鮎川、チバ、ベンジーらとセッション! ウィルコ・ジョンソン最後の東京公演レポ
写真提供:レッドシューズ
パブ・ロックの代表格であるドクター・フィールグッドなどのバンドで活躍、後進のアーティストに多大な影響を与えてきたギタリストのウィルコ・ジョンソン。このたび彼が緊急来日し、1月10日に東京・レッドシューズでスペシャル・ライヴ〈TOKYO SESSION 2013〉を行った。ここではその模様をレポートする。
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開催直前にウィルコが末期のすい臓がんであることが公表され、その情報が一気に拡散したためか、会場に入り切れないほどのファンが集まったこの日のライヴ。彼の盟友であるベンジャミン・テホヴァルが、ボブ・ディラン“Like A Rolling Stone”などを演奏してすし詰め状態のフロアを温めると、ウィルコが今回の公演を企画した鮎川誠らシーナ&ロケッツのメンバーと共にステージへ。黒いボディーに赤いピックガードのテレキャスターとカールコードというお馴染みの機材で身を固めた彼は、「グッド・イブニング!」と言い放ち、ドクター・フィールグッドの“I Can Tell”からライヴをスタートさせる。
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前後に動く独特のアクションやギターを構える姿など、とても病に冒されているとは思えないパフォーマンスを披露するウィルコ。30年来の仲である鮎川とのギターの掛け合いも冴え、ステージはもちろんフロアにも笑顔が広がる。シーナがヴォーカルを取る“Fujiyama Mama”や、フィールグッドの人気曲“Roxette”が披露されると、会場はさらにヒートアップ! ここでルースターズ/ロックンロール・ジプシーズの花田裕之が現れ、ウィルコ、鮎川、花田が並んで演奏するというロック・ファンにはたまらない場面が展開。さらにThe Birthdayのチバユウスケも登場し、フィールグッドからの影響を公言していたTHEE MICHELLE GUN ELEPHANT時代のカヴァーも印象深いルースターズ“Do The Boogie”を歌う。
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そのままチバを交えての“Walking The Dog”や“I’m Talking About You”、THE PRIVATESの延原達治を迎えた“I’m A King Bee”、元ストリート・スライダーズの市川ジェームス洋二やベンジーこと浅井健一まで参加した“Route 66”など、豪華ゲストが加わってのセッションが続く。元ルースターズの池畑潤二らも姿を見せていたほか、SMASHの代表である日高正博が登場してウィルコとハグをするシーンなどもあり、出演者やオーディエンスといった区別なく、ウィルコに対するリスペクトで満たされた時間が過ぎる。ライヴ本編は、“Back In The Night”に続いてついに披露されたフィールグッドのキラー・チューン“She Does It Right”で締め。ウィルコ独特のピックを使わない奏法で繰り出される鋭いカッティングが、ことさら胸に響くようだった。
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当然のごとく湧き上がったアンコールで演奏されたのは、ウィルコのライヴではお馴染みとなっているチャック・ベリー“Bye Bye Johnny”のカヴァー。途中で「もう2度と会うことはないだろうけど」と語り、サビのフレーズ〈Bye Bye Johnny〉を〈Bye Bye Wilko〉と歌った彼は、「I Love You!」「アリガト!」と言い、最後まで笑顔でステージを後に。その背中には、会場のファンから「サンキュー、ウィルコ!」の大合唱が贈られた。なお、ウィルコ本人の意向により、今回のライヴで集まった金額はすべて東日本大震災の被災地に寄付されることに。また、会場の外にはウィルコへのメッセージが書き込める日の丸の旗に加えてモニターも設置され、入り切れないファンも彼の東京ラスト・ライヴを楽しんだ。
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昨日1月16日には京都・磔磔でTHE NEATBEATS、騒音寺、スキマノザラシ、ザ50回転ズらと共演したウィルコ。彼は帰国後に現在制作中の新たなCD作品を完成させる予定。さらにフランスでの公演とUKでのフェアウェル・ツアーも発表されており、後者のライヴは映像作品化する計画とのこと。ファンは続報に注目しておこう。
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