思考の痕跡と残像を織り成し合いながら、一つの作品へと創り出す。howra(淺井裕介、高山夏希)による初個展「偶然の地層の上に」
EUKARYOTEは5月14日(金)から6月6日(日)までの会期で、淺井裕介と高山夏希によって 結成されたアーティストユニット、「howra」による初個展、「偶然の地層の上に」を開催。
本展では、全ての作品を共同で制作し、新たな試みとなる大作2点を含めたキャンバス作品とドローイング、セラミック作品を展示。粘土の作品は淺井裕介にとって原点回帰とも言え、高山夏希は作品としての発表は初めてとなる。
戦前から、多くの芸術家たちがアトリエを構えた歴史ある豊島区エリアにて、現在制作活動のベースを置く作家たちによるアーティストコレクティブ「パルナソスの池」(淺井裕介、高山夏希、松井えり菜、村山悟郎)より派生した「howra」は、「池袋モンパルナス展2.0」(2020年)を堺に、二人の間で往復書簡のように作品を渡し合いながら共同制作を続けたことにより、2021年に結成された。
淺井裕介は1981年東京生まれ。近年の主な個展として、「なんか/食わせろ」(ANOMALY、2020 )、彫刻の森美術館での「淺井裕介 ― 絵の種 土の旅」(2015-2016年)ほか、東京都庭園美術館の「生命の庭」(2019年)、「瀬戸内国際芸術祭」(2013-2016年・犬島)、「越後妻有アートトリエンナーレ2015」、ヒューストンのRice Gallery での個展「yamatane」(2014年)など、国内外のアートプロジェクトに多数参加しており、20mをゆうに超える壁画をはじめ、様々な環境で滞在制作されたダイナミックな作品は、多くの鑑賞者にインパクトを与え続けている。 主に自然物である土、鹿の血などを用い、素材や環境から生まれる色・表情に反応しながら、土から植物へ、植物から生き物へと変容し拡張していく、神話的とも言えるメタモルフォーゼの世界観を描き出す。
高山夏希は1990年東京生まれ。2014年と2016年に、「アートアワードトーキョー丸の内」にてそれぞれアッシュペーフランス賞、後藤繁雄賞を受賞。近年は「群馬青年ビエンナーレ2019」(2019年・群馬県立近代美術館/群馬)、「VOCA展2020 現代美術の野望 -新しい平面の作家たち- 」 (2020年・上野の森美術館/東京)に選抜されたほか、ブランドとのコラボレーション制作を展開するなど、活動の場を広げている。
複数の色同士が絡まりあった絵の具を盛り上げ、積層して削るなど、平面 / 立体の枠を超えた技法を用いて描かれた、生き物とも風景とも括り切れない緻密なイメージは、人間を含めた生物たちが、周囲の環境-光景を含めて一体化する世界観を、現代に生きる私たちに提示する。
制作手法や作品の表層においては異なる部分を持ちながら、二人に共通し、引き合わせたのは、イメージに素材を従わせるのではなく、そこにある素材や場所からイメージを引き出す方法論。
共同制作においては、意図的でもありながら自然発生的であり、淺井裕介でも高山夏希でもない何者かになろうとしている様態がそこにあると話すように、二人の作家が一つの支持体の間で、 思考の痕跡と残像を織り成し合いながら一つの作品へと創り出している。
淺井の描く生き物たちに、高山がメディウムを編み込むように表情が与えられたドローイングから、互いの色彩によって大胆に再構築されたもの、掘り起こされた壁画やレリーフの遺物を思わせるいでたちのペインティングなど、本出展作品において展開は多岐にわたる。
そこに置かれた色や素材、痕跡から想像力によって反応し、描く肉体的行為と内的イメージを同時に織り成し、飛躍していく様を楽しむかのような有機的な表現は、私たちが本来自然を介して持つ、原始的・根源的な想像力に働きかけ、焦点をあてる契機をもたらすだろう。
howra
戦前から多くの芸術家たちがアトリエを構えた歴史ある豊島区エリアにて、現在制作活動のベースを置く作家たちによるアーティストコレクティブ「パルナソスの池」(2020年 / 淺井裕介、高山夏希、松井えり菜、村山悟郎)より派生。2021年に結成された、淺井裕介と高山夏希によるアーティストユニット。
「偶然の地層の上に」
会期 : 2021年5月14日 (金) – 6月6日 (日)
参加作家:howra(淺井裕介、高山夏希)
※新型ウイルス感染対策のためオープニングレセプションは行いません
協力:ANOMALY
会場 : EUKARYOTE 1 – 3F (東京都渋谷区神宮前3-41-3) [東京メトロ銀座線 外苑前駅 出口徒歩10分]
時間 : 12:00 – 19:00
休廊 : 月曜日
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