洗濯の色移りあれこれ!予防と対策をご紹介します
洗濯した衣類を干そうと広げたら、色の薄い部分が色移りで染まってしまった。誰でも1回は経験しているのではないでしょうか?そんな色移りは、予防することも落とすこともできるのです。もう色移りに悩まないために、予防と対策を学んでおきましょう。
洗濯で色移りする原因
洗濯物にできた色移りのシミ。しかし、これにはちゃんとした理由があるはずです。まずは原因からキチンと把握しておきましょう。
色移りとその原因とは
色物の洗濯物を分けずに同じ洗濯水で洗うことで、色の濃いものから薄いものへ染料を色移りさせてしまう。このパターンが一般的でしょう。
原因としては大きく3つあります。
まず1つ目は洗剤による色落ちです。洗剤は汚れと一緒に染料も溶かしてしまいます。どのような洗剤を選ぶかだけでなく、効果的に汚れを落とす工夫も、色落ちの原因になることがあるため厄介です。
洗剤によって溶かし出された染料は、ほかの洗濯物の繊維に染み込み色移りに。洗濯水がほかの色に変色していたら、洗濯物の染料まで洗剤が分解して落としている証拠です。そんな状態の洗濯水の中で洗濯すれば、結果は一目瞭然といえます。
また、一部の洗濯物をよく見たら斑点状に色移りしていた。そんな場合もあるのではないでしょうか?これが色移りの2つ目の理由です。実は洗濯後の脱水も原因になることが。
脱水は水とともに溶けだした染料を飛び散らせます。飛んだ染料はついた先の洗濯物の繊維に染み込み、斑点状に沈着するのです。洗濯中の水の色が変化していないかだけでなく、脱水する時の洗濯物の位置関係にも注意する必要があります。
最後は、洗い終わった洗濯物をすぐに干さなかった場合です。染料は種類によっては水にも溶け出します。そのため放置中にも染料は水を介して広がっているのです。洗いあがったら早めに干すようにしましょう。
色移りなしで洗濯する予防法
色移りは洗濯物の色付けに使われている染料が、水を介してほかの洗濯物に移るのが原因。そうとわかったら後は予防するだけです。適切に処理をして、洗濯物をスッキリと洗いあげましょう。
基本の予防法
洗濯物を染め上げるのに使われている染料そのものが、色移りの直接の原因であることはすでに何度もご紹介しました。ならば予防策として染料の量の多い色の濃いものと、染料の量が少ない色の薄いもので、それぞれ分けて洗濯しましょう。
色が濃いということはそれだけ染料が使われていることになるため、洗濯中に流れ出る染料の量は、色の濃さに比例するように多くなることが予想できます。染料が多く流れ出せば流れ出した分だけ、色移りする洗濯物のが増えていくリスクも増していくのです。
また、洗濯ネットを使って洗うことで、色の濃い洗濯物が直接触れるのを避けるようにしてもよいでしょう。洗濯物同士がからまりあうことも防げます。洗濯物が傷みにくくもなるので一石二鳥です。
色落ちそのものの予防法
色移りは、原因そのものである洗濯物の染料が、洗濯水に溶け出さないようにすることで予防できます。そこでおすすめなのが洗濯前の「色止め」です。染料が流れ出るのをできる限り抑えれば、原因そのものから防げます。
方法はクエン酸(お酢)や塩(ミネラルを含むもの)を入れるだけです。クエン酸は繊維にそのままの状態で染料が安定するように働きかけ、塩に含まれるマグネシウムやカルシウムにも同様の効果が期待できます。
洗濯時の使用量の目安は、クエン酸が水2Lに対して100ml、塩が水2Lに対して大さじ2杯です。
さらに、よりしっかりと染料を繊維に安定させるためには、浸け置きも効果的でおすすめ。作った溶液に色止め前の洗濯物を入れて、30~40分ほど溶液に浸しておくことで、染め上げるのに使われた染料が、よりしっかりと繊維内で安定します。
色止めのほかにも、洗濯洗剤の選び方も大切です。洗浄力はやや控えめなものの、洗濯物に優しく適度な洗浄力を持つ中性洗剤は、無駄に色落ちすることもありません。落ちる染料が少なければ色移りもしにくいということです。洗剤選びにも気を配りましょう。
色移りの予防で忘れたくないことは、洗濯水の温度をあえて低めにすることも大切です。洗浄力をただ求めるのなら水温は高くてもかまいません。しかし、落とさなくてもよい染料までも落としてしまうため、水温にも注意を払う必要があります。
色移り予防グッズを使う
「仕分けの時間がもったいないし、手間も省きたい」「洗浄力も重視したい」。そんな方も多いことでしょう。そんな方の心強い味方が、便利グッズの「色移り防止シート」です。洗濯する前の仕分けをしなくても、安心して洗濯ができるようになります。
衣類によってはパーツによって異なる色を使っているものもあり、仕分けはできない、けれども色移りが心配というものも。そのような厄介な洗濯物には、色移り防止シートがぴったりです。これで安心して洗濯もできるようになります。
色移り防止シートの魅力は、単に便利なだけでなく、使い方も簡単なことでしょう。洗濯水に洗いたい衣類を入れたら、そこに洗剤と一緒に入れるだけです。
ただし、何事も過信は禁物であり、あくまで洗濯中のみの効果ということを忘れないでください。洗濯がすんだ後はすぐに干さないと、普通に洗濯した時と何ら変わりません。放置時間が長ければ、脱水後はシートの影響はないため、色移りに要注意です。
洗濯で色移りした時の落とし方
これまでご紹介してきた数々の洗濯のコツを、心掛けて丁寧に洗濯したはずなのに色移りしてた。こんな場合にはどうしたらよいのでしょうか?万が一に備えて、元通りにする方法を探ってみましょう。
基本編
シミができてしまった場合は、最初からもう一度洗濯し直す必要があります。洗濯物についている洗濯表示や、使われている素材が何かを確認して、負荷がかからない程度のお湯に浸してください。問題がないようなら、お湯の温度は50℃前後にするのがベストです。
お湯の準備ができたら、洗剤に書かれた規定量の2~3倍の量を、用意したお湯に入れます。洗剤をたっぷり入れて洗濯することで、洗浄力を確保しましょう。洗濯物を傷めないように、中性洗剤を選ぶのがおすすめです。
定期的に生地を傷めないようにもみ洗いしながら洗濯水を混ぜながら、洗剤の成分が全体に行き渡るように手を加えながら浸け置きします。時間の目安は30分~1時間ほどです。この時ゴシゴシこすってはいけません。生地の傷みや染料の沈着の原因となるなど逆効果です。
こうして一定時間浸け置きしたら、元通りの状態になるまでスッキリと落ちているかどうか確認します。色がほんのりとでも残っているのが見えるようなら、また最初から手順を踏んで浸け置きしなおしてみてください。
色落ちしていたら丁寧にすすぎます。洗剤を通常よりも濃くしているため落とすのは大変ですが、洗剤はしっかりと洗い流すことが大切です。
この時すすぎが足りないと、せっかく落とした染料が残ってしまうことがあります。残った染料はそのままその場所に付着してしまうため、色移りが余計に広がるのを逆に手助けしてしまうこともあるので要注意です。
すすぎ終わったら、仕上げにいつもと同じ洗剤と手順で洗濯します。これでわずかに残った色移りまで、スッキリと落とし切れるはずです。
時間がたってしまった色移りの落とし方
色移りは少しでも早く落とす作業に入りたいものですが、気付くのが遅れて時間がたってしまうこともあります。また、うっすらと淡かったり、目立ちにくい場所だったりする色移りならまだしも、色が濃くはっきり目立つ状態で色移りしてしまうことも。
そんな時には、洗剤と一緒に酸素系漂白剤を入れてから浸け置きしましょう。漂白剤は洗剤と違い、指示通りの量で充分です。あまりに頑固で目立つシミができてしまった場合には、重曹も合わせて入れることで効果を上げることができます。
デリケートな素材に色移りした時の落とし方
麻やウール、シルクといったデリケートな天然素材や、レーヨンなどの化繊の中でも取り扱いに気を使う素材。そんなデリケートで洗濯すると傷みやすいような繊維に色移りしてしまった時は、落とし方にもより繊細な注意が必要です。
そこで使う洗剤も通常とは違い、中性洗剤の中でもデリケートな素材の洗濯に使いやすい、おしゃれ着用洗剤を使って洗い落とすようにしましょう。
また、素材への負荷を減らすために、洗濯する時の水温は通常よりも低い30℃前後が目安です。時間がたちすぎたなどで漂白剤を使う時には、液体の酸素系漂白剤を使うとよいでしょう。ただし、漂白剤は洗濯表示や素材への影響を忘れず確認してください。
白物に色移りした時の落とし方
色移りした先が、真っ白でその素材自体の色落ちを気にしないような衣服の時は、浸け置き時に洗剤は入れず、漂白剤だけを入れます。使う漂白剤は、色素汚れを漂白することで落とす塩素系漂白剤か、色素を分解することで漂白する還元型漂白剤がよいでしょう。
色移りを漂白剤で消せる白物ならではの落とし方のコツは、長時間浸け置きしないこと。効力の強さから洗濯物が傷んでしまいます。また、洗剤と併用すると洗濯物の負担がさらに増すため、漂白剤だけで洗ってください。
どうやっても落ちない時は?
大切なおしゃれ着で何度も洗いたくない場合や、洗い直しても落ちなかった場合は、すぐにクリーニング店に持ち込みましょう。乾いてなくても構いません。
特に素材がデリケートな場合は、プロに任せた方が安心です。諦めきれない衣服は、乾燥してしまった後でも相談してみてください。
洗濯前に色移りしないか確認することも大切
洗濯前にあらかじめ色移りの予防として、できることをしておくことも大切ですが、色落ちそのものがないかを先に確認しておけば安心です。そこで、色物を洗濯する前の確認事項をまとめました。
色移りしやすい衣類
綿や麻、シルクが使われていて純度も100%と高い衣類は、色落ちしやすい部類に入るため要注意です。また、使われている色数が多いものや、柄物、染料の落ちやすさや色移りのしやすさを示す「堅牢度(けんろうど)」が低いと、これも色移りしやすい可能性がある要注意の衣類となります。
堅牢度は「5」が最高値ですが、色が濃ければその分染料を多く使っているため堅牢度は低く、最低値の「1」であっても不思議はありません。
堅牢度そのものが書かれていなくても、洗濯表示や衣類の説明に色のことが書かれていたら、はじめから色落ちするものとして書かれている可能性が高い、と考えた方がよいでしょう。中でも濃い赤色は堅牢度が低いとされるので、洗濯時には注意してください。
洗濯表示がない場合の見分け方
最近では手製の衣服をネットやフリーマーケットなどで売買することも増え、洗濯表示のない衣服も多く出回っています。そんな衣類もよく買うという方は、確認方法を覚えておきましょう。
やり方は簡単です。色がわかりやすいように白い布や綿棒などに水に溶かした洗剤をつけ、目立たない部分を選んでぎゅっと押さえつけてください。時間の目安は1分ほどで充分です。
ぱっと見ではわからないくらい薄い色でも移っていたら、色移りの可能性の程度はそれぞれ違えど、十分にあるということになります。
特に色の濃い、新品の衣類を買ってきた場合には、先にこのテストをしておくと安心です。もし色落ちするようならば、それは繊維が十分に染まり切っていなかったり、余分な染料がついていたりする「余剰染料」という状態になります。
この状態の衣類は、着ているだけで他の衣類やバッグなどの小物にまで色移りしても、なんの不思議もないほど染料が不安定で移りやすい状態です。単色の衣類なら、先に何度も洗濯して色出ししておきましょう。他への色移りの危険がぐっと低くなるのでおすすめです。
おわりに
洗濯で色移りの経験がない、思い当たらないという方は、おそらくいないことでしょう。しかし、ちょっとした手間をかけるだけで、その危険性は大きく減らすことができます。また、洗濯物を干す段階で気付ければ、すぐにまた洗濯しなおすことで落とすことも可能なのです。
色移りの原因を改めて確認した上で取り入れられる予防法をよく考えて、洗濯方法を改善してみてください。色移りに悩まされることも、色移りによる洗濯の手間もきっと目に見えて減ることでしょう。
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