「魚心あれば水心」とはどんな意味の言葉？「魚心」と「水心」ってなんのこと？？

2022/06/30 17:10 FUNDO 動画

一方が好意がむけていれば、相手にも好意が芽生えることを指す「魚心あれば水心」。
この言葉は、男女の恋愛などを表現する際によく使用されます。
では、この言葉の「魚心」「水心」とは何のことなのでしょうか？

ここでは、この「魚心あれば水心」という言葉について見ていきましょう。

ポジティブにもネガティブにも使える「魚心あれば水心」

まずは「魚心あれば水心」がどのような言葉なのかを見てみましょう。
実は、ポジティブにもネガティブにも用いることができる言葉だったりします。

「魚心あれば水心」は、一方に好意があれば相手も自ずと好意を抱くこと、お互いの心が通じるようになるという意味の言葉です。
お互いが自然に引かれ合うことの例えとしても使用されます。

自分が気になり始めることで、相手も自分のことを気になり始めてくれるということから、恋愛面で用いられることのある言葉です。

ちなみに、相手の態度によって自分の態度が決まるという意味で用いられることもあります。
好意的な態度をとってくれ人に、好意的な態度で返したくなるといった心理となります。

悪い意味で持ちつ持たれつの関係性をあらわす言葉として用いられることもあります。

時代劇などで出てくるような悪代官と商人が、表には決して出せない事柄を密約するシーン。
「お代官様、ここは魚心あれば水心ということで・・・」「越後屋、お主も悪よのう」といったお互いにあくどいことをして儲けようという、持ちつ持たれつの関係を築こうとする場面で使用されます。

では「魚心」と「水心」とは何を意味するのでしょうか？

「魚心あれば水心」という言葉の原形は、「魚、心あれば、水、心あり」だったと考えられています。
これは、魚に自分が生きる水のことを思う心があれば、水にも魚のことを考えるだろう、という意味でした。

それが次第に変化して「魚心」「水心」となったというのです。
つまり、「魚心」「水心」という言葉があって生まれた言葉ではないということになります。

「魚心あれば水心」と語感が似た言葉に「水魚の交わり」という言葉があります。

「水魚の交わり」とは、お互いに無くてはならない非常に親密な関係を例えた言葉です。
水と魚のように切っても切れない関係のことを指しています。

この言葉は、お互いにとって必要不可欠な存在だとなるほどの関係性がすでに構築されていることをあらわしています。
そのため、一方的な好意が向けられているだけで相手との関係が今後どうなるかは不透明な「魚心あれば水心」とは異なる性質の言葉となります。

最後に「魚心あれば水心」のポジティブな意味の類語について見ていきましょう。
類義語としては「落花流水」「君心あれば民心あり」などがあげられます。

「落花流水」とは、散り落ちる花と流れる水のことです。
転じて、男女がお互いに思い合う情のある関係を意味します。

落花は流水のままに流れたいと思い、流水は落花を乗せて流れたいと思うところを男女の気持ちになぞらえた言葉となっています。

ちなみに、「落花流水」には落ちた花が川の流れに乗る姿ということで春の景色という意味であったり、物事の衰えや時の流れを指す言葉として用いられることもあります。

「君心あれば民心あり」とは、君主と人民の心情をあらわす言葉です。
君主が人民を慈しめば、人民は君主を敬うという意味です

国民に寄り添ってくれる政治家がいれば、支持する国民は増えるでしょう。
逆に、まったく国民の意見や声を取り入れない政治家は、次第に支持されなくなっていきます。
この人と人との関係を示した言葉が「君心あれば民心あり」なのです。

「魚心あれば水心」は、良い意味と悪い意味があります。
一方に好意があれば、相手にも好意が芽生えることをいったポジティブなニュアンス。
持ちつ持たれつの関係だというネガティブな意味合いもあります。