世界中の映画祭で絶賛された『白い牛のバラッド』 理不尽な社会に立ち向かう闘う女性の映画まとめ
第71回ベルリン国際映画祭金熊賞&観客賞ノミネート作『白い牛のバラッド』が2月18日(金)より公開となります。
愛する夫を死刑で失い、ろうあの娘を育てながら必死で生活するシングルマザーのミナ(マリヤム・モガッダム)。1年後に突然、夫の無実が明かされ深い悲しみに襲われる。賠償金よりも判事に謝罪を求める彼女の前に、夫の友人を名乗る男レザ(アリレザ・サニファル)が現れる。ミナは親切な彼に心を開き、3人は家族のように親密な関係を育んでいくが、ふたりを結びつける“ある秘密”には気づいていなかった…。罪と償いの果てに、彼女が下した決断とはー。喪失感に苛まれながらも気丈に娘を育てるシングルマザーミナ。亡き夫への謝罪を強く求め、社会の理不尽に立ち向かう女性の物語でもある衝撃の冤罪サスペンスに世界中が絶賛!
闘う女性の衝撃作といえば、第93回アカデミー賞脚本賞を受賞し話題を呼んだ『プロミシング・ヤング・ウーマン』を思い浮かべる人も多いはす。昼はカフェの店員として働くキャシーは、中退した医大でのある出来事がきっかけで、夜ごとバーで泥酔したフリをして、“お持ち帰りオトコ”たちに裁きを与える。被害者と加害者という構造のシンプルなストーリーに見えるが、傍観者という立場が設けられ、誰もがどれかにあてはまる事実を突きつけ、見る者の心を大きく揺さぶりました。
(C)2020 Focus Features
知性に訴える爆薬と批評家の絶賛を受けた『エル ELLE』は、第74回ゴールデングローブ賞外国語映画賞、主演女優賞(ドラマ部門)のW受賞を果たしました。自宅で覆面の男に襲われたゲーム会社の女社長が、自ら犯人をあぶり出すために恐るべき罠を仕掛けていくサスペンス。ここでも被害者と加害者という構造が描かれていますが、強さも弱さも持つ主人公ミシェルをイザベル・ユペールが怪演。笑顔のままで身の毛もよだつような話をするシーンを軽やかに演じたユペールは、フランス映画にもかかわらず第89回アカデミー賞主演女優賞ノミネートをしました。
(C)2015 SBS PRODUCTIONS – SBS FILMS– TWENTY TWENTY VISION FILMPRODUKTION – FRANCE 2 CINEMA – ENTRE CHIEN ET LOUP
そして第71回ベルリン国際映画祭金熊賞&観客賞ノミネートを果たした『白い牛のバラッド』も、冤罪で夫を亡くしたシングルマザーの主人公が、誤った判決への謝罪を求め続ける闘う女性の物語。夫を失った悲しみを抱え、多くの困難を娘と支え合いながら突き進むミナたちに、謎の男が手を差し伸べるー。この男の秘密が明らかになったとき、想像を絶するラストが待ち受けます。マリヤム・モガッダム監督は脚本と主演も兼任し、強さと弱さを併せ持った女性を見事演じきった。イランでは政府の検閲により、映画祭で3回上映されたのみという衝撃の本作。世界各国で上映され高い評価を受けており、満を辞してここ日本での公開が決まった。死刑執行数第2位のイランから届いた極上の冤罪サスペンスをぜひスクリーンで堪能して。
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