自分の庭で「花もちのよい花」を育てよう!
切り花にして、さまざまな花をアレンジして飾っていると、気づきます。あっという間に枯れ込んでくるもの、長く美しい花姿をキープするもの、花の種類によって花もちがずいぶん違うものだと。自分の庭で花もちのよい花を育ててみませんか?
花もちが良い花は、育てやすく花色豊富なものが多い!
花もちがよい花は、一般的に強健で、育てるのに難しいテクニックは必要ありません。そのうえポピュラーな品種が多く、苗やタネの入手も容易です。花色豊富な草花が多いので、ぜひお好みのカラーを選んで育ててみて。
切り花を長持ちさせるための基本テクニック
いくら花もちがよい性質の草花であっても、きちんと手入れしないことには長持ちしません。基本的な切り花の扱い方、花もちよくするための活け方のポイントをご紹介します。
まずは、前処理。余分な葉やツボミを取り除きます。葉が根元付近までついている場合には、水につかる部分の葉を取り除きます。開花にたくさんのエネルギーが必要なツボミも、咲きそうもないものは取ってしまいましょう。
手早く前処理を終わらせて、水をたっぷり入れたバケツなどに花を入れます。そして茎を水に深く浸した状態で、よく切れるカッターや花ばさみで茎を斜めにカット。
水圧を利用して、茎断面から一気に水を吸わせます、このとき、断面が広いほうが効果的なので、斜めに切るのです。その後、しばらくそのまま水につけて置き、たっぷり水を吸わせます。このテクニックを「水切り」といい、植物に水を吸わせる「水揚げ」のポピュラーな方法です。
花を活けたあとは、こまめに水を替えること、水替えと同時に茎をさっと洗って、雑菌の繁殖を防ぐとよいでしょう。
それでも、時間の経過とともに花がしおれてくるのは仕方ないことですが、最後の手段として、「水切り」の手法で茎を短く切ってみてください。よく水を吸うようになれば、花が復活することもあります。
花もちのよい花)アルストロメリア
アルストロメリア(ユリズイセン科)は、町の花屋さんでよく見かけるおなじみの花。よく日持ちがするお花としても大人気です。花もちさせるコツは、受粉させないこと。花粉はなるべく取り去ってください。
アルストロメリアは、現在咲いている花の横に、小さな蕾がよく見られます。次に咲く「二番花」で、最初の花の状態が悪くなったら摘み取り、二番花が咲くのを待つと、さらに長い間アルストロメリアが楽しめます。
また、アルストロメリアを育てるときには、お好みの花色の苗を選び、9月の終わりから11月上旬くらいまでに植え付けましょう。
庭植えでも鉢植えでも育てられますが、日向もしくは明るい日陰で育てるのがポイント。寒さには割合強く、土が凍らなければ戸外で越冬も可能です。
アルストロメリアは多年草なので、翌年の5~7月にまた花が咲き、切り花でもたくさん楽しめますよ。
花もちのよい花)キク(マム)
キク(キク科)は、しっかり日持ちしてくれる花です。水換えなど手入れをきちんと行えば、2~3週間花もちするつこともまれではありません。
キクを長持ちさせる裏技は、茎をハサミでなく手でポキンと折ること。さらに水揚げがよくなります。
家でキクを育てる際には、菊花展や菊人形でおなじみの「大菊」ではなく、鉢花などでよくみかける「ポットマム(洋菊)」が手軽です。「スプレーギク」などとも呼ばれます。
花色が多彩なうえ、球状に咲くポンポン咲きや八重咲など、花姿もいろいろ。9~11月に、たくさんの花を咲かせます。
注意したいのは、夜間の明かりです。照明などで夜も明るい場所でキクを育てるのは禁物。キクは一定時間暗さを感じないと開花しない「短日植物」のため、夜明るい環境下では花が咲きにくくなります。
照明を避けられないなら、段ボールをかぶせて暗くするなど工夫を。
花もちのよい花)ハボタン
ハボタン(アブラナ科)は、寂しくなりがちな冬花壇で重宝する華やかな草花。花に見える部分は葉で、活けた状態で長く鑑賞できます。下のほうの葉が黄変したら取り除いていくと、1カ月以上楽しめるでしょう。
ハボタンは、冬に出回る苗を購入するほか、夏にタネをまいて育てることもできます。一昔前は大型品種に注目が集まっていましたが、現在は草丈5㎝ほどの実にミニサイズも。切り花はもちろん、寄せ植えや花壇植えなど、用途に合わせてサイズはいろいろ選べます。
なお、ハボタンは一年草と思われがちですが、二年越しで育てられる植物です。1本の株立ちから翌年には枝別れして「踊りハボタン」となり、また異なった風情を楽しめます。
花もちのよい花)スターチス
園芸店はもちろん、スーパーでも切り花をよくみかけるスターチス(イソマツ科)。花もちはとても優秀で、花瓶にさして数日を経ても色をほとんど変えず、そのままドライフラワーになっていることも少なくありません。
というのも、スターチスの花と思われているカラフルな部分は、実は「「萼(ガク)」。本物の花は、萼の中にある小さな白い部分です。白い花が散ってしまっても萼はそのまま色を変えず残るため、「花もちがよい」となるわけです。
スターチスを育てるときには、日当たりがよく水はけのよい場所に植えるのがコツ。また、根を切られることを嫌ため、苗をポットから出して植え付ける際には、根鉢を崩さないように注意しましょう。
花もちのよい花)ケイトウ
ケイトウ(ヒユ科)は独特な姿が愛され、昨今はハロウィンをイメージしたアレンジなどでも再注目!
切り花を楽しむ場合、花よりも先に葉が傷んでくることが多いので、悪くなった葉は適宜取り除いてください。
また、茎が腐りやすい傾向があるので、花瓶の中の水は少な目にして。水替えするときに、茎をさっと洗って細菌の繁殖を防止しましょう。
ケイトウはビギナーでも育てやすい強健な植物です。花の姿によって、4種jに分類されます。鶏冠のようにフリルに入った「トサカ系」、まるで脳みそのように入り組んだ球状の「クルメ系」、 羽毛のようなふさふさな穂の「プルモーサ系」、「キルドシー系」は「ヤリゲイトウ」とも言われ、羽毛状の花が円錐状に咲く品種です。
どのタイプも育てやすさは共通なので、お好みの花姿をセレクトして。
花もちのよい花)ユリ
ユリ(ユリ科)は、花屋さんなどプロの方はもちろん、花好きな人なら誰しも「花もちのよい花」として名をあげる草花です。活けているうちにどんどん咲き進み、花びらが散りますが、同時にツボミがどんどん咲く姿も鑑賞できます。
咲き切った花は首から切り落とすこと、花粉を取り除いて受粉させないことが、花もちをキープするコツです。
ユリは球根植物で、育てることは比較的容易です。ユリの球根を選ぶ際には、球根を覆ううろこ状の鱗片(リンペン)が乾燥していないもの、球根の下部から根が元気よく伸びているものを選びます。
球根は乾かないうちに植え付けますが、根の力で球根が土から出てこないよう、球根の高さの3倍の植穴を掘りましょう。
花もちのよい花)カスミソウ
一昔前の花束には、必ず入っていたカスミソウ(ナデシコ科)。脇役と思いきや、昨今は楚々とした小花として人気を得ています。
カスミソウは弱々しく、あっという間にしおれそうに見えて、実は花もちのよい花。そのうえ、花が茶色くなってきてもよい風情で、活けたままドライフラワーにするのもおすすめです。
カスミソウを育てるときは、苗を購入するかタネまきをしますが、移植を嫌うためタネは育てる場所、育てる鉢に直接まくとよいでしょう。
加湿にならないように注意して、どちらかというと乾燥気味に管理するのが栽培のポイントです。
カスミソウには様々な品種があり、宿根草の品種は茎が長くなるものも。茎が折れるのを防ぐため、支柱をたてて育ててください。
おわりに
いかがでしたか? 切り花にしても花もちがよい草花は、なんだか得した気分。花屋さんで購入した切り花にも、長持ちのコツを実行してみてくださいね。
おすすめ記事
「Pacoma」はホームセンター系のフリーペーパーに出自を持つ、「暮らしの冒険」がテーマのライフスタイル系Webマガジン。ノウハウ記事からタレントの取材記事まで「暮らしを楽しむためのアイデア」をテーマに日々発信しています。
ウェブサイト: http://pacoma.jp/
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。