藤岡みなみ|編み物にもう一度挑戦してみる【思い立ったがDIY吉日】vol.64
タレントの藤岡みなみさんが、モノづくりに対してのあれこれをつづるコラム連載!題字ももちろん本人。可愛くも愉快な世界観には、思わず引き込まれちゃいます。今回は編み物について!
藤岡みなみ
タレント、エッセイスト。タイムトラベル専門書店 utouto店主。縄文時代と四川料理が好き。やってみたがり。
ブログ:藤岡みなみ 熊猫百貨店
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編み物にもう一度挑戦してみる
無心になれる時間がきっと必要だ。
最近、義母に編み物を習っている。子どもの頃、母に習って以来だから25年ぶりだ。昔は苦手だったこともいまならできる気がしている。例えば畑がそうだった。せっかちな私には植物なんて育てられない、と思い込んできた。でも大人になると一日が過ぎていくスピードが早くなって、植物と自分の歩幅が合った。編み物もいまの私にちょうどいいかもしれない。たまに、ぼーっと手だけを動かしたいときがある。何も考えずテトリスか何かをやりたくなる。そんなとき、パズルゲームのつもりで編み物をしたら心が落ち着きそうだと思った。25年前に挫折したときは、早くきれいなマフラーを完成させたいのにうまくいかなくてイライラ、という感じだった。いまはむしろ、心静かに編むこと自体が目的だ。だからとても心地いい。
こんなふうに編めたらな。私は模様のない背中側担当。
義母は何種類もの模様を自由自在に編み分ける。視力が足りないよぉ、と嘆いているが、体が覚えているのがわかる。うらやましい。一生の技術だ。教えてもらうことで、さらに仲良く過ごせている。苦手と再会できて、家族と仲良くできて、心も落ち着く。ものづくりとはなんとありがたい営みなのだろう。こんなにいいことずくめなら、完成しなくたっていい。やっぱりうそ。このセーターだけは完成させたい。うかうかしてると春はすぐそこ。
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