ミュージカル『るろうに剣心』でヒロイン・薫役に抜擢の21歳 井頭愛海の魅力
10年前に「全日本国民的美少女コンテスト」で審査員特別賞に選ばれたことをきっかけにデビュー。以降、NHK連続テレビ小説『べっぴんさん』でヒロインの娘役を演じて注目されるなど、女優として順調にキャリアを積んでいる井頭愛海さんが、17日から上演のミュージカル『るろうに剣心 京都編』でヒロイン・薫役を演じています。映像作品でも、優等生の女子高生役からぶっ飛んだ役柄まで幅広い役柄をこなす彼女の演技の魅力と初舞台への彼女の意気込みを紹介します。
★“国民的美少女コンテスト”出身、朝ドラ『べっぴんさん』ヒロインの娘役で注目
今回のミュージカル『るろうに剣心 京都編』は、井頭さんにとって初の舞台出演にして初ミュージカル。これまで多数の人気ドラマに出演している彼女だけに意外です。「『舞台をやったほうがいいよ』とよく言われてきたので、自分がどう変われるのかということがすごく楽しみ。お客さんの前でお芝居をするのは初めてですし、その臨場感というものを考えるだけで楽しみです」(GirlsNews2022年5月掲載、以下同)と喜びを表しています。
そんな彼女は2012年、小学生のときに「第13回全日本国民的美少女コンテスト」で審査員特別賞を受賞。その後、“次世代ユニット”といわれたアイドルグループ「X21」のメンバーとして活動すると同時に、女優活動も開始。2017年にはNHK連続テレビ小説『べっぴんさん』でヒロイン・芳根京子さんの娘役を演じ、注目されました。
その後も『明日への約束』(2017年、カンテレ/フジテレビ系)、『さくらの親子丼2』(2018年、東海テレビ/フジテレビ系)、『少年寅次郎』(2019年、NHK)、『ラーメン大好き小泉さん 二代目!』(2020年、フジテレビ系)などドラマを中心に多数の話題作に出演。2020年には初主演映画『鬼ガール!!』が公開されました。今年に入ってからもドラマ『妖怪シェアハウス-帰ってきたん怪-』(テレビ朝日系)に出演。6月に公開される同作の映画版『妖怪シェアハウス 白馬の王子様じゃないん怪』にも出演します。
井頭さんがこれまで出演した作品のラインナップを見てみると、やはり注目されるきっかけとなったNHKのドラマで大事に育てられている印象があります。朝ドラ後も『少年寅次郎』、『ハムラアキラ〜世界で最も不運な探偵』(2020年)ではヒロインや印象に残る役柄を演じ、2021年からBSプレミアムで放送されている(基本的に)一話完結30分のショート時代劇シリーズ『誰かに話したくなる山本周五郎日替わりドラマ』では主人公を三度演じています。その演技力はもちろん、彼女の清純でひたむきなキャラクターはNHKとの親和性も高く、いずれ朝ドラヒロイン役を演じる日が来るのが楽しみです。
★極端な二面性など難易度の高い役柄で発揮される高い演技力
井頭さんは女優デビュー当時からその高い演技力で定評がありました。2018年に放送された『さくらの親子丼2』では記憶喪失で、妊娠していることがわかった少女役を演じましたが、記憶を取り戻してからの豹変ぶり、そのギャップが大きなインパクトを与えました。記憶と言葉を失った状態での、ちょっと不気味さのある静かな存在感、そして出産をきっかけに記憶を取り戻してからの、関西弁でまくし立てるようにしゃべり倒す少女……。当時、まだ女優としてのキャリアも浅い中での演技力と熱演は大いに視聴者を驚かせました。
二面性ということでは、ドラマ『妖怪シェアハウス-帰ってきたん怪-』では、不幸な出来事続きで自分のルックスに自信がなかったところ、美容整形を機にキャラが豹変する少女ミュージシャンを演じました。ここでのギャップも面白かったです。本人も「もう“全然別人やんか”っていう感じなんですけど」と笑っていました。
関西弁での芝居も魅力の一つ。上記『べっぴんさん』『さくらの親子丼2』をはじめ、『結婚できないにワケがある。』(2021年、ABCテレビ/テレビ朝日)、『サムライカアサン』(2021年、日本テレビほか)など関西弁の役柄も多いですが、大阪出身の彼女だけに実にナチュラルで、そのかわいさを引き立たせています。
また視聴者から見て、“こんな娘がいたら”と思わせる可愛い女子高生像での存在感も魅力。『サムライカアサン』では、家を出た母親に代わって、幼い弟の面倒を見る家族思いの女子高生役で、その母親が高校の卒業式の日に突然会いに来た回の彼女の芝居は視聴者の感動を呼びました。
「これからもさらに幅広い役に挑戦していきたい」と語る井頭さん。「これまで学生役が多かったので、新人の会社員役などもやってみたいです。学生役は自分が体験してきた役柄だったんですけど、会社員だと自分が体験していないことなので想像して演じなければばらない。そこが楽しみです」と目を輝かせていました。
★初舞台『るろうに剣心』へ向け意気込みを語る
17日から上演の『るろうに剣心 京都編』。稽古期間中のインタビューでは「映画でたくさんの方から愛されている作品だし、薫も人気のある役なので、すごく責任感を感じると言いますか、イメージを崩さないようにという思いはすごくあるんですけど、そこにとらわれすぎず、でも“今回原作に忠実に舞台を作る”と演出の小池(修一郎)先生もおっしゃっているので、その薫像に近づけるように日々模索しているところです」と、その思いを語ってくれました。
初の舞台での演技を前に「基本的にやること自体はそんなに変わらないんですけど……」といいつつも、「やっぱり一番後ろの席のお客さんまで、そのキャラクターがどういうふうに感じているのかということをわかるように演じなければいけないんですが、それは自分が思っているより3倍くらいのイメージで演じないと伝わらないだろうなと感じていて……」と心掛けを語りました。
本作はミュージカルということで、歌唱シーンも重要な要素。もともとアイドルグループ「X21」で歌手経験はあった彼女ですが、やはりミュージカルでの発声、歌唱はひと味違うようで、事前に改めてボイストレーニングを受けて臨んだようです。稽古に入ってからも新たな発見がたくさんあったようです。
戦闘シーンが多いという本作で、見せ場の一つが薫と剣心の歌唱シーン。「劇中唯一安らぐ場面です。剣心を温かく包みこんで、送り出して、迎え入れるという大事なシーンがあり、そこで二人が歌う曲があって、それを剣心と薫の思いが混ざり合うように、その歌を聴いてくださった方が“いい歌だな”と思ってくださるように歌えたら。どの楽曲もすごくすばらしくて、自分の等身大なりの薫で表現できれば、うまく伝えられるようにこれからさらに歌を頑張りたいなと思います」と意気込みを表しました。
これまでの映像の芝居で高い定評のある演技力。そして時代劇で見せた殺陣や、デビュー時から経験した歌はさらに研ぎ澄まされています。そんな井頭さんの総合力が観られるであろう『るろうに剣心 京都編』に注目です。
ミュージカル『るろうに剣心 京都編』は6月24日(金)まで東京・IHI ステージアラウンド東京で上演中。出演:小池徹平、加藤和樹ほか
文/田中裕幸
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