泉健太立憲民主党代表が『ガンダム』ギレンのパロ演説→全国比例候補・栗下善行氏「なんで負ける側の演説使うんだろう」
2022年7月10日に投開票が行われる参議院議員選挙。各党の要職が各地で演説する様子はネットでも話題になっていますが、泉健太・立憲民主党代表が2022年6月26日午後に秋葉原駅前で街頭演説。「この物価高にはもっともっと怒っていただきたい。まさに『立てよ、国民』。私は皆さんにお伝えしたい。この悲しみ、この苦しみを怒りに変えて『立てよ、国民』。我々は自由民主党に比べれば戦力は少ないけれど、しかし、正義の戦いをしている」と『機動戦士ガンダム』のギレン・ザビの演説をもじって支持を訴えました。
しかし、この内容にはネットで異論が続出。立憲民主党から全国比例代表候補として出馬している栗下善行氏(@zkurishi)は「なんで負ける側の演説を使うんだろう」と朝日新聞の記事を引用してツイートしています。
なんで負ける側の演説を使うんだろう。そこは「通行人の方と、秋葉原でお買い物をしている方々には、突然の無礼を許して頂きたい。私は立憲の泉ケンタであります。」とか「立てよ、国民。物価高を怒りに変えて」 立憲・泉代表:朝日新聞デジタル https://t.co/n0cebw2ayp #参院選2022 #立憲— くりした善行 参議院全国比例 / 立憲民主党 (@zkurishi) June 26, 2022
なんで負ける側の演説を使うんだろう。そこは
「通行人の方と、秋葉原でお買い物をしている方々には、突然の無礼を許して頂きたい。私は立憲の泉ケンタであります。」とか
『機動戦士Zガンダム』でシャアの偽名であるクワトロ・バジーナ大尉のダカール演説を元ネタに挙げる栗下氏のツイートには、泉代表(@izmkenta)が次のように返信しています。
くりしたさん、それも言いましたよ。私が、ガンダムを好きなのは一方的な正義と悪の戦いとして描いていないところ。連邦側には、あの類の演説は無いので、負ける側と言われると、ジオン側の引用が出来なくなり、辛いですね。ギレンの演説は、扇動の危険も教えてくれた貴重な演説です。— 泉健太立憲民主党代表|衆議院議員 (@izmkenta) June 26, 2022
くりしたさん、
それも言いましたよ。私が、ガンダムを好きなのは一方的な正義と悪の戦いとして描いていないところ。
連邦側には、あの類の演説は無いので、負ける側と言われると、ジオン側の引用が出来なくなり、辛いですね。
ギレンの演説は、扇動の危険も教えてくれた貴重な演説です。
1974年生まれの泉代表は「小さい頃ラジカセで『機動戦士ガンダム』を録音しセリフを覚えた」と述べていますが、『Zガンダム』のクワトロ大尉演説は主人公サイドなので、1983年生まれの栗下氏と微妙に話が噛み合っていない印象です。
はからずも所属政党の代表にダメ出しする形となった栗下氏ですが、表現の自由やインボイス制度反対、バランスあるジェンダー平等、イベント産業支援のアップデートを政策として掲げており、2021年12月の『コミックマーケット99』では東京都議会議員としてコロナ禍の中での開催に動き、「新型コロナウイルス感染症の影響で中止となったイベントへの会場費返還の実現にご尽力をいただきました」と名指しで感謝されています。
ネットでは栗下氏の掲げる政策や実績を評価する声がある一方で、「立民でなければ……」という人も多く見受けられます。
栗下氏は2009年に26歳東京都議選に民主党公認で出馬して当選。この時のことを「当時、IT企業(日本オラクル)でサラリーマンをしていたところ、地元衆議院議員からスカウトして頂きました。直近に迫った総選挙で政権交代すれば政治は大きく変わると信じ、その前哨戦である都議選に初挑戦しました」と振り返ります。その後、民主党を離党して日本維新の会で2013年の都議選で再選を目指すも落選。2017年の都議選では都民ファーストの会公認で出馬して返り咲きを果たしています。2021年には「会派運営が不透明」として都民ファーストの会を離党して、立憲民主党に入党。今回の参院選の出馬となりました。
参議院選挙が公示(7/10投開票)。先日公開のC99アフターレポートでも触れましたが、コロナ禍の同人誌即売会の開催において、政府、都、会場等への要望にあたり、国会議員・都議他の皆さんのお力添えやご配慮に感謝します。我々も政治とは無縁ではありません。皆さんも投票へ!https://t.co/fLoQ0avmMx https://t.co/mh3muRIkrn pic.twitter.com/xLlTo6H7VT— コミックマーケット準備会 (@comiketofficial) June 22, 2022
「表現の自由」を政策に掲げる比例代表候補としては、『ラブひな』などの漫画家の赤松健氏(自由民主党)や、栗下氏と同じく『C99』など同人誌即売会の開催に力を発揮した藤末健三氏(自由民主党)、ゲイをカミングアウトしつつLGBT差別解消法での表現規制にも言及していた松浦大悟氏(日本維新の会)、セックスワーカー団体支援SWASH代表でAV新法問題で抗議集会を開いた要友紀子氏(立憲民主党)など、与野党問わず選挙を戦っています。
そんな中、栗下氏は「昨今、ジェンダー平等の文脈など、表現規制議論がリベラル勢力発で提起されることも起こるようになってきました。リベラル勢力が“表現の自由”を守ってきた時代からこの問題に取り組む1人として、党内議論をバランスの取れたものにしていきます。内部から変えることができるのは私だけです」と強調。「また、与党の提案に”表現の自由”を脅かす要素が入ってきた際には、外側から対案をぶつけ、議論の活性化や選択肢が生まれることで、より重層的に“表現の自由”を守れるようにできます。そのことができるのも私だけだと思っています」と立憲民主党から出馬する意義を述べました。
超党派による議員立法で国会に提出され、2022年6月15日に成立したAV出演被害防止・救済法では、立法の過程でAV業界当事者へのヒアリングがなく、とりわけ立憲民主党の塩村文夏参議院議員の発言に批判が集まりました。栗下氏は「AV新法の問題もそうですが、外側から党内議論の中身が見えないことによって、政策の方向性についても十分な説明が果たされないことも起こっているように感じています」と課題を指摘。「これでは国民に対する説得力を欠くので、まずは党内議論をより開かれたものにして、衆目に耐えうるようなものに変えていく必要があります」と党内改革への意気込みを示します。
ちなみに、栗下氏に「人生で一番最初に観た『ガンダム』は?」と質問したところ、「『機動武闘伝Gガンダム』です。対戦格闘ゲーム最流行世代なので」とのこと。都議時代には非実在青少年規制問題など表現規制反対の論陣を張っていたこともあり、サブカルチャーの造詣が深いことからもギレン・ザビ演説は「ちょっと……」と感じてしまったのかもしれません。
※画像はTwitterより
https://twitter.com/zkurishi [リンク]
乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。
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