【話題】ドラマ「相棒20」元日SPに関して脚本家・太田愛先生が気持ち表明「とても申し訳なく思います」
テレビ朝日の刑事ドラマ「相棒」シリーズは高視聴率を保ったまま、いま現在も「相棒20」として放送され続けている。その最新話であるエピソード11「二人」が2022年1月1日21:00から放送されたのだが、この物語の脚本を担当した太田愛先生の意に反するシーンが含まれていたようだ。以下に、テレビ朝日が公開しているエピソード11の解説の一部を引用して掲載する。
・エピソード11「二人」解説(一部引用)
「ピアノ教師をしながら教会でボランティアをしているという由梨は、保護した記憶喪失の男性(イッセー尾形)の身元を調べてほしいと依頼する。しかし、本人が“湊健雄”と名乗っている以外、手掛かりはなし。唯一、大手鉄道会社の駅売店の名前が記憶に残っているらしいが…!? そんな中、右京と亘は、湊を最初に見つけた2人の少年から話を聞く。利発な2人は、当時の状況を分かりやすく説明してくれたが、何かを隠している様子。どうやら、片方の少年が、雑木林でスマホをなくしたようで…!? 身元調査の糸口を求めて、駅売店の本社を訪れた右京と亘は、同社が非正規雇用の賃金問題で紛争を抱えていることを知るが、湊に関する情報は得られなかった。同じ頃、少年のスマホを手にした男が、身分を偽り、2人のすぐそばまで迫っていた」(引用ここまで)
・プラカードを掲げた人々に取り囲まれるシーン
ドラマの物語として、特に変な部分、疑問に思う部分はないように思える。しかし、問題は実際に放送されたドラマのワンシーンにあった。太田愛先生の脚本にはなかった「プラカードを掲げた人々に取り囲まれるシーン」が加えられており、太田愛先生としては、そのシーンが不本意なものだったようである。
・実際の脚本にその場面はなかった
太田愛先生は自身の公式ブログに、その「プラカードを掲げた人々に取り囲まれるシーン」に関して言及。実際の脚本にその場面はなかったこと、人を傷つけたのではないかということ、申し訳ないと思う気持ちなどを綴った。以下は、太田愛先生の公式ブログに書かれたコメントの一部引用である。
・太田愛先生のブログコメント(一部引用)
「右京さんと亘さんが、鉄道会社の子会社であるデイリーハピネス本社で、プラカードを掲げた人々に取り囲まれるというシーンは脚本では存在しませんでした(中略)。同一労働をする被雇用者の間に不合理なほどの待遇の格差があってはならないという法律が出来ても、会社に勤めながら声を上げるのは大変に勇気がいることです。また、一日中働いてくたくたな上に裁判となると、さらに大きな時間と労力を割かれます。ですが、自分たちと次の世代の非正規雇用者のために、なんとか、か細いながらも声をあげようとしている人々がおり、それを支えようとしている人々がいます。そのような現実を数々のルポルタージュを読み、当事者の方々のお話を伺いながら執筆しましたので、訴訟を起こした当事者である非正規の店舗のおばさんたちが、あのようにいきり立ったヒステリックな人々として描かれるとは思ってもいませんでした。同時に、今、苦しい立場で闘っておられる方々を傷つけたのではないかと思うと、とても申し訳なく思います。どのような場においても、社会の中で声を上げていく人々に冷笑や揶揄の目が向けられないようにと願います」(引用ここまで)
・太田愛先生の人柄の良さが垣間見える
太田愛先生は「脚本が撮影現場でかわっていくことはよるあることで、今回も楽しいアドリブ満載でした」とドラマのデキの良さやアドリブ、新たなシーンの追加に理解は示しつつも、上記のように、今回のシーンによって傷ついた人がいるのではないかと、不安な声をあげている。
太田愛先生の人柄の良さ、人を大切にする温かさ、そして表現を大切にする真摯な気持ちが垣間見える。脚本家が放送直後にネガティブな表現内容に関して言及することは稀であり、よほど、追加シーンに心を痛めたのではないだろうか。
・物語に込められた思いにブレやノイズ
ドラマの世界にはドラマの世界のルールがあり、部外者がそのすべてを理解することは難しいが、脚本家が書いた物語に新たなシーンが付加されるのであれば、事前に脚本家に伝えて相談するなどしないのだろうか。新たにシーンがプラスされた場合、「物語に込められた思いにブレやノイズが入らないか」をチェックすることはできないのだろうか。
・太田愛先生の名誉のためにも
今回の場合、太田愛先生が脚本として名が出ており、追加されたシーンも含め、太田愛先生が考えたシーンであると視聴者は思ってしまうはず。視聴者が不快に思うかどうかも重要だが、特に太田愛先生の名誉のためにも、テレビ朝日はなんらかの対応をとるべきかもしれない。皆さんは、今回の件、どのようにお思いだろうか。
もっと詳しく読む: ドラマ「相棒20」元日SPに関して (バズプラス Buzz Plus) https://buzz-plus.com/article/2022/01/02/screenplay-of-television-drama-aibou/
参照: 脚本家/小説家・太田愛のブログ
※冒頭画像は刑事のイメージです
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