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キャパの「崩れ落ちる兵士」 ”NHKのヤラセ”か

キャパの「崩れ落ちる兵士」 

今回はザウルスさんのブログ『ザウルスでござる』からご寄稿いただきました。
※すべての画像が表示されない場合はhttps://getnews.jp/archives/291083をごらんください。
※この記事は2013年02月03日に書かれたものです。

キャパの「崩れ落ちる兵士」 ”NHKのヤラセ”か

キャパの「崩れ落ちる兵士」 

(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)
http://px1img.getnews.jp/img/archives/capa001.jpg

キャパの「崩れ落ちる兵士」 NHKの明らかな思考操作

洗濯機と並ぶ怠惰な国民の必需品は“洗脳機”、つまりテレビであるとわたしは思っている。先日家内が見ていたNHKドキュメンタリー「沢木耕太郎 推理ドキュメント 運命の一枚 ~”戦場”写真 最大の謎に挑む~」をパソコンの仕事をしながら、ちらちらとつい最後まで観てしまった。

話は、キャパのあまりにも有名なあのスペイン内戦で撮ったという「崩れ落ちる兵士」の真実を求めて沢木耕太郎という作家がスペインの現地に足を運び、ついにその真実をつかむという内容である。NHKの解説によると、「ネガは勿論、オリジナルプリントもキャプションも失われており、キャパ自身も詳細について確かなことは何も語らず、いったい誰が、いつ、どこで撃たれたのか全く不明なのだ。キャパに魅せられた沢木耕太郎氏は、20年近くこの謎を追い続け、今意外な「真実」にたどり着こうとしている。」

結論は、この兵士は撃たれても、死んでもおらず、兵士が足を滑らせたところをたまたま撮っただけであるというものだ。これをこの写真と同日に撮られた何十枚かの写真と現地の地形との比較検証などによって明らかにしていくのだ。1936年当時のこの日にはその場所では記録上戦闘はなく、他の写真もこれが実戦ではなく、のどかな演習風景の一部であることを裏付けている。なんだか、これだけですでに”やらせ”である疑いは十分ではないだろうか。

NHKのテレビカメラは沢木耕太郎が現地住民やスペインの軍関係者に通訳を使ってインタビューをしている様子を映す。彼は現地の地形写真や当日の他の写真を使って日本の専門家にカメラと人物との位置関係をCGで再現させる。そして、やはりあの伝説の写真に写っている兵士が実際は撃たれても死んでもいないことを”実証”していくのである。

見終わって、なるほど、また現代史の神話の一つが暴かれたのかと思った。しかし、どうも引っかかるものがあって、“Capa, falling soldier, fake” のキーワードでグーグル検索してみると、出てくる、出てくる。何のことはない、40年ほど前から欧米の写真家のあいだではキャパの “The Falling Soldier” は fake(やらせ) であることが常識になっているではないか。そして単なる言いがかりではなく、証拠も山ほど積まれているのである(そのほとんどは英語であるが)。最近新しく同日に撮られた写真がまた出てきたということだが、そんなものが無くてもすでに十分に”クロ”だったのである。要するに、お恥ずかしいことだが、わたしが無知だっただけである。

問題は、このNHKドキュメンタリーでは沢木耕太郎がまるで世界で初めてキャパの「崩れ落ちる兵士」が“やらせ”であることを突き止めたかのような構成になっている点である。まるで沢木耕太郎の手柄であるようなドキュメンタリーである。この番組を観たわたしのような無知な日本人がそう思い込むように作られている。わたしはこの沢木耕太郎という作家のものは今まで何一つ読んだことはないし、この作家に対して何一つ先入観は持っていないつもりだ。この人物は調べてみると作家であり写真家でもある。そしてキャパについて書かれた英語の本の翻訳も何冊かしている。つまり、彼は“やらせ”説が昔からすでにあって十分な証拠があることも十分知っているのである。最近になってNHKと一緒になって真実を突き止めたというのではないのだ。しかし、日本の大衆にあまり知られていない”真実”を、あたかも一人の日本人が“現地調査”によって、ついに解き明かしたかのような、いかにも日本の視聴者が喜びそうなドキュメンタリーに仕立てている。しかし、その“真実”が海外の数多くの人々によってすでにほとんど明らかにされているという事実を伏せているのは恩知らずで不誠実ではないだろうか。恥ずかしくないのだろうか。それらをさんざん利用していながら、日本の一般の視聴者の無知に付け込んで自分一人で解明した顔をしている。世間ではこれを“パクリ”と言う。

沢木耕太郎は、キャパが弱冠22歳のときに発表した“やらせ”の「崩れ落ちる兵士」によって時代の寵児になり、その後その「崩れ落ちる兵士」について語ろうとしなかったことについて番組の中で非常に同情的に語る。何のことはない、沢木耕太郎自身、海外の“やらせ”説のパクリをしていながら、番組ではそのことには一言も触れないのである。たしかに、同情的にに語るはずだ。NHKの解説はこう語る。「番組は、沢木さんの新事実発掘と思索の旅に同行、さらに最先端のCG技術を駆使し、「崩れ落ちる兵士」がどのような状況で、そして誰の手によってカメラに収められたのか、世紀の謎に迫っていく。」“世紀の謎”が彼によって解き明かされたわけである。“やらせ”というウソを、海外の諸説の“パクリ”というウソによって、自分が独力で実証したフリをしているのである。なるほど、キャパに共感したくなる気持ちもよく理解できる。同類ではあるが、キャパは22歳の若造だったが、沢木耕太郎は、調べたら何と66歳ではないか。しかし、どうして”写真家”という人種はこうも”ウソ”について無感覚なのであろうか。おそらく写真でいくらでもひとを騙せることに味をしめてしまうと感覚がマヒしてくるのだろう。これはテレビという映像でも同じだ。

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