グローバル化は終末思想
今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
グローバル化は終末思想
新興宗教とかで、この神様を拝むと幸せになります。もうすぐ世界の終わりがやってきますが、私達だけは助かりますとか、よくあるパターン。
危機感を煽るというのはかなり有効な手段。でも実際に危機が来ないと切羽詰まってくる。で集団自殺したり(1978年のガイアナ人民寺院事件とか)、サリン事件のように自分たちで危機を起こすことになる。人々の幸せを願う宗教のはずが、不幸を願うようになってしまう。
最近では自分の主張の正しさを証明したいがために、アベノミクスの失敗を望んでいる人たちとかも、同じ心境なのだろう。人間というのは変わらない。
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ノマド礼賛ももはやカルトだと思うのだよね。だいたいノマドの定義がどんどん拡大されている。企業内ノマドとか多国籍企業自体がノマドなんだとか言い出してる。あと精神的ノマド?(笑)。
喫茶店でノートパソコンを広げることと多国籍企業の今後の方向性、そんなダイナミックレンジの広いものを「ノマド」と言う言葉で一括りにしたって、ろくな分析はできないだろう。なんでもありのご都合主義な結論になるだけだ。
なんか疑似科学の「癌に効く○○」が、どんどん有効範囲が広がって、最終的にどんな病気にでも効く万能薬なっていくプロセスを見ているようだ。矛盾を解決しようとすると、どんどん拡張していくしかなくなるんだよね。
ダイナミックレンジの広さ、たとえば世界の救済と身近な善行ってのも新興宗教の特徴かもしれない。「あなたの小さな努力が世界救済につながってるのです!」これは嬉しいよね。
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新興宗教の問題解決方法というのは、一種のバブルで、実態がない。どうすれば人は幸せになれるか?その新興宗教を信じ、さらに多くの人々に広めれば、人々は幸せになれる。なんかおかしくない?(笑)。
ノマドのセルフブランディングもこれと同じだよね。ノマドでどうやって生きていくか? 人々にノマドの素晴らしさを広めることで講演料とか本の売上とかで儲ける。
ネットの有名人が互いに褒め称え合うのもなんかこれに似ていて、俺は好きになれない。「○○さんはすごいんですよ」「いえいえ、そういう××さんこそすごいんです」。虚飾の拡大再生産。教祖が1番弟子を褒め、1番弟子が教祖を持ち上げる。どんどんバブルが拡大していく。相互再帰(笑)。
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でまあ、そういう人達にとっては、そろそろ世界の終末が来てくれないと困る。自分たちの支持者以外は不幸になってもらわないと、自分たちの正しさが証明できない。
でも「空から恐怖の大王が降ってくる」みたいな終末は、もう現代では信じて貰えそうにない。もっと現代的でリアリティのあるものでないと。
それがグローバル化だと俺は思う。だってそっくりだよね。もうすぐグローバル化が起きて、人々はどんどん不幸になっていきますよ。そこから助かるには我々の信仰(ノマド)を信じるしかないのですよ。信じない人(普通の会社員)は自業自得でどんどん不幸になっていきます。生き残れるのは我々ノマド教の信者だけです。
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そういう人達は世界の終末(グローバル化)が来ないと困る。なのでもし待ってても来ないなら、自分たちで起こそうと考えてるかもしれない。某社の暴言(グローバル化が起きて、日本人は富豪と貧乏人に二分されるんだ)にも、意外と支持者がいるのは、そういうことではなかろうか。
世界が滅びるのを願っている人達がいるのだ(笑)。そしてそれが運命だと多くの人達が思い始めている。1999年に世界の終末が訪れると信じていた人がいるように。
ちょっと前に地球温暖化ブームの時は、明日にでも手を打たないと、地球が滅びるかのように多くの人が大騒ぎしたよね。あれはどこに行っちゃったんでしょうね。いまはグローバル化&ノマドブームなのだろう。集団幻想だと思うよ。
考えてみれば地球温暖化も何百年後かに起きるか起きないかわからないことについて、「とにかくいま何とかしなきゃ」と大騒ぎだった。グローバル化も仮に起きるとしてどれだけ先を想定してるんでしょうねぇ。
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地球温暖化の場合、個々のあまり本質的でない事柄(ヒートアイランド現象やツバルの水没)を、地球温暖化に結びつけて、さんざん危機感を煽った。グローバル化もそれと同じなんじゃ。ただの円高デフレに過ぎないものを逃れようのない世界全体のグローバル化の流れである、と(円高になれば輸入によって国内産業が圧迫されるのは当たり前)。
少し冷静になって考えてみたらいいんじゃないの?デフレによる日本の賃金下落を地球規模のグローバル化だというのは、ヒートアイランド現象による都市部の気温上昇を地球規模の温暖化だと騒ぐようなもの。
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先進国の大半の国民が途上国と同じ生活レベルになるなんてことになったら、それは先進国の国民にとっては受け入れがたいわけで、何らかの対策を打つはず。やっぱ(途上国を含めた)全世界の幸せもいいけど、優先すべきは自分たちの幸せだからね。自分たちの幸せよりも世界全体の幸せを願うなんて奇特な民族は日本人だけ(笑)。
実際欧米はその時その時自分たちに都合のいいルールを「これがフェアなルールだ」と日本に押し付けてきた。グローバル化も同じ。欧米諸国の自分たち国民が損をする状況なら、ルールを変えるはず。彼らが求めるのは、あくまで自分たちの幸せを確保した上での、世界全体の幸せなのだから。
グローバル化をせいぜい自分の給料がちょっと下がるぐらいにイメージしてる人が多い。その状態でも相変わらず日本の治安はいいし行政サービスも医療も維持されていて、コンビニにいけば弁当が買える。大半の国民の給料が途上国並みに下がった状態で、日本の社会が現在の姿を維持しているとは思えないのだけどね。税収だって激減するだろうし。
しかもグローバル化だというのだから、日本だけでなく先進国もみんなそうなるということだ。自分たちの国がそんな状況になっていくのを日本はともかく、アメリカやEUが「これが世界の流れだ」とか言って、なんの手も打たずに放置しておくんでしょうかね。俺にはイメージが出来ないのだが。
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もともとグローバル化というのは、世界中のさまざまな国や民族の多様性を有効活用しようというものだったと思うんだよね。多様性というのは本質的に不平等なものだ。
ところが最近いわれているグローバル化ってフラット(均一化)の方向だよね。平等の名の下になにもかも(特に賃金や物価)を同じにしてしまおう、と。いつの間にかこっそりすり替えたのは誰なんでしょうねぇ。
今グローバル化を信じている人というのは、きっと1999年に世界が滅亡することも半分ぐらい本気で信じていて、地球温暖化なんかはもう120%信じていた人だろう。あるいは信じている人を上手に利用して金儲けをした人。
執筆:この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年4月30日時点のものです。
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