銀行でデザインを内製化すること デジタルバンク「みんなの銀行」の場合
デジタルバンク「みんなの銀行」では、デザインの内製化に取り組んでいます。従来の銀行にはないやり方や伝え方を、日々チームで模索していますが、その取組みの様子をプロダクトデザイナーの田口がお話します。
※この記事はオウンドメディア『みんなの銀行 公式note』からの転載です。
なんでも自分たちで作る
みんなの銀行のデザイン業務は、開業の準備期間はアクセンチュア/フィヨルドの皆さんとともに取り組んでいましたが、最近では徐々にみんなの銀行側でのデザイン業務の割合が高くなってきています(この記事は2021年8月に公開された記事です)。
一般的に、銀行では社内に制作部門を置くことは珍しく、社外の広告代理店や制作パートナーに依頼して一緒に進めるケースが多いのですが、その場合、銀行側の担当者は、進行管理やクリエイティブの社内チェック、社外の広告代理店や制作パートナーへのフィードバックなどのコミュニケーションを通して、世の中にクリエイティブを発信していく役割を担っているかと思います。
みんなの銀行ではデザインの内製化を進めているため、アプリのUIデザインはもちろん、SNSに投稿するクリエイティブやノベルティグッズなども全て、社内のデザイナーがデザインツールを使って制作しています。デザインの他、デザイナーが広告のコピーやアプリに表示するメッセージなどを考えることもあります。
デザイン内製化の強み
私は2020年9月に入社したのですが、最近特に、自分たちの事業を根底から理解している社内のデザイナーが作るクリエイティブは、様々な面で強いなと感じています。
チーム内のミーティングでもよく、「みんなの銀行“らしい”“らしくない”」という言葉が飛び交っています。もちろんデザインガイドラインなどで決められたものもあるのですが、それを読むだけで、みんなの銀行らしいデザインを作ることができるかといえばそうではなく、現在のチームはこの感覚的なところがズレていないということが強みだと感じています。
そして自分が担当していないクリエイティブであっても、みんなの銀行として世の中に出ていくものはすべて気になってしまうんですよね。裏を返せば、それだけ自分たちが生み出しているプロダクトのことを好きでいるからだ、とも言えるのではないでしょうか。
Slackで自分にメンションが付いていない時や、担当ではない時でも、何か気付いたことがあればコメントやスタンプで気軽に反応できる心理的な距離の近さが、信頼関係にもつながっているのだと感じています。
例えばUIデザイナーは、アプリの制作だけに意識を向けていれば良いというものでもなく、それをとりまくWebサイトやSNS、オンラインイベントやノベルティグッズなどでも、みんなの銀行らしさという部分を常に意識して制作に取り組んでいます。ブランドの一貫性に拘りたいデザイナーにとっては、とても合う環境だと思います。
超えなければならないハードルは、どの銀行も同じ
人口の減少やキャッシュレス決済の広まりなど、銀行を取り巻く環境が厳しくなる中、どの銀行も変わらなくてはならず、未来を見据えた施策や、これからお客様となっていただくような若い世代に向けた施策を、もちろん検討していることでしょう。そして、その実現には、法律面やシステム面での制約というたくさんのハードルもあり、進めることが難しくあることを私たち自身も日々感じています。
そんな中、みんなの銀行では「そこを変えたい、超えたい」という想いを持った人たちが最初に銀行の中から立ち上がり、その想いに共感した人たちが外部から集まって来て、新しい銀行を構成しています。私がこの会社に入社したいと思った一番の理由もそこにあります。そして今、同じような想いを持つメンバーで構成されたデザインチームでは、みんなの銀行の世界観を一貫したデザイン性をもって作り出すことを目指しています。
デザインでも選んでもらえるような銀行
一括りでデザイナーと言っても、これまでの経験や得意分野なども様々ですが、それらがうまく噛み合っているのも、みんなの銀行のデザインチームの特徴です。
社内のマーケターやデータサイエンティストが抽出した定量、定性データを活用してアプリ改善を行うことを得意とするデザイナーもいれば、イラストなどを使った表現によって情緒的なアプローチを得意とするデザイナーも在籍しており、両面からのデザインアプローチにチャレンジしています。銀行窓口やネットバンキングサービスのご利用頻度はお客様によって異なりますが、多くても月に数回だったり、月に一回もご利用されないというお客様も多くいらっしゃるこの現状の中で、みんなの銀行では、SNSのように毎日銀行アプリを開いてもらい、お金のことを身近に感じてもらえるような銀行を目指しています。サービスや機能面のほか、デザインでも選んでもらえるような体験を作っていきたいと思います。
(執筆者: みんなの銀行)
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