ポルシェジャパン主催のeレーシング大会「Porsche Esports Racing Japan Season 2」を観戦してきた
2020年9月9日(水)にポルシェジャパン株式会社が開催を発表した「グランツーリスモSPORT」によるバーチャルなポルシェワンメイクレース「Porsche Esports Racing Japan Season 2」
ポルシェ・911 GT3 Cupで争われる「Porsche Carrera Cup Japan」同様、「Porsche Esports Racing Japan」もポルシェジャパンが主催するワンメイクレースシリーズとなっており、2019年にSeason 1が初めて開催されている。
今回の「Porsche Esports Racing Japan Season 2」では、初の試みとしてオンライン予選へ参加できない選手でも出場できるようオフライン形式での予選も実施。
オンラインでの予選全5戦を勝ち抜いた上位9名と、オフラインで開催された予選から1名の合わせて10名がセミファイナルに駒を進め、オフラインによる決勝大会が2020年12月20日(日)に原宿にある商業施設「Jing」にて開催された。
会場となったのは原宿・Jing
Jing
「Porsche Esports Racing Japan Season 2」の会場となるJingでは前日の12月19日(土)まで、ポルシェのEVスポーツカー「タイカン」のポップアップストアがオープンしており、会場外には鮮やかな赤のタイカンが展示されていた。
タイカン
道路沿いの壁一面にムービーが映し出され、通行人の目を惹く。
911 GT3 Cup
会場内にはポルシェカレラカップシリーズで使用されている「911 GT3 Cup」の20号車が展示されていた。
ポルシェジャパン株式会社 前田謙一郎氏
決勝戦のオープニングでは、ポルシェジャパン株式会社の前田謙一郎氏による挨拶が行われた。
アリー氏(左)、大塚リコ氏(右)
MCをアリー氏、解説を大塚リコ氏が務め、レースの状況や選手の情報などが発信される。
全10名の選手によるセミファイナル
全10名の選手
セミファイナルは各5名ずつの2グループに分かれ、それぞれの上位2名が決勝戦へ進む。
セミファイナルで上位2名に入れなかった場合でもルーザーズで1位を獲得すればファイナルへの進出権を獲得可能だ。
東京エクスプレスウェイ
セミファイナルグループA、グループBはともに同一レギュレーションで行われる。
車両はポルシェの「タイカン」で、コースは「東京エクスプレスウェイ」
首都高速をモチーフにした都心部を駆け抜けるコースとタイカンの美しさが、現実では不可能なアングルで映し出されるレースとなる。
ローリングスタート
ローリングスタートで始まるセミファイナル。
グループAのポールポジションは赤のタイカンを駆る宮園拓真選手だ。
グループAでは2番手スタートの川上奏選手と國分諒汰選手による激しい2位争いが繰り広げられた。
2位はファイナルへ進出が確定するが、3位だとルーザーズで1位を獲得しなければファイナルへの道は途絶えてしまう。
大きな分かれ目となるため両者譲らない戦いとなったが、それを制したのは3位スタートの國分諒汰選手だった。
宮園選手と國分選手がファイナルへ、川上選手と今里駿斗選手がルーザーズへ進出となった。
今井慶春選手のルーザーズ進出は、グループBの結果に委ねられる。
レースの実況が行われる
グループBでは最年長・山中智瑛選手がポールポジションに立ち、以下、鍋谷奏輝選手、加藤達彦選手、清水裕生選手、吉田匠吾選手という順でレースがスタート。
クリーンだが、どの選手も一歩も譲らないレース展開となり、全選手がスタート時の順位のままフィニッシュ。
5週という短いレースの中で、ハイレベルなプレイを視聴者は目の当たりにすることとなったのではないだろうか。
熾烈な争いとなったルーザーズ
使用されるコックピット
たった一人が決勝への進出権を得ることができるルーザーズでは、セミファイナルで使用した車両の4輪駆動であるタイカンではなく、ミッドシップの「911 RSR」が使用車種に指定された。
また、コースは富士スピードウェイが使用され、スタート形式もグリッドスタートとなる。
スターティンググリッドは前方から川上選手、加藤選手、今里選手、清水選手、そしてセミファイナルで今井選手のタイムを上回った吉田選手の順だ。
配信は会場の大型スクリーンにも映し出される
約1.5kmという長い直線を擁する富士スピードウェイ。勝負のカギはやはりホームストレートとなった。
どの周回でもストレートでスリップストリームを使ったドッグファイトが繰り広げられ、1コーナーの奪い合いが行われる。
川上選手、加藤選手による1位争いが白熱する中、ジワジワと順位を上げてきた吉田選手も1位争いに加わり、ホームストレートではスリーワイドになろうかという接戦に。
決着が読めない状況になる中、ファイナルラップはさらに白熱。
混戦の中、コカコーラ・コーナーで今里選手がスピンを喫し、それに吉田選手が巻き込まれる。
さらにダンロップコーナーでは加藤選手がスピン。その間に4位スタートの清水選手が首位へ躍り出た。
そのまま逃げ切り、清水選手がトップでチェッカー。見事ファイナルへの進出を決めた。
栄えある優勝の栄冠を手にするのは誰か
鈴鹿サーキット
優勝賞金100万円を受け取る勝者が決まるファイナルの舞台は鈴鹿サーキット。
「Porsche Carrera Cup Japan」に出走する車両のリバリーが施された「911 GT3 RS」が指定される。
ファイナルでは使用タイヤにレーシングミディアム、レーシングハードの選択が可能となるが、レース中に1度のレーシングハードタイヤ装着を義務化。
純粋な速さに加え、タイヤ選択やピットインのタイミングといった戦略もプレイヤーには求められる。
フロントローからスタートする宮園選手、山中選手はレーシングハードタイヤを選択。
その他の3選手はレーシングミディアムでのスタートとなった。
2周目の宮園選手
レーシングミディアムでスタートした國分選手が、オープニングラップのデグナーで山中選手をオーバーテイク。
2周目には宮園選手もパスし、1位に躍り出る。それに乗じて山中選手も2位へ浮上。
しかし、3周目に國分選手はピットイン。レーシングハードへタイヤを履き替え、その間に4台が順位を上げた。
宮園選手
デグナーカーブで山中選手がハーフスピンし一気に3位まで順位を落とし、いよいよ各選手のタイヤマネジメント能力が問われる頃となる。
宮園選手もピットインし、そして國分選手も2度目のピットイン。
再び首位に立った山中選手はレーシングハードのままレース続行を選択するも、グリップ力低下に耐え切れなかったか次の周でピットイン。
目まぐるしくトップが入れ替わる。
終盤も熾烈なトップ争い
終盤、國分選手がスプーンカーブでアンダーステアを喫し、インから宮園選手が抜きにかかりトップへ。
國分選手は食らいつくものの、宮園選手がそれを許さない。
そんな二人の攻防の間に再び山中選手がトップ争いに加わる。
チェッカーを受けた山中選手
ファイナルラップ、西ストレートで山中選手が首位の宮園選手へ並ぶ。
130Rを2台並んだまま駆け抜け、一歩宮園選手がリードしているかのように思えたが、シケインの侵入で山中選手がアウト側から仕掛ける。
続く2個目のシケインでイン側を確保した山中選手、そのまま宮園選手を抑えホームストレートへ。
見事ファイナルラップでチェッカーを受けたのは山中選手となった。
2位には宮園選手が、3位には鍋谷選手が入った。
リアルモータースポーツさながらの表彰式
表彰台
表彰式では実際のモータースポーツの表彰式のようにミシュランのキャップをかぶって3選手が登場。
見事優勝の栄冠を獲得した山中選手には、ポルシェジャパン株式会社より賞金100万円が贈られ、2位の宮園選手、3位の鍋谷選手、そして4位の國分選手にも商品が贈られた。
山中選手
3位の鍋谷選手は「決勝進出を目標にしていた。表彰台に登れたので満足している。」と語り、2位の宮園選手は「タイヤがたれてきた最後のコーナーでブレーキをためらったことを後悔している。悔しいが、今回のレースで自分が一歩成長できたと思う。」とコメント。
優勝の山中選手は「決勝戦ではタイヤ選択が功を奏した。最後のブレーキングまで宮園選手といいバトルができたことを嬉しく思う。」と語り、優勝賞金100万円の使い道については「マイカーのローン返済に充てたい。」と笑いながらコメント。
「コロナ禍にある今は難しいが、今日戦ったみんなとの食事会もできれば。」とも語った。
10名の選手
eスポーツを通してポルシェをもっと身近に
「911 GT3 Cup」に乗り込み興奮する筆者
レース終了後、ポルシェジャパン株式会社の前田謙一郎氏は今後のポルシェとeスポーツの関わりについて語った。
次回の開催からは実車とリンクした取り組みなども検討するとし、「若者の車離れ」が叫ばれる昨今におけるeモータースポーツの重要性などを筆者は感じることができた。
新たに登場したEVスポーツカー「タイカン」についてももちろん注目であるが、こうした取り組みや活動にも注目することで、高級スポーツカーブランドであるポルシェを身近に感じることができるのではないだろうか。
「Porsche Esports Racing Japan Season 2」についての情報やポルシェブランドについてはポルシェジャパン公式サイトから確認できる。
なお、「Porsche Esports Racing Japan Season 2」はTwitterやTwitchでアーカイブ映像が配信されているため、そちらも是非確認してほしい。
© 2020 Porsche Japan KK
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