無色透明で誰かの色に染まる。石井玄の仕事の向き合い方とは?

access_time create folderエンタメ
無色透明で誰かの色に染まる。石井玄の仕事の向き合い方とは?

「オードリーのオールナイトニッポン」「星野源のオールナイトニッポン」「佐久間宣行のオールナイトニッポン0」など、多くのラジオ番組にディレクターとして携わってきた元オールナイトニッポンのチーフディレクターの石井玄さん。

そんな石井さんが初のエッセイ『アフタートーク』(石井玄著、KADOKAWA刊)を出版した。

本書はディレクター時代、今のイベントプロデューサーの仕事の話、ラジオを好きになった学生時代や家族の話、石井さんと共に仕事をした仲間たちとの対談など、盛りだくさんの内容となっている。

ニッポン放送の深夜枠(毎週月曜~土曜日深夜1時~3時)の「オールナイトニッポン」は、ラジオをあまり知らない人でもそのワードを聞いたことがあるのではないだろうか。過去にはビートたけしさんやとんねるず、現在では、オードリーや星野源さんが「オールナイトニッポン」のパーソナリティを担当している。

そんな「オールナイトニッポン」のチーフディレクターに就任したのは、石井さんが32歳のとき。若くしてニッポン放送の伝統ある番組のチーフディレクターを務めることになったわけだが、「ぼくには才能がない」と、本書の本文1行目に綴っている。

AD時代にさまざまなディレクターの下でラジオの仕事を経験し、面白い企画を次々に生む人、音楽センスに優れている人、信頼される人柄でチームをまとめ、楽しく番組を作れる人など、何かに秀でている才能あるディレクターを見てきたという。

人に誇れることは「ラジオが好き」という一点で、天才ではない。そんな自分にできることは何か。模索した結果が「全部やる」ことだったという。

得意なことがなければ、クリエイティブ、編集、音楽、面白さ、アイデアといったラジオディレクターに必要な全能力を上げればいい。突出した能力がないので、どの能力も平均的に伸びていく。

苦手なものはないが、得意なものはないという能力を身につけた石井さんは、ラジオディレクターとして重宝されるようになる。どんな番組でも平均点を出せるからだ。

そんなディレクターのタイプを石井さん自身「無色透明型」と呼んでいる。無色だから、周りの優秀な人たちの色に染まることができる。

何もできない。けど、全部できる。ディレクターの石井さんが無色透明だからこそ、誰かの色に染まることができ、担当した番組それぞれの個性を引き出すことができたのだ。「才能がない」「個性がない」という悩みを持っている人は多いのではないだろうか。そんな人は「全部やる」ことで、無色透明型を目指してみるのもいいかもしれない。

現在、石井さんはラジオのディレクター時代の経験を活かし、ニッポン放送エンターテインメント開発部のプロデューサーとして、番組関連のイベント開催やグッズ制作などに携わり、今もラジオ業界を盛り上げている。

10年にわたり、ラジオのディレクターとして、今までひた隠しにしてきた石井さんの仕事への「熱さ」を思う存分書いた、という本書。ラジオのリスナーはもちろん、ラジオを知らない人にも響く一冊だ。

(T・N/新刊JP編集部)

【関連記事】

元記事はこちら

【「本が好き!」レビュー】『ブルックリンの少女』ギヨーム・ミュッソ著

「海のフォアグラ」といえば? 思わぬところで役立つ日本語クイズ

  1. HOME
  2. エンタメ
  3. 無色透明で誰かの色に染まる。石井玄の仕事の向き合い方とは?
access_time create folderエンタメ

新刊JP

ウェブサイト: http://www.sinkan.jp/

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。