形のいい80センチのバストを男児の手だけで隠した“手ブラ”を披露」は2号ポルノの疑い
今回は奥村徹(大阪弁護士会)さんのブログ『奥村徹弁護士の見解』からご寄稿いただきました。
※この記事は2013年01月10日に書かれたものです。
形のいい80センチのバストを男児の手だけで隠した“手ブラ”を披露」は2号ポルノの疑い
不愉快というか、違法の疑い。
写真があるようですが、絶対に見てはいけません。
性器等=性器、肛門又は乳首をいう。
2号ポルノ=児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
なので、児童に乳首を触らせると、2号ポルノに該当する疑いがあります。
法律上は、児童が性器、肛門又は「乳首」を触らなければ抵触しないことになります。法律は「乳首」以外の乳房ならOKというのです。ちょっと変な規定ですが、1号2号は児童が裸である必要はありません。児童の裸は3号ですので
児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律
第2条(定義)
この法律において「児童」とは、十八歳に満たない者をいう。
2 この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。
一 児童
二 児童に対する性交等の周旋をした者
三 児童の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)又は児童をその支配下に置いている者
3 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
森山野田「よくわかり改正児童買春ポルノ法」
P78
(6) 性器等に触り・触らせる行為は、そのすべてが性的な行為とまでいえないので、処罰範囲範を合理的に限定するため、「自己の性的好奇心を満たす目的」の要件を付けています。例えば、医療行為で性器等に触ることがありますが、このような行為は一般的には性的な行為とはいえません。
(7) 「性器等」とは、性器、肛門又は乳首をいいます。このような身体の部位に触り・触らせる行為は、性交、性交類似行為に準ずる性的な行為であると考えられます。
(8) 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等を触り、又は自己の性器等を触らせる行為とは、例えば、児童の性器等に触っているが性交類似行為とまでは認められない行為が挙げられます。
P79
(16) 「他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態」とは、他人が児童の性器等を触る行為に係るもの、児童が他人の性器等を触る行為に係るものの2種類の児童の姿態のことをいいます。性器等とは、性器、肛門又は乳首のことです。
児童のこのような姿態であることが視覚により認識することができるものであれば、性器等が描写されていないもの、又はその部分にぼかしが施されているものでも、児童ポルノに当たります。
(17) 「性欲を興奮又は刺激する」という要件を付したのは、他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態を描写したものの中には、少年相撲の取組を搬影したものや、医学図書に掲載された児童に対する治療行為を撮影したものが含まれることになり、このようなものを処罰の対象から除外するためです。
警察庁執務資料(古い)P7
6 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの(第2号)
(1) 本号の「児童の姿態」とは、性交又は性交類似行為には当たらないものであって、
1.他人が児童の性器等を触る行為に係るもの
2.児童が他人の性器等を触る行為に係るもの
の2種類である.
1. については、第三者が当該児童の性器等を触る行為に係るものであり、2. については、当該児童が第三者の性器等を触る行為に係るものであると解される。
(2) 児童のこのような姿態であることが視覚により認識することができるものであれば、性器等が描写されておらず、又はその部分にぼかしが施されているものであっても本号に該当する。
(3) 「性欲を興奮させ又は刺激するもの」とされているが、これは、前記の最高裁判所の判例が示したわいせつ概念と比較すると、「いたずらに」(過度に)であることを要しないとしたものであり、かつ、「普通人の正常な性的差恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの」であるか否かについて論ずるまでもなく規制すべきとした趣旨であるが。単に性的な興味を引く程度のものでなく、それを超えるものでなければならない。
また、「性欲を興奮させ又は刺激するもの」は、一般人の「性欲を興奮させ又は刺激するものと解されることから、これに当たらない限り、一部の少数者の「性欲を興奮させ又は刺激するもの」であっても、本号に該当しない。
「性欲を興奮させ又は刺激するもの」についての判例も紹介しておきます
「他人に提供する目的で本件のような低年齢の女児を対象とする3号ポルノを製造する場合は、提供を予定されている人は一般人の中でそれらの画像で性的興奮や刺激を感じる人達が対象として想定されているものであり、そのような人に提供する目的での3号ポルノの製造も処罰しなければ、2項製造罪の規定の意味がそのような3号ポルノの範囲では没却されるものである。したがって、比較的低年齢の女児の裸の画像では性的興奮や刺激を感じない人が一般人の中では比較的多数であるとしても、普通に社会生活を営んでいるいわゆる一般の人達の中にそれらの画像で性的興奮や刺激を感じる人がいれば、それらの画像は、一般人を基準としても、「性欲を興奮させ又は刺激するもの」であると解するのが相当である。」なんて言い出したら、日本に数人しか居ない趣味であっても、一般的と言えることになります。
大阪高裁H24.7.12
2 控訴趣意中、その余の法令適用の誤りの主張について
論旨は、(1)本件各画像は、児童の裸が撮影されているが、一般人を基準とすると「性欲を興奮させ又は刺激するもの」ではないから、児童ポルノ法7条2項の製造罪(以下12項製造罪」という。)は成立しないのに、原判決は原判示罪となるべき事実に同法7条2項、1項、2条3項3号を適用しており、・・・、原判決には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある、というものである。
そこで検討するに、(1)の点は、本件各画像が「性欲を興奮させ又は刺激するもの」といえるかどうかについては一般人を基準として判断すべきものであることはそのとおりである。しかし、その判断の基準とすべき「一般人」という概念は幅が広いものと考えられる。すなわち、「一般人」の中には、本件のような児童の画像で性的興奮や刺激を感じる人もいれば感じない人もいるものと考えられる。本件は、公衆浴場の男湯に入浴中の女児の裸の画像が対象になっており、そこには大人の男性が多数入浴しており、その多くの男性は違和感なく共に入浴している。そのことからすると一般人の中の比較的多くの人がそれらの画像、では性的興奮や刺激を特に感じないということもできる。
しかし、その一方で被告人のようにその女児の裸の画像を他の者から分からないように隠し撮りし、これを大切に保存し、これを密かに見るなどしている者もおり、その者らはこれら画像で性的興室や刺激を感じるからこそ、これら画像を撮影し、保存するなどしているのである。
そして、これらの人も一般人の中にいて、社会生活を送っているのである。ところで、児童ポルノ法が規制をしようとしているのはこれらの人々を対象にしているのであってこれらの人々が「一般人」の中にいることを前提に違法であるか否かを考える必要があると思われる。他人に提供する目的で本件のような低年齢の女児を対象とする3号ポルノを製造する場合は、提供を予定されている人は一般人の中でそれらの画像で性的興奮や刺激を感じる人達が対象として想定されているものであり、そのような人に提供する目的での3号ポルノの製造も処罰しなければ、2項製造罪の規定の意味がそのような3号ポルノの範囲では没却されるものである。したがって、比較的低年齢の女児の裸の画像では性的興奮や刺激を感じない人が一般人の中では比較的多数であるとしても、普通に社会生活を営んでいるいわゆる一般の人達の中にそれらの画像で性的興奮や刺激を感じる人がし、れば、それらの画像は、一般人を基準としても、「性欲を興奮させ又は刺激するもの」であると解するのが相当である。
したがって、原判決が原判示各事実に児童ポルノ法7条2項、1項、2条3項3号を適用したのは正当である。
芸術だから、児童ポルノに該当しないという主張も簡単ではない。
京都地裁H14.4.24
6 弁護人は、前記「A」、「B」、「C」の各作品は芸術作品であるから児童ポルノに該当しないと主張する。
しかしながら、芸術的価値のあるものであっても、これを児童ポルノに該当するものとすることは差し支えないから、弁護人の主張は、その余について判断するまでもなく理由がない。
「ヤンマガ発売延期 AKB48河西智美の写真「不愉快な感情を抱かせる」」 2013年1月11日 『スポニチ Sponichi Annex』
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2013/01/11/kiji/K20130111004956380.html漫画雑誌「ヤングマガジン」(講談社)が11日、告知ページに不適切な表現があったとして、発売を延期すると発表した。
12日に発売予定だった1月29日号でAKB48のメンバー河西智美(21)の2月4日発売が予定されている写真集「とものこと、好き?」の広告記事で掲載している写真について「社会通念上、読者に不愉快な感情を抱かせると判断した」としている。
同写真集は表紙で、形のいい80センチのバストを男児の手だけで隠した“手ブラ”を披露。ランジェリー姿や入浴シーン、得意の料理や愛犬と戯れる素の姿も見せている。
写真集は昨年春に行われたAKB48の競馬予想企画「ガチ馬」の優勝ご褒美として発売される。
講談社は、写真を掲載したページを差し替えるなどして発売することを検討中
追記 1/12
板倉先生、若狭先生、児童ポルノ法2条3項2号を読んでください。乳首は「性器等」であって、児童が「性器等に触れています」
胸触るだけで児童淫行罪というは乱暴ですよ。それだと性器接触型の児童買春罪(2条2項)が全部児童淫行罪になっちゃいます。児童淫行罪は性交・性交類似行為だけです。
「AKB河西智美“写真集白紙”の全内幕 講談社損害「3億円超」も」 2013年1月12日 『ZAKZAK』
http://www.zakzak.co.jp/entertainment/ent-news/news/20130112/enn1301121458011-n1.htm日大名誉教授(刑法)の板倉宏氏は、「ただちに児童ポルノとはいえない。この写真だけで、法律に抵触するとまではいえない。出版社側の自主規制だろう」とみる。
元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は、「満18歳に満たない者との淫行などを取り締まる児童福祉法では、児童の心身に有害な影響を与えるような行為をさせることも禁じている。今回は、少年に対して成人女性の胸を触らせるのが、その行為に抵触すると(講談社側は)判断したのではないか」と指摘。
児童福祉法違反は児童との淫行で有罪になれば、懲役10年以下の懲役、300万円以下の罰金が科される。淫行以外でも、有罪になれば3年以下の懲役、100万円以下の罰金刑だ。
ただ、若狭氏は「児童ポルノに該当するのは、児童との性行為を描写したり、あるいは性行為を連想させる描写をした場合に限られる。たとえば性器に触れていたりすればまずいが、河西さんの写真は、そこまで過激なものとはいえない」と話している。
追記 1/13
こういうのも「性欲を興奮させ又は刺激するもの」の証拠になる。
「白人少年の小さな手に包まれ…AKB卒業の河西智美が衝撃の「手ブラショット」」 2013年1月10日 『Yahoo!ニュース』
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130110-00000003-jct-entAKB48では以前、前田敦子さんの写真集「不器用」(12年3月発売)で、前田さんが自らの手でバストトップを隠している「手ブラショット」を披露したことがある。しかし人の手によってバストを隠すというのは初の試みだ。
河西さんはAKB48の中でも「セクシー担当」とされることが多かった。
11年8月にバラエティー番組「EXILE魂」(TBS系)にAKBメンバーとプロデューサーの秋元康氏が出演した際、秋元さんは河西さんの印象について「何かエロい」「エロで覚えてください」と発言していた。
それを裏付けるかのように、自前の衣装で臨むじゃんけん大会では、11年は男物と思われる白いシャツを1枚身につけただけ、12年はタイトなミニスカートのスーツにめがねをかけ、教鞭を持った女教師スタイルで登場、2年連続でセクシーな姿を見せつけていた。
12年12月26日に発売された「ガチ馬」優勝ごほうびのソロデビューシングル「まさか」のジャケットでは、ボタンを全て開けたシャツを素肌の上にまとっているという大胆な写真が使われている。
ただ、本人は握手会でファンから「エロキャラ」扱いされたことを気に病み、11年9月にツイッターで「エロて言われすぎて病んだ」「悪ふざけに傷つくこともあるって気づいて欲しい」と投稿している。「セクシー担当」が自ら望んだ道というわけでもなさそうだ。
今回「セクシーの極致」ともいえる大胆手ブラを披露したことを、ファンはどのように受け止めているのだろうか。
2ちゃんねるの河西さん応援スレッドでは、「ありえんマジで普通でいいのに」「これはちょっと酷いな子供をわざわざ使うなよ引くわ」「ちょ…これは…賛否両論でしょ…お洒落な服着たチユウ(編注:河西さんのあだ名の一つ)が正直いいのにな…」「若干複雑だが、とも~みがこれでいこうって決めたんなら買って応援するのみ」などさまざまな意見が書き込まれているが、あまりの大胆さに戸惑っている人が多数だ。
執筆: この記事は奥村徹(大阪弁護士会)さんのブログ『奥村徹弁護士の見解』からご寄稿いただきました。
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