藤岡みなみ|エネルギッシュ! 中国のお正月【思い立ったがDIY吉日】vol.65
タレントの藤岡みなみさんが、モノづくりに対してのあれこれをつづるコラム連載!題字ももちろん本人。可愛くも愉快な世界観には、思わず引き込まれちゃいます。今回は編み物について!
藤岡みなみ
タレント、エッセイスト。タイムトラベル専門書店 utouto店主。縄文時代と四川料理が好き。やってみたがり。
ブログ:藤岡みなみ 熊猫百貨店
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エネルギッシュ! 中国のお正月
こういう飾りを作りたい。
我が家には新年が2回来る。2月1日のお正月と、いつもそのだいたい1ヵ月後にある春節だ。旧暦だから毎年日付が違っている。中国・四川省出身の夫とその両親、子ども、私の5人で暮らしているので、日本にいてもどちらかというと春節のほうが盛り上がる。ごちそうを作って、中国の親戚とテレビ電話で話しながら食事をしたり、春節の年越し番組を見ながらトランプや麻雀で遊んだりする。お祝いの雰囲気が大好きなので年に2回あるのは嬉しいけれど、正月太りチャンスも2倍、休みモードからの社会復帰に必要なエネルギーも2倍である。よく、1月はなんだかんだ正月気分が抜けきらないと言うけれど、2月もそうだ。
何度か中国で春節を過ごしたこともあるけれど、毎回勢いに圧倒される。10人がかりで朝から料理を作りまくり、円卓で何度も乾杯しながら食べる。テーブルに乗りきらなくて、皿の上に皿を載せるほどの量のおかず。街には臨時の花火の出店が出現し、ダンボール1箱で1発分、みたいな素人が扱っていいとは思えない花火がドカドカ売れていく。夜を待たず、白昼あちらこちらから爆竹の音が聞こえていた。1週間続く休みのあいだ連日親戚や友人に会って、火鍋を食べに行ったり観光地に遊びに行ったりと活動的だ。こたつでまったり、という日本のお正月休みのイメージに比べると、うおおおお! 遊ぼう食べよう! みたいなパワーを感じる。まあ当然個人差はあるし、のんびり春節を過ごしている人もいるだろうけれど。
本気すぎる花火屋さん。
パワーを感じるのは、やっぱりあの赤い色の印象が大きいかもしれない。春節のシーズンは街も全てが赤に染まる。飾りの種類も豊富だ。横断幕、扇子、ランタン。つり下げられそうな全ての場所に赤い飾りがつり下げられている。個人宅の玄関も華やかだ。春联と呼ばれる縁起のいい言葉の書かれた紙を、ドアを囲むようにして貼り付ける風習がある。
春節DIYに挑戦してみた
今年は初めて春联を手作りしてみることにした。絵の具と紙を使って、見よう見まねで描いてみる。まず紙を赤一色に塗った。ここに黄色や黒をのせていこう。縁起のいい文字を書くのは書き初めのようで背筋が伸びる。
マイ春節飾り。福が来ますように!
「福」という字は逆さまにして貼られているのをよく見た。同音にちなんで、福が到来するように倒しておく、という理由らしい。他にも「虎」「春」「平安」などの飾りを作り、部屋中に貼る。気づいた義母が褒めてくれたが、「最近は福は逆さまにしないよ」とのことだった。いろんな説があるようだ。あと「喜」という漢字を二つ並べた字も縁起がいいと知って飾ってみたが、「アーッハハ! これは結婚式のやつだから!」とかなり笑われた。えー。「春節 飾り」で検索したらこれも出てきたのに。
笑われた飾り。そのまま貼っておいた。
失敗している部分もあるが、まあいい。飾りを作る、それだけのことで、行事への没入感がグッと高まる。
去年は義母と一緒に準備した春節料理も、今年は私がほぼ一人で作った。皮から作る餃子はちょっと大変だけどおいしい。本場の餃子はゆでることが多いけれど、市販の皮ではゆでたときに破れてしまう。パンダや桃の形のカラフルな肉まんも蒸した。2日目は火鍋。いつも春節に参加しつつも、まだどこかで外側から観察している感じがあったが、今回は春联も料理も作ってなんだか私のほうがホストだった。作る、という行為にはどうしたって主体性が伴い、異文化の中に入っていくことだってできる。春節って一体なんだろう、と思いながらいろいろ作っていたが、いろいろ作ること自体が「春節をする」ことなのだとわかった。結構頑張ったので、いい大人だけど紅包(お年玉)が欲しいと思っている。
食べるのがかわいそうな肉まん。
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