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ニセ科学をバカにする前に ~科学という名の宗教~

ニセ科学をバカにする前に ~科学という名の宗教~


今回はsnowy_moonさんのブログ『雪見、月見、花見。』からご寄稿いただきました。
※すべての画像が表示されない場合は、https://getnews.jp/archives/312436をごらんください。

ニセ科学をバカにする前に ~科学という名の宗教~

皆さんは「ニセ科学」って聞いたことありますか?

その論理過程に飛躍があったり誤魔化しがあったりするのに、科学っぽい体裁や理屈を整えて、いかにも科学的根拠に基づくしっかりとした発見や発明かのように主張する理論や製品を指します。

「□□でガンが治る! ◯◯大学の△△博士が学会で発表!」とか、「最新科学で判明!△△のパワーでお肌が若返る」とか、「◯◯は身体に良い/悪い」とか、「△△で放射線が除去できる」など、色んなパターンがありますが、特に健康系の話に多いようです。有名な血液型性格判断もその代表例ですね。

それらの話はちょっと聞いてみれば、バイアス(偏見)たっぷりの統計が使われていたり、実験結果の数値の解釈が結果ありきで恣意的だったり、大事な情報や前提条件を隠していたりと、多くの場合、およそ暴論あるいは完成度の低いものです。真偽を決めるのを置いておいても、少なくとも疑問点は山ほど出てくるので、疑問点が全て解消するまでは、そのまま本気で信じたり実行したりという気持ちにはなかなかなりません。

しかし、そんな「ニセ科学」は実際に世の中に大変に広まっており、多くの方々に支持されています。
書店などで、この手の本が平積みされているのを見かける度、科学教徒を自負する私は非常に寂しく、悔しい気持ちになります。
この光景こそが、まさにこの社会に「科学の教え」が普及してないことを示す象徴だからです。

でも、不思議ですよね。

道行く人に「科学は好きですか?」とか「科学を信じますか?」とか聞くとおそらく多くの人は「はい」と答え、一部を除きあまり否定的な意見は少ないでしょう。
また、大衆だけでなく、政治の決定や裁判での判決などの、社会の中枢の重要な判断でも、多分に「科学的」であることが求められています。

そう、一見して、この社会の仕組みは「科学」を基軸に回っているように見えます。

やっぱり、この社会の人々は「科学」を大事にしているように見えます。

それなのに、なぜ「ニセ科学」は蔓延してしまうのでしょうか?

気になりますよね。
私も気になったんです。

ということで、今日は「ニセ科学」をテーマにボーッと考えて行きましょう。

【目次】
・ あなたが科学を好きな理由は何ですか?
・ 科学の栄光と繁栄
・ 宗教も「役に立つ学問」だった
・ 科学という名の宗教
・ 宗教と科学を分かつもの
・ 捨てる科学あれば拾う科学あり
・ 科学と社会の共生関係が崩れる時
・ 二位じゃダメなんですか?
・ 「ニセ科学」をバカにする人たち
・ 「ニセ科学」に対する科学的な闘い方
・ 科学と社会が仲良く付き合っていくために
(お急ぎの方は図と最後の章だけどうぞ)

あなたが科学を好きな理由は何ですか?

先ほども書いたように、みんな科学が大好きですよね。

特に無宗教で有名なこの日本においては、「神はこうおっしゃいました・・・」や「ご先祖様の霊がお怒りじゃ!」などより、「科学で証明された」の方がより好まれているのではないかと思います。

その証拠に、なぜ「ニセ科学」がわざわざ「科学」を名乗るかと言えば、そりゃオカルトっぽい話や宗教がかった話より、科学が人気があるからに他なりません(もちろん、オカルトっぽい話も好きな方もいっぱい居ますけれど)。

では、なぜこんなに科学は人気なんでしょう。
人気があるには、それなりに理由があるはずです。

例えば、あなたが科学を好きな理由は何ですか?

・・・もうここで白状してしまいますが、私がこの「ニセ科学」問題で、最もキーになってるのは、この「科学が好きな理由」だと思っているのです。

こう思っている方いませんか?

「科学は色んな技術を発展させて、私たちの生活を支え、社会を豊かにしてくれた。非常に役に立つ学問だ。だから重要だ」と。

私の想像ですが、「こう思っている方もいる」・・・どころか、「ほとんどの方がこう思っている」のではないでしょうか。

しかし、残念ながら、この「科学=役に立つ学問」という認識こそが、「ニセ科学」を蔓延させる全ての元凶なのです。

科学の栄光と繁栄

とはいえ、「科学=役に立つ学問」という認識であること自体は責められるポイントではありません。
歴史的に見れば、それも仕方がない流れだからです。

ガリレオ・ガリレイの地動説に対する厳しい宗教裁判に代表されるように、ヨーロッパでは中世までは科学は抑圧され、宗教が力を持った時代が長らく続いていました。
それが近代以降、力関係は逆転し宗教を科学が超える時代がやってきます。

なぜ、科学が宗教を超える力を持つことができたかと言えば、単純な話、「実際に目の前に起こる現象をちゃんと説明できているのは科学の方だったから」です。

「俺は自分の目で見たものしか信じねぇぞ!」

と言う人が今でも居るように、誰かに何かを信じさせるには「実際に見せること」が最も強力です。
惑星の挙動など実際に見えるものが、教会の説く天動説より、科学の説く地動説の方が上手く説明できるという単純な事実が科学に信憑性を与えたのです。
そして、天体などそんな遠くの物ばかりでなく、ニュートン力学など科学の理論を用いれば、現実に周りで起きている物体の運動や現象なども説明できるようになり、さらに物体の挙動の予測も可能になったことが決定的でした。
予測ができるようになると、それに基づいた様々な設計も可能になります。すると様々な道具や建物、そして機械などが作られるようになります。高度な道具や生産機械は社会をどんどん豊かにします。

実際に目の前で見えていることの原理を矛盾なく説明し、未来を的確に言い当て、しかも生活を便利にしてくれる様々な製品を生み出してくれる「科学」。
「科学」の中身をよく知らない者にも、その存在感は圧倒的であったことでしょう。
きっと、人々の目には「なんて役に立つ学問なんだ」と映ったことでしょう。
そんな「有用な学問である科学」が市民権を得るのは無理も無い話なのです。
そして、こんな流れだからこそ、みんなが科学を「役に立つ学問」として認識しているのも、これまた無理もない話なのです。

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