その愚痴や悩み聴きます。アバターを利用した心理相談サービスとは

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その愚痴や悩み聴きます。アバターを利用した心理相談サービスとは

 誰もが抱える心理的ストレス。その要因はさまざまです。

例えば、職場での出来事では、失敗や過重な責任の発生、仕事の量や質の変化、役割・地位の変化、上司や部下との対立やハラスメントなど対人関係など多岐にわたります。職場以外でも、夫婦や親子関係、恋愛問題、病気などの健康問題、金銭問題、事件や事故・災害の体験なども心理的ストレスの要因になることも。

今までは、仲間との飲み会で愚痴をこぼしたり、旅行や外出でリフレッシュしたり、職場と自宅を行き来する中で気持ちを切り替えたり…。しかし、コロナ禍、こうした行動が制限されるようになりました。皆さんはどのようにストレスを発散していますか?誰かに悩みを相談できていますか?大きく変わってしまった社会生活や生活環境へのストレス、今まで経験したことがない漠然とした不安。これらが身体に与える影響は計り知れません。

コロナ禍における「心のケア」への関心は高まり、企業や教育現場では対応が求められていますが、対面でのコミュニケーション頻度が下がり、従業員や学生たちの心理状況が把握しづらいという現実に直面しています。こうした環境の改善とメンタル不調の緩和・解消を目指し、2021年6月、「KATAruru」という画期的なサービスの提供が始まりました。

こころの健康 アバター支援サービス

「KATAruru」は、相談者と心理師双方がアバターを利用してオンライン上で気軽に心理相談ができるサービスで、コールセンターのアウトソーシングなどを手掛けるパーソルワークスデザインと東京大学大学院教育学研究科下山研究室により開発されました。コロナ禍における「心のケア」を支援するサービスとして注目されていますが、前述したように、日本人が抱えるさまざまな心理的ストレスの緩和・解消のために活用できるサービスでもあります。

KATAruru開発の背景について、パーソルワークスデザイン株式会社 人事ソリューション本部 サービス開発部2課 上田知子課長は、「米国ではカウンセリングは一般的なものと捉えられていますが、日本では、マイナスのイメージがあります。また、相談したいが誰に相談していいのかわからない、カウンセリングサービスはハードルが高いという傾向にあり、個人でストレスを抱え込んでしまうことで、その事柄が悪化する傾向にあります。そのため、早期に気軽に相談できる環境を提供したいと企画しました。」とコメントしています。

かたる、はたらく、らくになる。KATAruruの特長

■特長① 相談者と心理師(カウンセラー)双方がアバターを利用
より気軽に相談できる環境づくりのために、相談者だけでなく心理師もアバターを利用する。アバターの動きをいかに自然にするか。特に心理師のしぐさ、表情、相談者への見え方などは細部にまでこだわり設計。

<アバター利用のメリット>
・縛られない
 自分の外見や立場、「〜らしさ」など今現在の自己から解放されて自由に話せる
・見られない
 相手から「見られている」という感覚や「どう見られているか」という評価への不安が軽減し心理的障壁が低くなることで本題に入りやすくなる
・気が散らない
 非言語表現(表情、頷きなど)に過剰な意識を使わずに済み、話の内容に集中できる
・後腐れがない
 バーチャルな一期一会だからこそ、相手との関係性を気にせず本音を語りやすい

■特長② 「認知行動療法」などを研究する機関との連携、産学共同プロジェクト
東京大学大学院教育学研究科 下山晴彦研究室(以下、東京大学下山晴彦研究室)の専門領域は、精神障害(おもに不安障害や気分障害)の認知行動療法(※1)、うつ病の職場復帰支援、若者(中学〜大学生)の不登校・無気力の問題解決支援。産学それぞれの立場から意見を出し合い、専門性の高いサービスを提供。

東京大学大学院 教育学研究科 臨床心理学コース 下山研究室
http://www.p.u-tokyo.ac.jp/shimoyama/

(※1)認知行動療法
「厚生労働省こころの耳 用語解説ページ」より一部抜粋・引用

認知療法とも言い、人間の感情や行動が認知のあり方の影響を受けることから、認知に働きかけて気分や行動を変化させることを目的とした短期の精神療法です。うつ病、不安障害、ストレス関連障害、双極性障害、統合失調症、不眠症、ストレス対処などに用いられています。

■特長③ 心理師(カウンセラー)の品質の維持向上
登録している心理師は、国家資格「公認心理師」と民間認定資格「臨床心理士」の両資格を保有。
また、東京大学下山晴彦研究室とともにプレースメントテスト(能力判定テスト)や定期的なカンファレンス(情報共有や共通理解の場)を実施し、心理師の訓練とサービス品質の維持向上にも取り組む。

<公式サイト>
https://sub2.persol-wd.co.jp/lp/kataruru/?_ga=2.2027057.1428045.1636003022-308378026.1636003022

「アバターを通して相談ができ、相手の顔色をうかがわずに済むので楽な気持ちで話せました。(20代女性)」
「普段は誰にも話さないような不満も、丁寧に聴いてくださいました。(30代男性)」
「細かい相手の反応が分からないため気持ちが伝わっているか不安に感じることもありましたが、都度、認識があっているか確認して頂き、最後のまとめの際はきちんと伝わったと感じました。(20代女性)」

アバター利用に不安を感じる方もいるかもしれませんが、サービスを利用した相談者からは、気軽さや心理師のコミュニケーション力を評価する声が多く届いているようです。

社会・経済活動が再開する今こそ「心のケア」。愚痴をこぼすような感覚で気軽に相談を

「心理相談サービスというと、メンタル不調の人がするものというイメージがどうしてもありますが、『KATAruru』は、悩みになる一歩手前の状態で、友だちや家族にちょっと愚痴をいうような気軽さで利用してもらいたいと考えています。相談者のマイナスをゼロにするだけでなく、前向きな気持ちの方が新たな気づきを得たり、自分自身の状況を整理することでも活用していただきたい。自身の状況を理解、把握し、どう対処するか、など適応力を身に付けることで自己成長へ繋げてほしいと思っています。(パーソルワークスデザイン株式会社 人事ソリューション本部 サービス開発部2課 上田知子課長)」

新規感染者数や重症患者数が減り、経済活動再開の機運が高まっている今、再び生活環境や社会生活は変化し、その変化に適応しようと、気づかないうちに心理的ストレスも大きくなることが予想できます。ぜひ、従業員や学生たち、そして自分自身の心と向き合う時間をつくってください。メンタル不調になってからの対処や治療ではなく、不調にならないように予防・ケアするこという視点を持つことが重要です。企業は、相談しやすい環境や体制をつくること、働く人は、心理相談を自己成長の機会と前向きにとらえることができれば、「心の健康」はきっと守られるはずです。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。


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