「ブン殴り合いなんだけど、花の添え合い」村上虹郎、松坂桃李・鈴木亮平との現場を述懐 映画『孤狼の血 LEVEL2』インタビュー
第42回日本アカデミー賞をはじめ数々の映画賞を総なめにした映画『孤狼の血』(18)。続編となる『孤狼の血 LEVEL2』が公開中です。
本作で村上虹郎さんが熱演しているのが、“チンタ”こと近田幸太役。マル暴刑事・日岡(松坂桃李)のスパイとして五十子会上林組にスパイとして送り込まれるも、次第に組長の上林(鈴木亮平)から疑いの目を向けられ渦中の人物になっていくという重要な役所。本作の魅力について、白石和彌監督との仕事について、お話を伺いました。
●村上さんが演じられたチンタというキャラクターは、凶暴性と幼さが同居しているような人物でした。あの危うさは、どう作り上げたのでしょうか?
事前にいくつかの任侠映画を観たことは観たのですが、そういうことよりももっと大事なころがあることに気づいて、チンタの背景を掘り下げましたね。彼が生まれた環境の複雑さみたいなものがまず大きくある。それは映画を観た人にはわかると思いますが、描写としても出てくるものでもあるので。
●白石監督のリクエストはありましたか?
特になかったですね。もちろん聞くとディテールを答えてはくれるのですが、基本的にはお任せでしたかね。ただ、役は衣装でだいぶ決まりましたね。衣装合わせの時、全部ありものではなく、今回は作っていただいているんですよ。チンタのシーンに関しては生地から選んでいて、これは最高のことです。楽しかったですよ。
●今回の『孤狼の血 LEVEL2』も大変面白く拝見したのですが、そもそも白石監督の映画はどれも抜群に面白いですよね。なぜ面白い映画を作れるのか、一緒にお仕事をされてみて秘訣みたいなものを感じましたか?
基本的にはドライなんですよ。人間関係にしても。ちょっとツンじゃないですけど。それが暗いツンでもないし、冷たいツンでもない。陽キャなのに冷たいんですよ。
●それは相容れなそうな感じもしますね(笑)
でも、ああいう作品を撮る人が、ただの冷たい人なわけないですよね。それはわかる。そこが白石さんならではなのかな。実際は、まだわからないですね。ただ、趣味嗜好みたいなものについてはヤバイ人なんだろうなと思いますけどね(笑)。
●実力ある俳優のみなさんと共演すると刺激を受けることがあるとは思いますが、それが学びにまで発展することはあるのでしょうか?
いやもう、それでしかないですよ。全瞬間がそうでしたね。どの瞬間ももらさず持ち帰りたいような。その楽しさはありましたね。特に今回はなかなかにエキサイティングでしたよ。
そもそも『孤狼の血』は白石監督以下、同じスタッフでやっているので、完ぺきに出来上がっているんですよ。だから探り探りやっている感じが一切なくて、『孤狼の血』とはこういうものである、というベースがまずあるので、そこに迷いがまったくないんです。
●たとえば松坂桃李さんとのシーンで、共演をしながらすぐ自分のお芝居にも新たな変化が生まれるような、化学反応みたいな表現も生まれたりもするのでしょうか?
現場って物事がスパスパすぐ決まるものばかりじゃないと思うのですが、今回はクリエイティブをしていく時間があり、それぞれの俳優さんも圧倒的に自分のやり方を出して臨んでいたので、もうブン殴り合いなんですよ(笑)。ブン殴り合いなんだけど、花の添え合いみたいなところがある。歌舞伎や「半沢直樹」みたいな、ちょっとした見せ場も多いので、それはやっていても観ていても気持ちがいいものですよ。
●個々のキャラクターに厚みが出ていて、観ていてすごく楽しかったです!
ここまで見せ場が多いのは、いいですよね。もちろん全員分とはいかないと思うのですが、チンタにとってもすごく見せ場が多かった作品なので、それは役者にとって恵まれていることなんです。
●今日はありがとうございました!最後に映画を楽しみにしている方たちへメッセージをお願いします!
いやもうみなさん、感じていますよね? これ、観ないわけにはいかない、と。という感じです。シンプルですけど(笑)。
撮影:オサダコウジ
■ストーリー
3年前に暴力組織の抗争に巻き込まれ殺害されたマル暴の刑事・大上の後を継ぎ、広島の裏社会を治める刑事・日岡(松坂桃李)。しかし、刑務所から出所した“ある男”の登場によって、その危うい秩序が崩れていく…。
やくざの抗争、警察組織の闇、マスコミによるリーク、身内に迫る魔の手、そして圧倒的“悪魔”=上林(鈴木亮平)の存在によって、日岡は絶体絶命の窮地に追い込まれる…!
■映画『孤狼の血 LEVEL2』本予告
https://www.youtube.com/watch?v=uvF0NWMxhLk
■公式サイト:https://www.korou.jp [リンク]
(C)2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員会
(執筆者: ときたたかし/ 撮影:オサダコウジ)
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