「皆んな同じ顔をして笑っている」“Taking Peace for Granted” by FACE
FACEは自身の絵について「皆んな同じ顔をして笑っている」と言う。
キャンバスには制服のように揃った顔が描かれるが、時にそれは福笑いのようにあべこべな配置で描かれる。
状況、構図、筆使い、配色などの基本的な構成要素によってその単調な顔に絶妙なニュアンスを生み出している。
しかし描かれたキャラクターたちは本当に笑っているのか。
あるいは笑ったフリをしているのか、呆れているのか、疑問を投げかけているのか、嘲笑しているのか…
一点を見つめたような目をした真意の読み取れない顔はこちらの憶測をどこにも着地させず、憶測は宙に浮いた状態のままそのポップさだけを明るみにしてくる。
このように見る者が思いがけず抱いてしまう「浮遊感」こそがFACE作品の一つの特徴だと言える。
FACEのポートレイトは「目が口ほどに物を言わない」のである。
映画や漫画のワンシーンのようなイメージにはもちろんこちらに物語を想像させる力があるのだが、絵に向き合ったその瞬間、人物の表情から何かを読み取ろうとしてしまう私たちの習性が巧みに利用されていることに気がつく。私たちは知らず知らずのうちに「提示された状況の奥にあるものを想像させる」というFACEのテクニックに引き込まれている。これは台湾人の父と日本人の母を持つFACEだからこそ強調された、日本人的な「空気を読む」感覚から引き出された絶妙な物語の伝え方なのかもしれない。
窓の外を眺める女性、目玉を落としたキャラクター、銃口を突きつけられた裸婦。
コミカルでポップなその絵の奥にどんなメッセージや示唆があるのか、浮遊感の中で想像してみる他ないのである。
“Taking Peace for Granted” by FACE
4月16日(金)- 5月1日(土)
12:00 – 19:00
*祝日・日曜休廊
*展示スペースの都合上、入場人数を制限してご覧頂く場合がございます。入場をお待ち頂く可能性があります事を、予めご了承下さい。また状況次第で予約制へ変更する可能性もございます事ご理解の程お願い致します。
GALLERY TARGET
東京都渋谷区神宮前2-32-10
03 3402 4575
www.gallery-target.com
Supported by adidas Originals
FACE
台湾人の父と日本人の母を持つ、東京生まれのアーティスト/イラストレーター。
アパレル、広告、雑誌を中心に国内外問わずグローバルなアーティストとして活動の幅を広げている。
これまでにHUMAN MADE®︎、adidas、Better、SNEEZE magazine、Richardson magazine、
ISETAN、BEAMS、Foot Patrol、Disney、GOODHOODなどへ作品を提供。
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