藤岡みなみ|思い立ったがDIY吉日<vol.50>

藤岡みなみ|思い立ったがDIY吉日<vol.50>

タレントの藤岡みなみさんが、モノづくりに対してのあれこれをつづるコラム連載!題字ももちろん本人。可愛くもシュールな世界観には、思わず引き込まれちゃいます。今回は、のれん作りにチャレンジ!

藤岡みなみタレント、エッセイスト。タイムトラベル専門書店 utouto店主。縄文時代と四川料理が好き。やってみたがり。
ブログ:藤岡みなみ 熊猫百貨店
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50年後のためにスープを研究しています

スープ屋さんになりたい!をかなえました。

 
おばあちゃんになったらスープ屋さんをやりたい。路地裏の古民家をちょっと気持ちよく改装して、ドライフラワーを飾って、窓からいつもいい匂いをさせる。お腹をすかせた近所の子どもがひとりでも遊びに来られて、しかも、仕事で心が荒んだ大人たちのおなかもあっためられるような場所。

 

むかしからスープを食べるのが好きだったけれど、この頃とくにスープ作りに凝っている。最近本当の「うまみ」に目覚めた。いままではコンソメとか、鶏がらスープの素とか、そういうものをドバドバ入れてスープに味をつけていた。それ以外にうまみの生み出し方がわからなかったからだ。でも、もっといろんな味のスープを作れるようになりたくて、一度素材に注目してみることにした。野菜や肉などの材料のほかはあえて塩と油しか使わないレシピを探す。いくつか作ってみて驚いた。え、いままでより深い……。
少ない調味料でも火を入れるタイミングや時間を気にしたり、焦げ目をつけたりと少しのコツで素材のポテンシャルが花開く。白菜とひき肉の豊かな風味、アスパラのさわやかな香り。おいしいスープを飲むと体にしみわたるだけでなく、いまいる部屋、その空間をもすーっと満たしていくような広がりを感じる。心がゆるんでスープのなかに溶けていく。改めてスープに恋をした。

スープは素材のうまみ大会。

 

スープ屋さんはおばあちゃんになってからの夢ではあるけれど、せっかくのこのスープ熱が冷めないうちに、遊びで小さくやってみようかな、という気になった。家の中で開店して、お客さんは自分と家族だけ。おばあちゃんになるときまでに腕前が上がるように、少しずつコツコツ研究するのだ。

 

のれんは無限大!一枚の布で夢が始まる

ミシンに没頭するのは気持ちいい。

 
思い立ったがDIY吉日。そうと決まったらスープ屋さんののれんを作ってみよう。白い布があったからあれを四角く切って……イメージはすぐに湧いた。まずはそののれんに描くお店の名前とロゴを考える。
こういうところからDIYは始まっている。むしろ、形にしなくても妄想するだけのDIYだってあるかもしれない。架空の名前を考えるのが好き。自分が格闘家だった場合のリングネーム、相撲取りだった場合のしこ名、ラジオネーム、ゴールデンレトリバーを飼うとしたらつけたい名前。名付けるとそこに、あったかもしれないパラレルワールドがうまれる。
スープ屋さんならどうだろう。みなみ、は数字にしたら373、だからとりあえず「soup373」とかどうかな。ちょっとそれっぽい。373って、考えてみたら365日より一週間ちょっとだけ多い数字なんだ。完全に後付けだけど、365日よりもっと飲みたいくらいスープが好きって意味を込めてみよう。気に入ったぞ。

真剣にロゴを考えてみるとますます夢ふくらむ。

 
久々にミシンを出してきた。まっすぐ切って、まっすぐ縫うだけの作業が一番好き。簡単だけど、ちょっぴりの集中力がいる。ぼーっと縫うとすぐ曲がる。ミシンで直線を縫っているとどんどん気持ちもまっすぐになっていく気がする。端っこはジグザグ縫いで処理したけれど、ちょっといびつになってしまった。まあご愛嬌。DIYの味わいのひとつ。

 

事前に考えたロゴをちょっと緊張しながら一発勝負で描いていく。おおむね上手く行ったけれどちょっと寂しい気がしたのでスプーンのイラストを足したら、スプーンないほうがいいな〜って仕上がりになった。まあご愛嬌。ご愛嬌多すぎ。

新しい気持ちを運ぶ、のれん。

 
完成したのれんをキッチンに出してみると……ちょっとひるむくらい、お店っぽい。遊びで始めたのにうっかり背筋がのびる。soup373、世界のすみっこで小さく開店です。今日のメニューはかぼちゃのポタージュ。未来の自分が見たら大笑いすることでしょう。

 

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