気を抜くなよと戒めとして使う「一暴十寒」とはどんな意味の言葉?その由来は?

気を抜くなよと戒めとして使う「一暴十寒」とはどんな意味の言葉?その由来は?

気を抜かないための戒めをあらわす「一暴十寒」という言葉。
では、この言葉の「一暴」と「十寒」は、何をあらわしているのでしょうか?
ここでは、本来の漢字とは異なるものをあらわすため注意が必要です。

そこでここでは、「一暴十寒」がどのような言葉なのか、意味や由来について見ていきましょう。

「一暴十寒」とは

まずは、「一暴十寒」の意味や読み方について見ていきましょう。

「一暴十寒」の意味

「一暴十寒」は、少しの間努力したとしても、長い間怠れば物事は成功しないことを意味します。

物事の多くは継続して行わなければ効果が上がりません。
一度頑張っていても、その後その努力を重ねることをやめてしまったら水泡に帰してしまいます。
そのような状況の戒めとして「一暴十寒」は使用されるのです。

また、気を抜いてはいけないという注意喚起でも使うことがあります。

「一暴十寒」の読み方に注意!

一暴十寒の正しい読み方は「いちばくじっかん」となります。
「いちぼうじっかん」ではありませんので注意しましょう。

「一暴十寒」の由来

では「一暴十寒」という言葉はどこから生まれたのでしょうか。
ここからは「一暴十寒」の成り立ちについて見ていきましょう。

「暴」と「寒」があらわすものは通常の意味と違う

「一暴十寒」の語源を知る前にそれぞれの語句について把握しましょう。

暴の字は、一般的には暴れる言葉が多いですが、「一暴」の場合は1日中太陽に曝さらして暖める様子をあらわします。
そして寒いは、気温が低いことをあらわす言葉として用いるのが一般的ですが、「十寒」ですと10日間ものを日陰に置き冷やすことを指しています。

「一度暴れて10回寒がる」といった様子をあらわしているわけではありません。

「一暴十寒」の成り立ちとなる故事

「一暴十寒」は、古代中国で書かれた孟子の「告子上」の一節から来た言葉です。
告子上の中では、「雖有天下易生之物也、一日暴之、十日寒之、未有能生者也」という文があります。

これは、この世にどんなに成長しやすい植物を、せっかく丸1日暖めても、そのあと10日に渡り日陰に置いておいたら、芽が出るものの出られなくなってしまうという文になります。

この故事から、少しの間努力しても長い間怠れば物事は成功しないことの例えとして使用されるようになったのです。

「一暴十寒」の類義語

ここからは「一暴十寒」の類義語を見ていきましょう。
類義語としては、「三日坊主」や「腰が定まらない」があげられます。

三日坊主

「三日坊主」とは、飽きっぽくて長続きしないことの例えです。
何かを初めてもすぐにやめてしまう人を指すことが多いです。
転じて、単に継続力がない人や集中力がない人をあらわすようになったとされています。

ここでの「三日」とは3日というよりも極めて短い時間の例えと言えます。
一度出家して、修行僧になっても修行に耐えきれなくなってわずかな期間で還俗(再び俗人に戻ること)する様子から生まれました。

腰が定まらない

「腰が定まらない」は、しっかりとした力の入っていない体勢のことです。
これが転じて、飽きっぽくて移り気が多い様子をあらわす言葉となっています。

物事を行うにあたって前向きでない様子や怠慢で物事が長く続かない様子なども指す表現となります。
また、仕事などへ落ち着いて取り組まない様子も指します。

身が入らない様子について用いられるという事ですね。

まとめ

「一暴十寒」は「いちばくじっかん」と読む四字熟語です。
気を引き締めるための戒めとして使われる言葉です。

少しの間だけ努力しても、その後長いこと怠惰にしていれば、一度した努力も意味のないものになってしまうという意味合いで用いられます。

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