実写にはない表現や二転三転する物語が魅力!アニメ映画『君は彼方』松本穂香&瀬戸利樹インタビュー「クマのぬいぐるみを抱き枕に……」と告白

芸術、映画、そしてマンガ・アニメー ションの街として新しさの中に、どこか懐かしいレトロな部分も持ち合わせている街・池袋を舞台に描かれる、オリジナル長編アニメ映画『君は彼方』(11/27(金)より全国公開中!)のメインキャスト・松本穂香さんと瀬戸利樹さんの撮り下ろしインタビューをお届けします。

本作の監督・脚本・原作を務めるのは長編劇場アニメーション作品が本作で初となる瀬名快伸さん。主人公・澪(みお)を演じるのは、アニメーション初の主役となる注目女優の松本穂香さん。そして、主人公の幼馴染の新(あらた)を、ブレイク若手俳優の登竜門「仮面ライダーエグゼイド」で仮面ライダーブレイブ役を演じ、人気を集めた瀬戸利樹さんが務めます。

面倒くさいことが苦手な澪は、複雑な人間関係から逃げるように過ごしていたある日、突然事故に遭ってしまう。意識を取り戻した澪が目を開けると、そこはいつもと違う池袋の街並が。不思議な世界<世の境>に迷い込んでしまった澪は、元の世界に戻るために必要な“大切な思い出”を探すことになる。

果たして澪は新の元に帰ることが出来るのか? そして自分の想いを伝えることができるのか? 豊島区、池袋が全面バックアップで描く青春ファンタジーです。

お互いの声の印象に、瀬戸利樹「澪は僕好みの声」松本穂香「新は話していた声と違ってビックリ」

――最初に台本を読んだときの印象を教えてください。

松本:私はあまりアニメを観てこなかった人間なんですが、やっぱり実写じゃ絶対にできない表現や、アニメ映画だからこそ描けるものが「これでもか!」というくらい入っていて。澪のすぐ諦めてしまったりとか、自分に自信がないところは、いろんな人の中にあるものだな、と思って、たくさんの方にまっすぐ届く映画になって頂けたら嬉しいなと思いました。

――澪はとても等身大というか、どこにでもいそうな女の子ですよね。主人公の女の子って、がんばり屋さんが多いですけど、最初から諦めがちというのも珍しいなと思いました。

松本:そうですね。ちょっとダメダメな女の子なので、そこが共感しやすいのかな、と思います。

――だからこそ、成長が感じられるのだと思います。瀬戸さんは最初の印象はいかがでしたか?

瀬戸:一転二転、三転とする物語だなと思って、台本の文字しか見ていないのに感動して、これをやらせていただけるのかと思うと、すごくワクワクしたのを覚えています。

――1時間あたりで物語が一度集結に向かうように見えますが、そこからの「まだあるんだ!?」という展開が意外ですよね。

瀬戸:そうですね。そこが映像でもしっかりと表現されていたので、面白かったです。

――松本さんは声優のお仕事は2回目で、またやってみたかったそうですね。

松本:今回、監督からの演出が前回やらせて頂いたときと全然違うもので、より面白さを感じました。監督も声優さんをやられているということで、声の使い方や、思った以上に演技を大きく強めに出したほうが画に上手くハマったり、声が浮かずに馴染むことなど、基本的なことから教えていただいて。今回は、より声優さんのお仕事を感じられたのかな?と思います。楽しかったです。

――瀬戸さんは今回声優初挑戦ですが、決まったときの気持ちを教えてください。

瀬戸:今回、監督とお食事会に行かせていただいたときに、「キミにきめた!」と言っていただけて。

――『ポケモン』みたいですね(笑)。

瀬戸:本当にそうだったんです(笑)。たぶん、何人か新役の候補の方がいらっしゃって、その1人目として僕が会ったんですけど、「1人目だけど、君に決めた」と言ってくださり、決まったんです。そうやってお仕事が決まったことは今までなかったので、不思議な感覚でもありました。まさか自分が声優に挑戦できると思っていなかったので、とにかく嬉しい気持ちでいっぱいになりました。

――何が決め手だったのでしょうか?

瀬戸:人柄とおっしゃっていました(笑)。

――瀬戸さんは『仮面ライダーエグゼイド』でも声を当てられていましたよね。

瀬戸:声は当てていたんですけど、あれってアフレコじゃなくて。アテレコなんです。違うらしいんです。「アフレコは初めてじゃないや」と思っていたら、「いや、あれはアテレコだから違う」と言われて。自分に声を当てるのはアテレコと教えてもらいました。

――実際にアフレコに挑戦されていかがでしたか?

瀬戸:すごく難しかったです。『仮面ライダーエグゼイド』では叫んでばかりだったので(笑)、まったくの別物でした。やること、考えること何もかもが違いました。本当に不安だったので、収録に入る前に、監督と一緒にレッスンを何度かやらせていただいて、収録に臨ませていただきました。

――お互いの声の印象は?

瀬戸:(松本さんは)とても素敵な、僕好みの澪の声です(笑)。すごく素敵な声だなと思いながら聴いていました。

松本:私は(瀬戸さんと)お会いして普通にお話しているときの声とまた違った印象で、「あ、新の声だな」と最初にビックリしたのを覚えています。

瀬戸:レッスンの成果が出ていたらいいな、と思います。声の高さをいつもの自分が喋っているところより少し低めに意識しました。

――松本さんも、いつもより声が高めかな?と感じました。

松本:最初はたぶん、もっと低い声を出していたと思います。私も事前にリハーサルを監督と2人でやらせていただいて。台本を読むというよりも、立ってお芝居をしながらやってみたんです。そうしていく中で出来た澪の声だったのかな、と思います。

デートのエチュードで事前に役作り!2人の役との共通点とは?

――監督からはどんなディレクションがありましたか?

松本:(感情を)もっと出していい、ということでした。普段のお芝居だとやっぱりナチュラルなほうがいい、とされることがありますが、アニメは表情が実写よりも少なかったりするので、「もっともっと声で表現していい、それで丁度いいくらいなんだ」と言ってくださったので、どんどんやっていく感じが楽しかったですね。

――お互いの演技に影響された部分を教えてください。

松本:お芝居をする相手なので、どのシーンでも影響し合って、瀬戸さんのリズムやテンポだから澪もそのテンポになるというのは、普段のお芝居と変わらないことかなと思いました。

瀬戸:現場入りしたときに、監督から言われてエチュードをやったことは大きかったと思いますね。それがあったから、声だけになっても会話のキャッチボールがしやすかったなと思います。

松本:デートのエチュードみたいなものをやったんです(笑)。

瀬戸:懐かしい(笑)。

松本:ここは美術館です、みたいな設定を作って、監督が館内アナウンスをやってくれて(笑)。「へえ~、キレイだね~」とかを言ってやるんですけど、最終的に「オーロラが見たい」という話のゴールは決められていて。

瀬戸:そこに持っていかなきゃいけないんですけど、僕が初対面で緊張しちゃって……。人見知りもあって、なかなか胸に飛び込んで行けなかったという。でも、そのエチュードがあったからこそ、緊張もだんだん解れてその後しっかり松本さんと一緒にできたかなと思っています。

――劇中でもデートシーンがありますが、エチュードの内容が反映された部分はあるんでしょうか?

瀬戸:それこそ、あのシーンはエチュードでやったことを意識して演じました。

松本:テンポ感はそこからきていると思います。ずっと一緒にいる2人という日常をすごく意識しました。

――お互いから見て演じた役と似ていると感じた部分はありますか?

松本:(瀬戸さんは)すごく真っ直ぐな方なんだな、と感じました。

瀬戸:ありがとうございます(笑)。

松本:何にも染まっていないというか(笑)。

瀬戸:それ褒めてます?

――良いことですよ!

松本:ちゃんと100%で受け止めようとしてくれるところは、きっと新は澪に対してそういう気持ちでいるだろうし、そこはすごく似ているのかなと思いました。

瀬戸:松本さんと澪の似ている部分は、松本さんが声を当てているので当たり前ですけど、どちらの声も素敵。あと友達といるときは、意外と劇中の感じのように崩した感じで会話したりするのかな、と思ったりしました。自然すぎて。

松本:友達といるときはそうですね。

――では、逆にご自身で演じた役と似ていると思う部分は?

瀬戸:真っ直ぐさは似ているとは思うんですけど、女性の幼馴染もいないですし、秘密も持っているわけではないので、似ている部分は少ないかなぁ。想いを伝えるのもちょっと苦手で、僕は奥手の奥手の奥手なので(笑)。そういう部分では似ていないかな、と思います。

松本:私は、自分に自信がないところは似ているかなと思います。学生時代はいろんなことが長続きしない、すぐに諦めてしまうことがよくありました。

――澪の“どうせ報われないから適当に生きていれば楽じゃない?”という感覚は誰もが持っていると思います。お二人は普段、それをどうやって努力のベクトルに向けて頑張ろうとされていますか?

松本:周りの人に影響を受けることがすごくあります。同世代で頑張っている人とか、素敵な人を見て、「あ、今の自分ダメだ」と思ったり。やっぱり周りの人がいないと頑張れていないかもしれないです(笑)。

瀬戸:自分を必要として応援してくれている人が、少なくともいるということで、本当に頑張れています。「SNSの更新やテレビを見て元気を貰えます」と言ってくださる人が1人でも2人でもいる限り頑張りたいなと思いながら、1日1日を頑張っています。

瀬戸利樹にはギーモンのような大切な存在が!「喋りかけたりもします(笑)」

――印象に残っているシーンは?

瀬戸:終盤の澪と新が手を取り合って再会するところは、良いシーンで本当に気に入っています。あそこは気持ちで演じる部分がすごく強くあって。もちろん画に合わせて声を出すものではあるんですけど、気持ちを振り絞って出したシーンです。みなさんにも注目してご覧いただきたいシーンの1つです。

松本:私は岬で会話するシーンです。2人が見つめ合って、澪がごまかす感じとかは“いいな”と思いました。でも、監督が「それもいいけど、これも録ろうか」と何回もこだわって録ったシーンばかりなので、電車の中で3人でいるシーンだったり、なんてことのない日常のシーンまで印象に残っていますね。

――もし、今<世の境>の入口に行ってしまって、忘れ物口で忘れ物を言うとしたら、何を言いますか?

松本:親への普段はちょっと恥ずかしくて言えない感謝の気持ちですかね。親に伝えてます?

瀬戸:僕はわりと結構伝えているほうかなと思います。週に一回くらいは会うので、その時に伝えています。

――へえ!素敵!

松本:素敵ですね。

瀬戸:それこそ本当にいつ何があるかわからないですし、そういうことも考えて伝えるようにはしています。

――それは普通に「ありがとう」と伝えるんですか?

瀬戸:そうですね、帰りがけとかに言うことが多いです。だから、僕は友達かな。仲のいい友達とかには普段あまり気持ちを伝えていないので、感謝を伝えたいと思います。

――澪はぬいぐるみの「ギーモン」を大事にしていますが、ご自身で今、大事にしているものはなんですか?

松本:飼っている犬ですかね。ぬいぐるみとかは持っていないです。

瀬戸:僕はぬいぐるみで持っています。喋りかけたりもします。

――ちなみに、何のぬいぐるみですか?

瀬戸:大きいクマのぬいぐるみを抱き枕にして寝ています。少し恥ずかしい話ですけど、それこそセリフとか、クマの顔を見ながら練習したりします(笑)。

松本穂香の「ジブリ作品に出たい!」願望に瀬戸利樹「当てはまりマックスですね!」

――今後、声のお仕事ができるとしたら、どのような作品に挑戦したいですか?

松本:私はずっと「ジブリ作品に出たい」という想いがあって。『耳をすませば』が一番好きで、映画の中でも一番好きな作品です。

――ジブリ作品、出ていそうです!

瀬戸:声がもう、当てはまりマックスですね。

松本:当てはまりマックス(笑)?

――瀬戸さんは何の作品に出演してみたいですか?

瀬戸:ジブリもいいなと思いましたけど、日本語を話さない、モンスターとかキャラクターの声をやってみたい(笑)。言葉じゃない鳴き声とか、そういうのをやってみたいなと思います。どうやってやるのか気になっちゃう。

松本:すごい難しそうですよね。

――鳴き声の数パターンで感情を表現してください、とかありそうですよね。

瀬戸:自分のバリエーションはなかなかないと思うんですけど、できるなら挑戦させていただきたいと思います。

――では、楽しみにしている方にメッセージをお願いします。

松本:自分の想いを伝えるということはとても大切なことだと私も思うので、瀬戸さんのお話にもありましたけど、いつ何が起こるかわからないという、今もそういった状況なので、この映画を観て、伝えることの大切さなどを感じてもらって、楽しんでいただけたら嬉しいです。

瀬戸:池袋が舞台となっていて、劇中にも実際にある場所がそのまま出てくるので、池袋の良さが存分に出ていると思います。なにより伝えることの大事さ、後悔してもその後の行動や言葉も大事だということが描かれていて、それをこの作品を観て、「後悔していることがあったら、その後の行動が大事だよ」ということもみなさんに伝わったらいいなと思います。

――ありがとうございました!

[撮影:周二郎]

映画『君は彼方』TOHOシネマズ 池袋ほか全国公開中!
<あらすじ>
澪は幼馴染の新の事が気になっているが、気持ちを伝えられず微妙な関係を続けていた。ある日、些細な友人の言葉をきっかけに2人はケンカをしてしまう。澪は何とか仲直りをしようと雨の中を新の元へ向かう途中、交通事故に遭ってしまう。意識を取り戻した澪が目を開けると、そこには不思議な世界が広がっていた。そこで出会ったヘンテコなガイド・ギーモンと謎の女の子・菊ちゃんと共に、澪は新の元に帰るための唯一の手段、思い出の中の“大切な忘れ物”を辿ることとなる。

出演:松本穂香 瀬戸利樹
土屋アンナ 早見沙織 /山寺宏一 大谷育江 /木本武宏(TKO) /小倉唯 仙道敦子
竹中直人 夏木マリ
主題歌:『瞬間ドラマチック』/saji(キングレコード)
監督・脚本・原作:瀬名快伸/制作:デジタルネットワークアニメーション / 企画:CUCURI / 配給:エレファントハウス、ラビットハウス
https://www.kimikana.jp/

(C)「君は彼方」製作委員会

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アニメや可愛いものが大好き。主にOtajoで執筆中。

ウェブサイト: http://otajo.jp/

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