DX・自動化で1000本/分の生産力を発揮! 長野県・大町『サントリー天然水 北アルプス信濃の森工場』へ行ってみた

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サントリー食品インターナショナルのナチュラルミネラルウォーター『サントリー天然水』。これまで山梨県南アルプス・熊本県阿蘇・鳥取県大山の水源に工場を構えて出荷していましたが、2021年5月31日より長野県大町市の『サントリー天然水 北アルプス信濃の森工場』が稼働。2021年6月末より長野・新潟・北陸・東海エリアを中心に出荷を開始しています。

また、2022年5月14日からは同工場内にブランド体験型施設をオープン。水源に至り、取水してボトルへ詰めて出荷、さらにはリサイクルに至るまでの循環の流れを体感することができるツアーに参加することができます。

飛騨山脈(北アルプス)のふもとに位置する『北アルプス信濃の森工場』。取得面積は約410000㎡で、東京ドーム9個分弱という広さになります。2018年に生産拠点の建設を発表して以来、大町市と『森林(もり)の里親協定』を締結し、共同で山野の管理・保護を行い、「50年、100年と次世代に繋ぐ未来へつづく物語のフィールドにしていく」(サントリー・プロダクツ執行役員・澤田元充工場長)とそのコンセプトを語ります。

敷地そばには、穂高川の支流で餓鬼岳(標高2647m)などを源流とする乳川(ちがわ)が流れており、駐車場脇の散策路から自然豊かな土壌を体感することができます。

北アルプスの山麓は、落葉などが堆積してできた腐葉土の下に石灰層があり、雨が降り浸透して磨かれながら地下水になり、『サントリー天然水』として取水するまで約20年の年月が経過するといいます。適度にミネラル分を含んでクセがなく、すっきりとした飲み心地は、北アルプスの風土が培っているといえるでしょう。

工場内の『ものづくり棟』では、地下水の水温をリアルタイムで表示する水温計が設置されており、採水した際のコンディションが見える化されています。

年間1500万ケースの生産能力がある『北アルプス信濃の森工場』。1分間に2Lペットボトルが360本、550miだと1000本を充填することができます。

これまで高品質で高効率を求められていた生産拠点から、「生産拠点に加えて、清冽な天然水のブランド体験が出来る場所を目指した」というこの工場では、次世代型ファクトリーとしてデジタル・トランスフォーメーション(DX)と自動化を推し進めています。各種工程データをクラウドサーバーへと統合して、アプリで活用。これにより各種業の効率化が図られています。

また、商品1本ごとに固有のIDを振ることで、どの工程にあるのかトレースできるようになっており、製造・検査履歴と品質情報を紐づけて統合管理。エラーの原因究明の迅速化が生産性向上にもつながるといいます。

工場の建物面積は26457㎡、延べ床面積40760㎡と広大ですが、従業員数は50名。多くは品質管理や工程の監視などの業務に従事しているとのこと。このため、コンベアなどが並ぶ工場内には、ほとんど人影が見当たらないのも関わらず、製造がどんどん進んでいました。

また、ルーチン業務や重量のあるものを運ぶ作業は負担が大きいため、破棄品や副資材の搬送用に無人ロボットを導入。自動化の進み具合は「次世代型ファクトリー」と標榜するだけのことはあります。

ブランド体験型施設では、工場の様子が一望できるほか、各工程のリアルタイムの模様を端末で見ることができるようになっています。ほかにも、エアシャワーの疑似体験ができるなど、家族連れで楽しめる施設がラインナップされています。

環境配慮型工場として、自家発電の太陽光発電パネルと中部電力から調達したCO2フリー電力で賄い、北アルプス森林組合から木チップなどの燃料を集めて稼働するバイオマスボイラーを導入するなど、CO2輩出実施ゼロとなっているという『北アルプス信濃の森工場』。ペットボトルはプリフォームから工場内で生産することにより、輸送による廃ガスの量を抑えることが出来ているとしています。

消費者にはペットボトルの分別を呼びかけています。キャップとラベル、ボトルを別々に回収することにより、より純度の高い物質のリサイクルが可能になり、循環型社会が実現できるといいます。

ブランド体験型施設では、『天然水』ブランドのラベルに描かれている餓鬼岳を一望できるアルプステラスや、開放感のある授乳室を設置。工場見学ツアーでは『サントリー天然水 北アルプス』の試飲ができるので、雄大な景色の中で、ゆったりと水を堪能できます。

開放感のある広場には、カフェが併設。『天然水仕込みクラフトソーダ』(550円)は、信州産白桃と信州産巨峰を別添えで用意されており、好みの量を入れて飲むことができます。巨峰を試飲してみたところ、濃厚な甘みとフレッシュな香りが凝縮されていて、さっぱりとした炭酸と好相性でした。

7月以降の夏季限定で『北アルプス天然水もかき氷』(650円)が提供予定。信州産いちごと信州産白桃を使っているとのことで、ほかのメニューも地産地消のものばかりです。

揚水量の自動調整を行うほか、電子線殺菌を導入して、工場内で使用する水の水原単位の削減を実現したというこの工場。森林保全のための調査や整備活動に取り組んでおり、木製の『天然ハウス』内にあるレセプションで工場のコンセプトを感じ取ることができる展示を見ることができます。

また、エコバッグやポストカード、手ぬぐいなどの工場オリジナルグッズを購入することもできます。

『北アルプス信濃の森工場』のブランド体験型施設は、2022年5月14日にオープン。見学ツアーは約60分ほどの行程ですが、雄大な自然に囲まれていて、景色を見ながらのんびりと過ごせるのがポイントです。見学ツアーの申込みは、インターネットもしくは電話での事前予約が必要となっています。

『サントリー天然水 北アルプス信濃の森工場』

住所:〒398-0004 長野県大町市常盤8071-1

オープン日:2022年5月14日(土)
工場見学ツアー参加費:無料
休業日:月曜日・火曜日・工場休業日等(冬季休業1〜3月、12月・臨時休業あり)
営業時間:9:30〜16:30(最終入場15:30)

サントリー天然水 北アルプス信濃の森工場(長野県大町市)
https://www.suntory.co.jp/factory/kitaalps/ [リンク]

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ふじいりょう

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。

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