北海道「住み続けたい街ランキング2022年版」1位札幌市中央区、2位厚別区、続く3位は意外な“町”?!
リクルートは北海道に居住している人を対象に実施した「SUUMO住民実感調査2022 北海道版」を発表。札幌市内の駅を対象に実施された2022年「住み続けたい駅ランキング札幌版」の結果と併せて見ていこう。
「住み続けたい街(自治体)」と居住者が評価するポイントは?
「SUUMO住民実感調査2022 北海道版」は道内居住者に、“その街に住み続けたいかどうか”を聞いたアンケートをもとにした街ランキング。リクルートが例年発表している「住みたい街ランキング」とは異なるランキングだ。
今回の調査は、住んでみたいと憧れる街などではなく、すでにその街に住んでいる人が、今後も継続して住みたいとその街を評価するかどうかがポイントとなる。つまり、居住者の実感値が大きく反映された街ランキングといえるだろう。
住み続けたい自治体ランキングの1位は「札幌市中央区」。そのほか、TOP20には、札幌市の全ての区がランクインする一方、3位「河東郡音更町」や6位「上川郡東神楽町」、10位「中川郡幕別町」、17位「河西郡芽室町」、18位「新冠郡新冠町」など、道内各地の“町”も多数ランクイン。
また、北海道ボールパークFビレッジの開業を控える「北広島市」は13位、札幌へも新千歳空港へもアクセスの良い「恵庭市」は19位に入ったほか、北海道新幹線の終点、新函館北斗駅のある「北斗市」は16位。道外からも広く観光客が訪れる「帯広市」や「函館市」はそれぞれ11位、13位という結果となった。
住み続けたい街として上位に選ばれた顔ぶれを見ていると、便利でにぎわいのあるエリアが多数ランクインしているのはもちろんだが、1位「札幌市中央区」、2位「札幌市厚別区」、5位「札幌市豊平区」、13位「北広島市」など、大規模な再開発が行われ、今後の街の姿に期待が高まるような街も支持を集めている。また、ランクインした郊外の街については空港へのアクセスや車移動がしやすく、観光資源も豊富な街が多い。
札幌市内およびその近郊都市の居住者が住み続けたいと評価するポイントとしては、電車やバスなどの利便性や買い物施設の充実、街のにぎわい、今後の街の発展性などが挙げられるが、札幌から離れた郊外の自治体に住む人にとっては、それらの項目よりも、自治体のサービスや生活にかかるコスト、子育て環境などが評価される傾向があるようだ。
それでは、ランキング上位のそれぞれの街について詳しく見ていこう。
「住み続けたい自治体」1位は札幌市中央区、2位は札幌市厚別区、3位は河東郡音更町
今回1位にランクインした「札幌市中央区」は、周知の通り、交通面でも生活面でも抜群の利便性があり、魅力的なスポットも豊富。都心ながら大通公園や円山公園など、豊かな緑も身近に感じられる街だ。住民も街の魅力として、「文化・娯楽施設が充実している」「いろいろな場所に電車・バスで行きやすい」「街にぎわいがある」などの項目を上位に挙げている。
札幌駅(写真/PIXTA)
さらに、道内最大のターミナル駅である札幌駅が位置する同区は、北海道新幹線の延伸や札幌オリンピック誘致などを控え、区内では続々と大規模な再開発計画が進められている。今後2030年に向けて札幌駅は南口周辺が再開発で大きく生まれ変わる予定だ。
2位の「札幌市厚別区」は札幌市内の中では郊外の住宅エリアとしてのイメージが強いが、交通利便性も高い街。新札幌副都心にはJR「新札幌」駅、地下鉄東西線「新さっぽろ」駅のほか、バスターミナルもあり、市内各地のほか、新千歳空港へのアクセスもスムーズだ。また、幹線道路や高速道路が近く、車移動もしやすい。
また、今回のランキングでは総合ランキングのほかにも、街の魅力項目別のランキングも集計しているが、札幌市厚別区は「ショッピングモールやデパートなどの大規模商業施設がある」という魅力項目のランキングでは、札幌市中央区や、市内最大級のショッピングセンターであるアリオ札幌が立地する札幌市東区を押さえ、1位にランクイン。新さっぽろ駅周辺は複数の大型商業施設が集積しており、今後も再開発により新たな商業施設やホテルなどが誕生予定で、さらににぎわいのある街へと進化していきそうだ。
総合ランキング3位の「河東郡音更町」は十勝平野のほぼ中央に位置する自治体で、JR帯広駅から市街地まで車で約15分。とかち帯広空港も車で約50分と、車や鉄道で道内各地へ移動しやすいことに加え、飛行機で本州へのアクセスも良好だ。
道内の町村の中では最多の人口を誇る音更町では農業や酪農が盛んで、地元の食材は地域の小中学校の給食にも使われている。また、観光スポットとしても広く知られるモール温泉が湧き出す十勝川温泉があり、足まわりの良さに加え、大自然の恵みを日常的に享受できる点も住む人にとっては大きな魅力だ。
十勝川温泉付近(写真/PIXTA)
今回のアンケートでは、「車での移動が便利」という点に加え、「ゴミ収集に関する自治体サービスが充実している」「物価が安い」などの項目も居住者からは高く評価されており、都心部とは一味違う住み心地の良さを感じられる街だといえそうだ。
「子育てに関する自治体サービスが充実している自治体ランキング」1位は白糠郡白糠町
今回の調査では、街の魅力項目別のランキングも集計したと前述したが、子育て世代が住まい選びをする際に気になる、子育てに関する自治体サービスについてのランキングも紹介しよう。
1位にランクインした、道東、釧路市の西隣に位置する「白糠郡白糠町」は“子育て応援日本一の町”を掲げ、子育て世代に手厚い経済的な支援を行う自治体。町内の太陽光発電施設による収入を財源として、出産祝い金の支給、18歳までの医療費・保育料・学校給食費の無料化、新入学児童・生徒入学支援金の支給などを行っている。
次に、旭川空港が立地する2位「上川郡東神楽町」は総合ランキングでも6位にランクイン。アンケートで居住者が街の魅力の上位に挙げた項目を順に見てみると、「公共料金が安い」「治安が良い」「車での移動が便利」「住居費が安い」「物価が安い」などが挙げられ、それに続いて「子育てに関する自治体サービスが充実している」という項目が挙げられている。これらの評価ポイントからは、暮らしにかかわる経済的な負担が比較的軽いと感じている居住者が多いということがうかがえるのではないだろうか。道内で5番目に面積が小さい自治体ながら、人口に占める子どもの割合が比較的高いというのも納得だ。
3位の「北斗市」は函館市に隣接し、北海道の中では雪が少なく温暖な地域。新幹線最北端の駅である新函館北斗駅を有し、陸の玄関口ともいえる街だ。育児支援制度にも力を入れており、高校卒業までの医療費無料制度や市内小・中学生の給食費軽減制度などの経済的支援を行っている。また、保育所、幼稚園、認定こども園、放課後児童クラブなどの施設の数も充実しており、働き盛りの子育て世代も暮らしやすい環境が整っているようだ。
2022年「住み続けたい駅ランキング札幌版」では、札幌市電の駅が多数ランクイン
最後に、札幌市内に限定した「住み続けたい駅ランキング」を紹介したい。
ここまで見てきた北海道全域の住み続けたい自治体ランキングは今回初めて集計されたものだが、札幌市内に限定した住み続けたい駅ランキングは2020年にもリクルートは発表している。
前回のランキングでは、上位10駅は全て札幌市中央区という結果だったが、今回のランキングでも上位の駅のほとんどが札幌市中央区に位置し、上位20位の内9駅が札幌市電の駅という結果となった。
札幌市電(写真/PIXTA)
札幌市中央区の駅が軒並みランクインする中、それ以外のエリアから上位に入ったのは札幌市西区に位置する6位と15位の「琴似」(6位がJR函館本線、15位が地下鉄東西線)と、札幌市厚別区に位置する14位の「新札幌」(JR千歳線)だ。
JR「琴似」駅は札幌駅まで快速で1駅。駅周辺は計画的な整備が進められ、商業施設をはじめ、公共施設や医療施設、金融機関など、生活に必要なさまざまな施設がそろう。居住者が評価する項目の最上位には「利用しやすい商店街がある」が挙げられているが、JRと東西線の駅間に位置する琴似栄町通は西区随一の繁華街としても知られており、特にこの買い物利便性の高さが、街への評価へとつながっているようだ。
JR琴似駅(写真/PIXTA)
また、閑静な住宅地として知名度の高い円山公園を押さえ、今回1位にランクインしたのは「西線14条」(札幌市電)。前回ランキングの集計結果5位からの大幅ランクアップだ。居住者の評価する項目としては「街の住民がその街のことを好きそう」「人からうらやましがられそう」「歩ける範囲で日常のものはひととおりそろう」などが挙げられているが、大きな繁華街などはないエリアながら、ドラッグストアやスーパーなどの買い物施設は十分にそろい、落ち着いた生活を送ることができる住環境への満足度の高さがうかがえる結果となった。
今回のランキングでは、北海道版、札幌版共に札幌都心部が強く支持される結果となった印象もあるが、項目別ランキングなどを見てみると、街の大小にかかわらず、実にさまざまな街がランクインしているのは興味深い。住み続けたいと思う街に求めるものは人それぞれだと思うが、住んでいる人の実感値を反映したこのランキングは、住みやすさとは何かを考えるヒントにもなりそうだ。
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