ノートに沿って書き込むだけ! ファンタジー創作に役立つ”世界観設定ノート”
小説や映画、ゲームなどによく登場する「ここではない世界」。現実の国や歴史、文化などとは異なる世界観を作り上げる作業は、創作する側にとってワクワクすることであり、腕の見せどころともいえるでしょう。
かといって、どんな設定でも通るわけではないのが難しいところ。設定がきちんと成立していないと、「この世界にこんな文化はありえるのだろうか?」「いったいどういう移動手段でここへ来たのだろう?」など矛盾やツッコミどころが発生し、物語自体が破綻しかねません。
では、どうすれば物語の世界観をうまく作れるのでしょうか? 「ゼロから有を生み出すのは確かに難しいし大変だ。それなら、すでにあるものを参考にすればいい。つまり、現実世界を土台にするのだ」と、今回紹介する書籍『物語を作る人のための 世界観設定ノート』に記されています。
その言葉どおり、本書前半では現実世界がどのような要素で成り立っているのかをしっかりと解説。それをもとに後半では、用意されたテンプレートに書き込みながらオリジナルの世界観を創り出す実作をおこないます。
まず、第1章「世界観創作解説」で触れているのは、現実の世界における歴史、文化、宗教、国家、階級、地形・気候、食べ物、技術などについて。たとえば「技術」の項目を見てみると、現代の暮らしを支える電気や水道、通信技術、医療といったインフラ事情が説明されています。そのうえで、「電気がないというだけで、私たちの生活とは大きく変わるということを意識してほしい。できないこと、不便なことが多々出てくるだろう。しかしそれがキャラクターたちにとっては当たり前なのである」「考えておきたいのは、その世界で病気やケガをしたらどうなるか、ということ。(略)魔王を倒す旅をしているのなら、無傷でいられるとはなかなか考えられない。治療はどうするのか決めておこう」(本書より)など、物語の世界観を設定するためのアドバイスが加えられています。
こうした解説をふまえ、第2章「世界観創作ノート」では、いよいよオリジナルの世界観の創作へ。テンプレートは5つの世界パターンが用意されており、それぞれ国名や時代、人口、地形や気候、宗教、他の国・地域との関係といった項目を空欄に書き込んでいきます。「風習・現在の流行」「問題・課題・懸念」なんて欄もあり、架空の世界ながらも緻密な設定ができます。
また、最後の第3章「創作ノート サンプル」では、同じテンプレートでの記入例を掲載。ほかの人が作った世界観を見られるので、自分の世界観設定の参考になるでしょう。
ファンタジー作品や異世界が舞台の作品を創作したい人はもちろんのこと、そうした作品を楽しむのが好きな人にもおすすめの本書。みなさんの空想の翼を最大限に広げてくれる一冊といえるでしょう。
[文・鷺ノ宮やよい]
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