感じになってしまったのか

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2022年もプロ野球シーズンが終わろうとしている。我らが北海道日本ハムファイターズは開幕から苦しい戦いが続き、今をときめく大谷翔平選手がルーキーだった2013年以来の最下位となってしまった。シーズン前の下馬評も低く、最下位という結果もそれほど以外ではないためショックも少ないが、やはりファンとしては札幌ドームラストイヤーを最下位で終えるというのは寂しい気持ちがある。

2004年に北海道札幌市、札幌ドームに本拠地を移し、19シーズンを戦った。2006年には移転後初のリーグ優勝、44年ぶりの日本一を達成した。2007年にはリーグ連覇、2009年、2012年、2016年と移転後リーグ優勝5回、日本一2回と黄金期を築き上げた。しかし2016年のリーグ優勝、日本一を最後に、6シーズンでBクラス5回(5位4回、最下位1回)と苦しんでいる。移転後から2010年代前半までは常にAクラス争いをしてきたチームが、どうしてこのような形になってしまったのだろうか。

2019年8月に狂った歯車がまだ戻っていない

2017年オフ、大谷翔平投手がメジャーリーグに移籍した。その他にもリリーフの増井浩俊投手、クリス・マーティン投手、主力だった大野奨太捕手が移籍。大きな戦力ダウンがあったファイターズの2018年の下馬評はかなり低かった。しかし上沢直之投手が大ブレイクし、野手陣も奮闘。終盤は失速して3位に終わり、選手層の薄さが露呈してしまったが、翌シーズンへ向けての希望が見えたシーズンだった。

そして2019年、ファイターズは7月まで優勝争いの中心で戦い続けた。7月末時点で首位ソフトバンクとのゲーム差は0.5。前半戦終了時に7あったゲーム差を後半戦開始から9勝1敗と驚異の追い上げを見せた。
迎えた8月。札幌ドームで行われた楽天との三連戦最終戦。ここを1-3で敗れ、カード1勝2敗で負け越すと、一気にファイターズの歯車が狂い始める。8月には9連敗、9月にかけて8連敗と大型連敗で黒星を重ね、日に日に順位は降格。最終的には5位でシーズンを終えることになった。

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この連敗の間、全く投打が嚙み合わなかった。打てばそれ以上に打たれ、抑えてもそれ以上に抑えられた。肝心なところでエラーやミスが連発し、自滅した試合もあった。なんとも気持ち悪い期間だった。戦力は大きく変わっていないのに、負け続ける。好調だったシーズン前半のベストメンバーと、8・9月のベストメンバーが以下の通りだ。

【前半戦の主なベストメンバー】
8西川
9大田
7近藤
3中田
D王
5横尾
4渡邉
2鶴岡
6中島卓也

【8月9月の主なスタメン】
8西川
9大田
7近藤
D中田
4渡邉
3清宮
5石井(横尾、平沼)
2清水(宇佐見)
6中島卓也

新外国人の王柏融選手が故障を繰り返し、期待を寄せられた横尾俊建選手がイマイチ爆発しなかったのは誤算だったが、石井一成選手、平沼翔太選手がレギュラー争いを繰り広げ、夏には開幕前に故障した清宮幸太郎選手が戻り、戦力的には好調だった時期と見劣りはしない。

この魔の8月で狂った歯車は、翌シーズンにまで続いてしまう。
ファイターズが“変な感じになってしまった”のはこの2019年8月からと言って良いだろう。

噛み合わない2020年、2021年。そして誰もいなくなった…

コロナ禍で開幕が大きくずれ込んだ2020年シーズン、主砲の中田翔選手は打率.239ながら31本塁打108打点で打点王、ベスト9を獲得する活躍を見せ、近藤健介選手は最高出塁率、西川遥輝選手は打率3割超え、大田泰示選手も春先の不調はあったが打率.275、14本塁打と成績を残した。しかしその一方で、チーム防御率4.02と投手陣が崩壊。2桁勝利到達者なしに終わった。得失点差-35のためもう少し投手陣が締めるところを締めていればもう少し上位も望めたのではという成績だった。

そして2021年、チーム防御率は3.32と一気に復調する。エース上沢投手、ドラフト1位ルーキー伊藤大海(正式表記は毎ではなく母)投手が2桁勝利を達成。堀瑞輝投手は60試合に登板して39ホールドで最優秀中継ぎのタイトルを獲得。他のリリーフ陣も成績が安定していた。だが今度は打撃陣が極度の貧打に。中田翔選手は打率.193、4本塁打の低調な成績で、シーズン中にはチームメイトへの暴行事件を起こし巨人にトレード。西川遥輝選手も盗塁王を獲得したが打率.233、大田泰示選手も打率.204と終始打撃不調に終わり、シーズンオフにノンテンダー移籍となりチームを離れた。この年のチーム打率は.231。2020年が.249と大きく打率を下げてしまった。

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狂った歯車が元に戻らず、主力が軒並み不調の上、移籍でチームを離れた。そんな苦しい時期に監督に就任したのが新庄剛志BIGBOSSだった。

最下位だが…希望の光が見えつつあるBIGBOSS政権

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「優勝を目指さない」「レギュラーはひとりもいない」とシーズン前に打ち出し、2022年シーズンをトライアウトイヤーと位置付けたBIGBOSS。宣言通り、支配下登録選手ぼぼ全員を1軍の試合に出場させた(未出場は故障中のガント投手のみ)。春から終始最下位独走となったシーズンだったが、確実に光も見えてきている。

ハイアベレージを維持して首位打者のタイトルをほぼ確実にしている松本剛選手。打撃面が大幅に改善された宇佐見真吾捕手(32試合打率.116→79試合打率.254)。万波中正選手、今川優馬選手は粗削りながらキャリアハイの成績を残し、2021年1軍未出場だった清宮幸太郎選手も17本塁打とこちらもキャリアハイを更新。ドラフト下位指名の新人の北山亘基投手、上川畑大悟選手も積極的に起用し、貴重な戦力になっている。チーム本塁打数は2021年の78本から激増の97本。2018年以来のチーム100本塁打の可能性もある。

これらの選手はまだまだ若く、年間を通してコンスタントに試合に出るのは2022年が実質初めて。来年、再来年あたりにそれぞれの選手が爆発してくれれば、上沢投手、近藤選手ら既存主力と合わさって、新たな黄金期を築き上げることも可能であると考える。

それでも2022年はチーム打率.232、総得点442。ホームランは増加しているが、打率だけ見れば極端な打撃不調だった2021年の.231と同等だ。首位打者の松本剛選手がいてこの数字なのだから、他の選手はまだまだ打たなければならない。優勝、日本一を達成した2016年はチーム総得点619。単純に今より200点近く得点を取らなければならない。即戦力外国人の獲得など、補強しなければならない大きな課題である。リリーフ陣、クローザーの補強や成長も課題だ。これらの課題を解決できる戦力に若手が成長できるのか、それ次第でファイターズの今後の未来は大きく左右されると思っている。
新球場移転を2023年に控えたチームは、今まさに大きな転換期を迎えている。

※2022年成績は9月27日試合開始前時点のもの

(Written by 大井川鉄朗)

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