ネギやニンニク、ニラの匂い成分と、食べられるようになった理由
食べ物の香りや匂いは、どんな食べ物なのか確認するための大切な要素のひとつ。例えば目の前にある食べ物が食べられるかどうか判断する方法として、まず匂いを嗅いでみる、という人も少なくないはず。野菜の中には、特徴的な香りや強い匂いがあるにもかかわらず、好んで食べられているものが多くあります。今回は、そうした野菜の香りや匂いの成分、なぜ食べられるようになったのかなど、ネギ、ニンニク、ニラを例に紹介します。
ネギにはなぜ、特徴的な匂いがあるの?
ネギは、ユリ科ネギ属の植物。ネギ属の植物は、特有の匂い成分を持っています。この成分は「スルフィド類(硫黄化合物)」です。
ネギとニンニク、ニラの匂いはどう違う?
実は、ニンニクやニラも、ネギと同じ「ユリ科ネギ属」の植物です。同じネギの仲間なのに、どうして匂いが異なるのでしょう。ネギ属の匂い成分のひとつである「ジスルフィド(硫黄を2つ含む化合物)」は、さらにメチル基、n-プロピル基、アリル基の3つに大きく分けることができ、どれを多く含む(主成分とする)かによって匂いの差が表れるのです。上のグラフは、ネギ、ニンニク、ニラが生成したジスルフィドを、メチル、n-プロピル、アリル基別にその割合を示したもので、主成分が違うことが分かります。
ネギ属の野菜が世界的に食べられている理由
ユリ科ネギ属の野菜は、特徴的な匂いにもかかわらず古くから食べられてきました。タマネギ(タマネギもネギ属の野菜です)はペルシャやエジプトで紀元前4000年より前から、ニンニクはエジプトで紀元前3000年頃から、すでに栽培されていた記録が残されています。当時は、食用ではなく宗教儀式に用いられていたようですが、ピラミッド建設の労働者にタマネギやニンニクを食べさせたともいわれています。
19世紀中頃~20世紀初期の戦争では、伝染病や傷の悪化を防ぐために軍隊が携行したようです。匂いがある野菜は、当初は匂いを我慢して食べられ始めたものの、人類が食の歴史を積み重ねていく過程で、香辛野菜から一般的な野菜へと変化し、親しまれるようになったと考えられます。
最後に
料理のアクセントなどにもなり、今では広く食べられている匂いのある野菜。ぜひ、いろいろな料理で味わってみてください。
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本来、関東では白い部分を食べる「長ネギ(根深ネギ・白ネギ)」、関西では緑の葉の部分を食べる「青ネギ(葉ネギ)」が主流ですが、現在ではどちらのネギも地域を超えて流通しています。薬味など、生で使うとネギ本来の辛味や香りが活き、焼く・煮るなどの加熱調理をすると辛味が消えてマイルドな甘みが生まれます。
最終更新:2022.12.21
文:アーク・コミュニケーションズ
監修:カゴメ
参考文献:
『もっとおいしい野菜の便利帳』白鳥早奈英・板木利隆監修(高橋書店)
出典:
J-STAGE「香味野菜のフレーバー形成」(ネギ、ニンニク、ニラの匂いの特徴)
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