素材との対話の中で自らの身体を通して作り上げる。松永直個展「Panta Rhei to Curtis LeMay」
Token Art Center(トークン アートセンター)では、2020年12月19日(土)より、松永直の個展「Panta Rhei to Curtis LeMay」を開催)。
松永は、大学院修了後から現在までロンドンを拠点に活動しており、これまでセラミックや木材を用いた立体やレリーフ、ペインティングなどを制作してきた。松永の立体作品は、それぞれ形状の異なるピースを組み合わせ、ぎりぎりの微妙なバランスで自立したものが多くある。それらはどこかストーンヘンジのような古代の儀式的な空間のようでもあり、歪な生き物のようにも見える。細部に目を凝らすと、それぞれのピースにはプリミティブな筆致でドローイングや彩色が施されているのがわかる。
松永は作品を作る際、常に目の前にある素材に対しどのようにリアクションできるかということを大切にしている。例えば素材となる木材を割るとそこにしかない形が現れる。その形に対し松永がリアクションする。それによって素材がまた表情を変える。アクションとリアクションの繰り返し。自らの念頭にある形状を作り上げるのではなく、そういった自身の内奥と素材とのやり取りの往還の中で自然と、あるいは無意識的に作品が出来上がってくることを松永は望んでいるのだ。そのようにイメージが流れ出てくる状況を作るために、一つの行為にかける速度や時間を制御したり、素材との物理的距離を変更したりする。それは瞑想のような意識状態に近いのかもしれない。松永は一個人の意図するものを越え、時代や地域を貫いて人間が奥底に持っているイメージを素材との対話の中で自らの身体を通して作り上げようとしているのだ。
本展タイトルにあるPanta Rheiはヘラクレイトスによって提唱された概念で万物が流転すること、Curtis LeMayはナパーム弾を初めて東京に落としたアメリカ軍人を指している。ロンドンを拠点に活動している松永は、今回新作を制作するにあたり、会場のあるすみだの街並や景観にどのようなことが作用してきたのかに意識に置いてきた。
これまでの制作スタイルに松永の考えるすみだの地域性が加わり、どのような作品が生まれるのか。なお、本展会期は2020年12月19日から2021年1月31日までとなっているが、12月19、20日は、周辺で行われる企画展「泥深い川」の一環として開催される。
松永直個展「Panta Rhei to Curtis LeMay」
2020年12月19日(土)から2021年1月31日(日)土日祝のみ 12:00-19:00
(2020年12月19、20、26、27日、2021年1月9、10、11、16、
17、23、24、30、31日)
※12月19、20日は企画展「泥深い川」の一環として開催。
なお、1月2、3日は休廊となりますのでご注意ください。
http://token-artcenter.com/muddyriver.html
※ご来場の際には必ずマスクをご着用いただき、入口にて手指のアル
コール消毒にご協力ください。新型コロナの諸症状がある方、体調の
優れない方はご来場をお控えください。
開廊時間 12:00から19:00
Token Art Center(トークンアートセンター)
〒131-0032 東京都墨田区東向島3-31-14
e-mail:[email protected]
HP:token-artcenter.com
松永 直 Nao Matsunaga
1980年 大阪府生まれ 英国ロンドン在住
2007 年 ロイヤルカレッジオブアート セラミックアンドグラスプログラム修了
主な個展
2019年 「Gillian Ayres, Rachel Jones and Nao Matsunaga」 New Art Centre (Salisbury, UK)
2018年 「Raw Faces」 Crafts Study Centre (Farnham, UK)
2017年 「Blue and White」 New Art Centre (Salisbury, UK)
2017年 「Nao Matsunaga/James Rigler」 Marsden Woo Gallery (London, UK)
2017年 「Standing On The Verge/Live Up」 British Ceramics Biennial
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