潔くも骨太な日常の蓄積に焦点をあて“熱”を表現。三瓶玲奈による個展「熱をさわる」




昨年11月、中野駅(東京)からほど近い静かな住宅地のマンション一室に、オルタナティブ・アートスペース「MONO.LOGUES – モノローグス」がオープン。そのこけら落とし展でありシリーズ企画初回となる、三瓶玲奈による個展「熱をさわる」が開催される。


人間の知覚に強い執着を持つ画家、三瓶玲奈が掲げる一貫した研究テーマである光。今回はその光からの展開による“熱”への挑戦となる。
彼女は自らに課した、スケッチやドローイングといった日頃の鍛錬を反復し、情動の密度を生み出し、絵筆を通して作品に反映させている。
そしてその姿勢からは、言葉では容易に定義づけられない“知覚”へのあくなき試みに対する真摯な姿がうかがえる。


今回の作品群は発展し続ける画家・三瓶玲奈のそのような、ある種の潔くも骨太な日常の蓄積に焦点をあてたもの。抽象と具象を行き来し、支持体へとリリカルに映し出す彼女の絵画は、たしかに存在する見えないものを確かめる行為そのものなのかもしれない。

彼女が触れる“熱”は、モノローグスというモルタル色に覆われた空間にどのような軌跡を残すのか。


Yuma Yoshimura (美術家、MONO.LOGUES ディレクター)




熱を光を宿す絵 – 個展「熱をさわる」によせて


すっかり日も暮れて電気をつけずにアトリエにいると、そこらにある絵がそれぞれに光っている。
何のことはない、窓から入る微かな明かりがカンバスや紙の白地に反射して光っているだけであるが、その光景に私はいつも昔書いた文章を思い出す。


「絵画に落とし込んだ光は、たとえ真っ暗闇にあっても、そこにあると信じることができる。
そして私は暗闇の中でも光を宿したその絵を抱きしめて確かめることができる。夜明けを信じて、暗闇の中を絵とともに待つことができる。」


熱も、光も、同じままそこにずっと在り続けることはない。
目の前のものがなくなることを知りながら、そこにある熱に手をかざし、その熱と光を描きとる。


見えなくても、そこに温度があることを忘れないために。
そして暗闇の中でも、光を信じることを忘れないために。


2021 年2 月26 日
三瓶玲奈


三瓶玲奈「熱をさわる」
会期:2021 年4 月2 日(金)- 4 月26 日(月)
日時:金、土、日、月のみオープン
14:00~19:00 ※日曜日は13:00~18:00
他の曜日はアポイントメント制です。事前にご連絡ください。
E-mail: [email protected]
会場:MONO.LOGUES 〒164-0001 東京都中野区中野5-30-16 メゾン小林101
https://www.monologues.jp/
入場料:無料
協力:Yutaka Kikutake Gallery


※ 新型コロナウィルス対策として、会期中はスペース内の換気を十分に行います。また、お越しの際はアルコール消毒とマスク着用にご協力ください。
※ 当スペースにはお手洗いがございません。予めご了承ください。




三瓶玲奈(みかめ・れいな)
画家。1992 年愛知県生まれ、2017 年東京藝術大学大学院美術研究科油画修了。
主な個展に2020 年「色を見る」(Yutaka Kikutake Gallery/東京)、2017 年「project N 69 三瓶玲奈」(東京オペラシティアートギャラリー)など。現在は東京都を拠点に活動。
日常の中で捉えた光景からその印象の元を辿り、繰り返し考察することで人間の知覚についての絵画表現を追求している。
WEB: https://www.reinamikame.com/

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