なぜ『鬼滅の刃』は多くの人を魅了する? 登場人物の名言から学ぶ、強い心を手に入れるためのヒント
累計発行部数8000万部超の人気漫画『鬼滅の刃』。現在公開中の映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は、歴代最速で興行収入100億円を突破する空前の大ヒットとなっています。
子どものみならず大人にもファンが多い同作。なぜこれほどまでに多くの人の心を惹きつけるのでしょうか? 藤寺郁光さんの著書『「鬼滅の刃」の折れない心をつくる言葉』では、この理由について「キャラクターたちが持つ自分の弱さと向き合い、葛藤し、それでも立ち上がろうとする”折れない心”にあるのではないでしょうか」と分析。主人公の竈門炭治郎をはじめとするキャラクターたちの名言を紹介しながら、”折れない心”を作るヒントを解き明かしています。
本書は、第一章「感情を動かす」、第二章「自分を信じる」、第三章「あきらめない」、第四章「強くなる」、第五章「仲間を守る」という5つのテーマに沿って展開されます。各章ではそれぞれ7~14個の名言がピックアップされ、どういったシーンで出てきた言葉なのか、どういった点が参考になるのかなどが詳しく解説されています。
たとえば第三章で「大切な人を失った君への言葉」として紹介されているのが、『鬼滅の刃』13話に登場する炭治郎の「失っても失っても生きていくしかないです どんなにうちのめされようと」という言葉です。
行方が分からなくなった婚約者を探す男性と出会った炭治郎は、婚約者をさらった鬼を見つけて倒すものの、すでにその女性は鬼に喰われていたことがわかります。その女性の遺品を鬼から取り戻した炭治郎が、男性に遺品を渡す際に発したのがこの言葉です。同じように家族を鬼に殺された過去を持つ炭治郎だけに、とても重みがあるセリフと言えるでしょう。
本書では「炭治郎は大切な家族を亡くし、深く絶望した過去があります。そのときのこされた自分に何ができるのかを必死に考え抜いたはずです。だからこそ、婚約者を亡くした男性の気持ちに寄り添い、何ができるかを考え、亡くなった婚約者の遺品を探し出して渡すことができたのでしょう。大切な人を失った経験は、誰かを救うことができるのです」(本書より)と、大切な人を失った人だからこそ持てる強さを説いています。
まさにこれは本書のテーマにも通じる、誰かを守るために必要な”折れない心”をもつための鍵であり、『鬼滅の刃』という作品の根底を流れるテーマでもあるのではないでしょうか。
ほかにも、「目標や生きがいがない君への言葉」「結果が出なくて焦っている君への言葉」「大切な人を失った君への言葉」「頼ることが苦手な君への言葉」など、さまざまな境遇の人に向けた名言が収録されているので、自身の状況や悩みに合った箇所から読んでみるのもおすすめです。
今より成長するための自己啓発的な一冊としても、作品への理解を深めるための一冊としても読める本書。皆さんも自分なりの”強い心を持つためのヒント”を、ここから見つけてみてはいかがでしょうか?
(文・鷺ノ宮やよい)
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