『ピーターラビット2/バーナバスの誘惑』ウィル監督に聞く「ビアが出版社から言われる言葉は…僕が実際に言われた言葉なんだよ(笑)」
イギリスで最も美しいと称えられる湖水地方を舞台に、世界で一番愛されるウサギを主人公にした、ビアトリクス・ポター原作の絵本「ピーターラビット」。シリーズ累計発行部数全世界2億5000万部を超え、2018年に初めてハリウッドで実写映画化されると全世界興行収入が約386億円を超える大ヒット! 『ピーターラビット2/バーナバスの誘惑』が現在大ヒット上映中 です。
見た目はモフモフでキュート、中身は破天荒でヤンチャもののピーターが繰り広げるドタバタ大冒険は、前作よりもさらにパワーアップ。動物も人間も、おなじみのキャラクターたち 大活躍を見せてくれます。
子供はもちろん、大人も笑えるそのさじ加減とは? バーナバス率いる“モフわる 軍団”はどの様に描いた? ウィル・グラック監督にお話を伺いました!
※物語の核心には触れませんが、劇中の内容に触れています。気になる方は鑑賞後にご覧ください。
――『ピーターラビット』待望の続編ということで、楽しみにしていた方がすごく多いです。特に前作が公開された時は、私たちが「ピーターラビット」に抱いていたイメージと出てきた作品のギャップが最高だと話題になりましたよね。
ウィル・グラック監督:「思っていたより良かった!」ってみんなに言われたよ(笑)。一番嬉しかったのは大人の観客から「見応えがあった」と言われたこと。子供と一緒に観に行った親たちに「ユーモアもあるし、大人向けのテーマがあるじゃないか」と言われたことが嬉しかったよ。僕が一番楽しいと思う瞬間は、最初は大人と子供が別々の場所で笑っていても最終的には同じ場所で笑う所なんだ。
――前作のノリノリで笑える部分はそのままに、続編となる本作はさらにパワーアップしていますね。
ウィル・グラック監督:1作目から話が続いているということをすごく大切にしました。ピータ たちは前作から2、3つ歳とっていて。「ティーンエイジャーだったら誰しもが、家を出たくなったり、自分のアイデンティティって何なんだろう?」と考えると思うんだけど、そのあたりからストーリーを考えていったんだ。家族の元を離れて大きな街に出て、たくさん失敗をして、また家に戻る…そんなストーリーをね。
――監督もそういうご経験があるのですか?
ウィル・グラック監督:あったんじゃないかな、と思うよ(笑)。僕には子供が2人いるんだけど、最近そういう話もしていたしね。どこに住んでいても、ハワイでもNYでも東京でも、自分が誰であるか模索してその場所を飛び出したいと思うことは誰にでもあるんじゃないかなと思っているよ。
――そんな、ティーンエイジャーまっさかりのピーターにとって、バーナバスはとても魅力的にうつっているキャラクターですよね。
ウィル・グラック監督:ピーターラビットは原作で父親をはやくに亡くしているので、父親の様に頼れる人を求めるということもあると思います。そんな中、「行くべきではない道に行った時にどうなるのだろう?」という存在がバーナバスなんです。
――バーナバスのシーンは悪いカッコ良さがありますよね。
ウィル・グラック監督:英国系のギャングスタ映画を参考にしたよ、ガイリッチー 作品等を観て、悪い感じで振る舞える動物たちをデザインしたんだ。彼らが実際に盗むものって「フルーツ」なんだけど(笑)、「本当にワルなのかもしれない」という雰囲気が漂うように意識したんだ。
――本作でのピーターは色々なすれ違いから、自分を誤解されて凹んでしまうシーンも多いですね。監督は本作のピーターを通してどの様なメッセージを伝えようと思いましたか?
ウィル・グラック監督:他人がどんな風に自分の事を言っていても、「自分を本当に正しく知っているのは自分だけ」なんだ。今のSNSの時代は特に、色々な人にジャッジされるけど本気にしちゃいけない。自分のことを一番知っているのは自分なのだと。そんなメッセージを伝えたいな。
――また、本作の中で絵本作家のビアが、やり手出版社のナイジェルから「こうしたらもっと売れる」「今の時代こうしないと!」と作品にどんどん手を加えてしまいますよね。ピーターラビットたちがパーカーを着たり、宇宙に行くという展開は笑いながらも、「こわい!」と思いました。……監督もそういった経験があったりするのでしょうか?
ウィル・グラック監督:イエス。イエス、もちろんだよ(笑)。ナイジェルさんが言っているセリフは全部、僕がハリウッドのプロデューサー陣に言われたことなんだ。原作者のビアトリクス・ポター先生も、本作でのビアの様な経験をしているから、これはクリエイターなら一度は直面することなのかもしれないね。
――実際に言われたセリフだったのですね…!そんな中、腐らずに監督が自分らしい作品を作れた秘訣ってありますでしょうか?
ウィル・グラック監督:自分が正しいと思えるかどうか、を絶対的に大切にすることかな。映画を作ることって、すごく感覚的なことなんだけど…。朝、支度をしてリビングにおりてきた、娘が「何か違う」と言っていて一緒に服を選びなおして「これがいい!」ってなる様な。そんな感覚の連続なんだよね。他人の意見も大切だけれど、最終的に自分が良いと思えるかどうか。
――素敵なお言葉をありがとうございます。今日は素敵なお話をどうもありがとうございました!
【動画】映画『ピーターラビット2/バーナバスの誘惑』予告
https://www.youtube.com/watch?v=QuDgYZVJ4QE&t=0s
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