『ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ』公開記念! 社会派エンターテイメントの旗手 リー・ダニエルズ監督の作品を振り返り
伝説のジャズシンガー、ビリー・ホリデイとFBIの対決を描いた映画『ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ』。2022年2月11日(祝・金)に全国公開となります。
20年度の錚々たる映画賞に輝き、ゴールデングローブ賞主演女優賞(ドラマ部門)を受賞、アカデミー賞主演女優賞ノミネートも果たした本作。地上にひとつしかないと称えられた歌声で肌の色や身分の違いを超えて当時の人々を魅了し、没後60年以上経っても、その強烈なカリスマ性が現代のアーティスト達に影響を与え続けているビリー・ホリデイ。
そんな彼女は、長きに渡り執拗にFBIに追い続けられた。ターゲットとなった理由は、彼女の大ヒット曲で人種差別を告発する禁断の楽曲「奇妙な果実」を歌い続けたから。ビリーは披露したら逮捕すると脅されながらも、「この歌だけは捨てない」と真っ向からはねのけてステージに立ち続けました。
そんな彼女の短くも壮絶な人生をFBIとの対決に焦点を当てて描くのは、『大統領の執事の涙』のリー・ダニエルズ監督。長編二作目の『プレシャス』でアカデミー賞2部門受賞4部門ノミネートを果たし、社会派の深淵なテーマをエンターテイメントに昇華する手腕が称えられています。主演には、グラミー賞ノミネート歌手のアンドラ・デイ。映画初出演ながら、そのズバ抜けた歌唱力で名曲の数々をビリーが憑依したかのように歌い上げ、彼女のパワフルかつ美しい生き様を体現した演技で観る者全ての胸を打ち、賞レースを席巻しました。更に「プラダ」とコラボレーションして手掛けられた華やかな衣装も必見です。
本国アメリカでは多くの観客からも大絶賛。11月24日(現地時間)に発表されたグラミー賞でも「最優秀映像作品コンピレーションサントラ部門」にノミネートされ、さらに先日公開した韓国ではBTSのVからの推薦も寄せられ、大注目されている本作が遂に日本でも公開!
公民権運動の<音楽的出発点>とも呼ばれる『奇妙な果実』を歌うビリー・ホリデイの知られざる人生を描いた本作の意義について聞かれたリー・ダニエルズ監督は強くこう答えています。
「この題材に惹かれたのは、私たちが今、危機に直面しているからです。アメリカはかなり混乱していることは明らかで、もうそれを隠すことすらできません。最近の出来事が、まさにそれを証明していると思います。私たちは分断され、ひとつではない。そして、それは醜いことです。だから、『ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ』は、私たちが今置かれている時代を物語っています。今こそ声を上げようと呼びかけているのです」
リー・ダニエルズ監督の過去作品とあわせて本作を楽しみながら、今一度社会の潮流を感じてみてはいかがでしょうか。
★『ザ・ユナイテッド・ステイツvs. ビリー・ホリデイ』 (2022年2月11日(金・祝)公開)
「ビリー・ホリデイを止めろ! 彼女の歌声が人々を惑わせる」。1940年代、人種差別の撤廃を求める人々が、国に立ち向かった公民権運動の黎明期。アメリカ合衆国政府から、反乱の芽を叩きつぶすよう命じられたFBIは、絶大なる人気を誇る黒人ジャズシンガー、ビリー・ホリデイにターゲットを絞る。大ヒット曲「奇妙な果実」が運動を扇動すると危険視し、黒人の捜査官ジミー・フレッチャーをおとり捜査に送りこんだのだ。だが、逆境に立てば立つほど、ビリーの圧巻のステージパフォーマンスは輝きを増し、肌の色や身分の違いを越えて全ての人を魅了する。やがてジミーも彼女に心酔し始めた頃、FBIが仕掛けた罠、そしてその先に待つ陰謀とは──?
★『プレシャス』 (’10)
1987年のハーレム。16歳の少女クレアリース・プレシャス・ジョーンズは、とんでもなく太っていて、読み書きも出来ない。家では母親から罵声と暴力を浴び、おなかの中には自分の父親との間の子供がいる。彼女にとって、現実は残酷で、幸せは空想の中でしか実現しないもの。そんな彼女がある日、フリースクールに通うことになる。先生や、同じ境遇にある友達に出会い、彼女の閉ざされていた世界は次第に変わっていく。そして、自分の人生を豊かにするのは、自分にしか出来ないことを知るのだった。
★『大統領の執事の涙』(’14)
綿花畑の奴隷として生まれたセシル・ゲインズは、見習いからホテルのボーイとなり、遂には、ホワイトハウスの執事にスカウトされる。
キューバ危機、ケネディ暗殺、ベトナム戦争・・・
アメリカが大きく揺れ動いていた時代。セシルは、歴史が動く瞬間を、最前で見続けながら、忠実に働き続ける。黒人として、そして、身につけた執事としての誇りを胸に。そのことに理解を示す妻とは別に、父の仕事を恥じ、国と戦うため、反政府運動に身を投じる長男。兄とは逆に、国のために戦う事を選び、ベトナムへ志願する次男。世界の中枢にいながらも、夫であり父であったセシルは、家族と共に、その世界に翻弄されていく。彼が世界の中心で見たものとは?そして人生の最後に流した、涙の理由とは―。
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