【夏でもひんやり】山梨・樹海ツアーで原生林を歩き、洞窟を探検
「富士の樹海は、夏が良い」
そんな噂を聞いた。絶対にそんなことないだろと思った。蒸し暑い日本の夏、どうして青木ヶ原樹海に行くのか。絶対暑いじゃん。本当にそうなんだろうか。
じゃあ、確かめに行こう。樹海ツアーに、行ってみよう。
新宿駅
特急「あずさ」で、まずは大月駅を目指す
JR新宿駅から特急「あずさ」に乗り、JR大月駅までは1時間ほど。近づくにつれて、車窓から見える景色に緑が広がっていった。
上の写真でわかると思うけどすごい雨だった。ザーザー降っていた。雨の中、青木ヶ原樹海を探検するなんて嫌だ、どうか晴れてくれと願っている間に、大月駅に到着した。
大月駅
富士急行線に乗り換え、河口湖駅へ
大月駅に到着。ものすごく雨が降っている。
ここから富士急行線に乗り換え、河口湖駅へ向かう。終点の河口湖駅までは1時間ほど。
青木ヶ原樹海の地面とかすっごくぬかるんでるんだろうな。あーあ。などと考えていたらあっという間に到着した。
河口湖駅
間近で見る富士山は、迫力が違う
ついた。ちょっと小雨になっていた。
河口湖駅から富士山が見えると聞いていたが、雲がかなり近く何も見えない。あの霧の向こうにあるんだろうか。そんなことを考えながら後ろを振り返ると……。
ドン!
デカい! 存在感が全然違う。かっこいいし神秘的だし、やっぱ富士山っていいな。明日は河口湖付近を散策する予定なので、色んな富士山の様子が見られると思うとワクワクしてくる。
あえて先に伝えますが、これが今回の旅で僕が見た最後の富士山です。
ちなみに河口湖付近を巡るならバス移動が便利。河口湖駅を起点に3種類の周遊バスが出ている。河口湖駅バス窓口、周遊バス車内でフリークーポンが購入でき、2日間有効で1,500円とかなりお得なのでこちらをおすすめする。
道の駅なるさわ
見どころ満載の道の駅
周遊バスで約20分、「道の駅なるさわ」に到着。すっかり雨も止んでいた。
ここは青木ヶ原樹海にも近く、樹海を探検するツアーの多くはこの道の駅が発着地点になっている。
喉が渇いたのでお茶でも買おうと思ったが、謎の湧き水を見つけた。
これは「不尽の名水」と呼ばれ、地下300メートルから富士の伏流水をくみ上げているらしい。少しだけ飲んでみたところ……だいぶ美味しかったので、ゴクゴク飲んだ。後ろにいたおばあさんに「ふふ、美味しいでしょう」と言われてちょっと恥ずかしかった。
道の駅なるさわ
郷土料理を食べよう
旅行に来たなら絶対にその土地のものが食べたい。
事前に調べたところ、ここ鳴沢の郷土料理は「せんどそば」と「鳴沢菜」だそうだ。どっちも初めて聞いた。道の駅なるさわの食堂で食べられるとのことなので、早速行ってみた。
ボリュームがあるのに安い。
鳴沢菜は鳴沢村固有の作物らしく、見た目は野沢菜に似た感じ。せんどそばは大根の千切りがのっていて、小皿にある南蛮みそをいれつつ味の変化を楽しむらしい。
おそばは乱切りで、これだけでもいい感じ。
温かいそばに生の大根という組み合わせは初めてだったが、これがだいぶ美味しかった!
つゆを吸った大根がシャキシャキとしていて、そばと一緒にすすると食感が面白い。ちなみに「せんど」とは、大根を細く切る道具とのこと。
世界でここでしか食べられないという「富士桜ソフトクリーム」(税込350円)を見つけた。
うまい。ほんのりと甘酸っぱい味がした。30歳になるが未だに「桜味」というのがピンとこない。日常的に桜を食べている人とかじゃないとわからないのではと思っている。
ちなみに道の駅なるさわからも富士山がガッツリ見えるらしいのだが、富士山側が曇りすぎていて見ることはできなかった。残念。
休憩室や「なるさわ富士山博物館」(入館無料)もあり、ゆっくり過ごせる道の駅だった。
青木ヶ原樹海
いざ探検へ! 樹海ツアーに出発!!
道の駅なるさわから、樹海ツアーの送迎車で約10分、青木ヶ原樹海に到着。
今回参加したのはTHE HIGHEST PEAKさんの「青木ヶ原樹海洞窟探検」。1人でも参加OKです。
防寒用ツナギを着て、ヘルメット、ヘッドライトを装着したらいざ出発。ツナギも含め、装備のレンタルは樹海ツアーに含まれている。
雨は完全に止んでおり少し陽が差し込んでいました。でも、めっちゃぬかるんでるんだろうな。
1人で青木ヶ原樹海に入って、迷ったら嫌なので、しっかりガイドさんの後をついて進んで行く。鬱蒼と茂る木々のおかげか樹海の中は少しだけひんやりしていて、ツナギを着ていても少し涼しかった。
しかしなんだろう。なんか普通の森と違う、不思議な感覚があった。そのちょっとした疑問をガイドさんにぶつけると、すぐに答えが返ってきた。
そもそも青木ヶ原樹海はどのようにできたのか。それは864年の富士山の「貞観(じょうがん)噴火」まで遡る。
流れ出た溶岩により、ここら一帯はゴツゴツとした地盤に。その上に苔が生え、草が生え、長い年月を経て木が生い茂る森林に至ったのだとか。木々は溶岩を這うように根を張るため、互いの根や枝が絡み合ってこの樹海を形成している。根を地中深くに張れないため、台風などで倒れる木も多いそうだ。
つまり、他の森では見ることのない根や倒木の様子が、この場所に不思議な違和感をつくりだしていたのだ。
マグマ内の揮発性成分は溶岩に気泡をつくるので、ボコボコと穴が開いている。そして先述の通り、歩いている地面の下は溶岩となっている。僕が何を言いたいかわかるだろうか。
ぬかるんで、なかった。
雨水は穴を通ってすぐに地下水になるらしく、すごく歩きやすくて最高だった。土は深いところでも20センチくらいしかないとのこと。
青木ヶ原樹海
富士風穴という洞窟へ
突然だった。ガイドさんから「樹海でコンパスがグルグル回るというのは嘘ですよ」なんて話を聞きながら歩いていたら、急にぽっかりと、巨大な穴が出現した。
樹海ツアーの目玉、国指定天然記念物「富士風穴」だ。
洞窟付近はものすごくヒンヤリとしている。
洞窟内は真っ暗で、ヘッドライトの灯りを頼りに進む。かなり岩がデコボコしているので慎重に進もう。
奥の方には巨大な氷もあり、探検をしている感じがかなりある。
岩と氷と霧、ガイドさんいわく「夏でも1度」という気温。非日常を感じるには充分すぎる不思議な場所だった。
洞窟の奥までは100メートルほどなのだが、険しい道のりのため、かなりの達成感があった。
スタート地点まで戻って、樹海ツアーは終了。帰りは、樹海ツアーの送迎車が河口湖周辺のホテルまでなら送ってくれる。すごく楽だった。
河口湖周辺
湖畔を散策してみよう
2日目。河口湖周辺の散策からスタートです。相変わらずの曇り空。
こちらは河口湖大橋。河口湖を横断する橋で、河口湖駅からだと徒歩で3分ほどの距離。ここから見える富士山は絶景だそうで……、方向的には雲の向こうだそうです。
素敵な散歩路もあったので、気を取り直して周辺を散策する。
八木崎公園
八木崎公園で花を
橋のふもとから10分ほど歩くと「八木崎公園」に到着。
ここは公園の中の「見晴らしの丘」と呼ばれる場所で、俺にこういう時の運がないだけで、本当は見晴らしが良いんだと思います。
アジサイがこんもりと咲いていた。
満開のアジサイと河口湖のコントラストは、曇り空の方が綺麗かもしれない。負け惜しみではなく。
全面が芝生で遊歩道も整備されており、歩いていて楽しかった。
ラベンダーがたくさん咲くエリアも。まだ少し時期が早かったようで、満開にはなっていなかったけれど綺麗。見ごろは6月半ば~7月だそうだ。
不曹庵
不曹庵で最高のあんみつを
八木崎公園のすぐ近くに、古民家風の甘味処「不曹庵(ふそうあん)」がある。
あんみつ(税込800円)を注文。ボリューム満点で、見た目も美しいあんみつだ。
寒天が、すごくやわらかいのにしっかり風味があって美味しかった。
古民家風の落ち着いた店内で、河口湖を眺めながらあんみつを食べるのは贅沢な時間だった。
周遊バスで河口湖駅へ移動して、新宿駅まで帰る。
こちらの富士山ビュー特急は大月駅まで約45分で行くことができ、天気が良ければ雄大な富士山と豊かな自然を楽しめる。
少しウトウトしていたが、「進行方向右側、雄大な富士をご覧いただける有数のビュースポットとなっております」という車内アナウンスで飛び起きる。
右側をずっと見ていると、窓一面にずっと雲が続いていた……。
樹海が雨でも楽しめるところで、本当に良かった。次は晴れた日に行けたらいいな。
新宿駅
掲載情報は2021年8月19日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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