「Xbox Series X」レビュー 注目機能の「クイックレジューム」「後方互換」「デバイスによるリモートプレイ」を体験
いよいよ11月10日に発売が迫るマイクロソフトの次世代ゲーム機「Xbox Series X」。マイクロソフトのプレビュープログラムで提供されている実機の使用感をレビュー記事にてご紹介します。発売日以前に使用しているため、最終版とは動作が異なる部分もあることをご了承ください。
開封の模様と外観は、先に公開された記事で紹介しています。
マイクロソフトの次世代ゲーム機「Xbox Series X」開封フォトレビュー 外箱・筐体外観・コントローラーをチェック
https://getnews.jp/archives/2787433
CPUにZen 2、GPUにRDNA 2のAMD製プロセッサ―を搭載し、浮動小数点演算能力で12TFLOPSという性能を実現しているXbox Series X。4Kで最大120FPS、最大8K HDRというグラフィック性能を検証できるモニターは残念ながら手元になく、ここでは複数タイトルのゲームをシームレスに切り替えられる「クイックレジューム」、初代XboxからXbox 360、Xbox Oneまで既存のタイトルに互換性を持つ「後方互換」、スマートフォンやタブレットから本体にインストールしたゲームをプレイできる「リモートプレイ」という注目機能にフォーカスして動作を検証してみました。
同日に発売される「Xbox Series S」は、ストレージ容量、プロセッサ、グラフィックパフォーマンス、光学ドライブの有無を除き、以下で紹介する機能は共通しています。Xbox Series Sの購入を検討している人も参考にしてみてください。
動作インプレッション:高速で静か
注目機能を見ていく前に、本体動作のインプレッションをまとめておきます。本体のXboxボタンを押すと起動。電源モードを「クイック起動」に設定していると、起動時間は2~3秒と高速です。電源をオフにした後の起動でも、スリープから復帰するぐらいの速さで立ち上がります。ホーム画面のユーザーインタフェースはサクサク動作し、まったくストレスはありません。
内蔵SSDにより動作は静かで、大きなファンが回転を始めますがファンの騒音も気になるレベルではありません。
気になる熱ですが、縦置きにすると特徴的な穴が開いた天板から大型ファンにより効率よく排熱され、天板付近がちょっと暖かくなる程度。天板上部をふさがないように開放された場所に設置した方がよさそうです。
横置きにもできますが、棚の中に入れてしまうと排気口付近にかなり熱がこもりそう。天板側が開放されるように設置するとよいのではないでしょうか。
処理負荷が高そうなゲームのプレイ中でも、ファンの音はいたって静か。ゲーミングノートPCの高負荷時と比べれば静かなものです。
複数タイトルですぐ続きから遊べるクイックレジューム
続いて注目機能を見ていきましょう。「Quick Resume(クイックレジューム)」は、本体に内蔵する1TBのNVMe SSDとCPU、ソフトウェアの組み合わせによりスピードとパフォーマンスを向上させる“Xbox Velocity Architecture”により実現した機能。複数のゲームをサクサク切り替えてプレイを再開できます。
具体的には、ゲームをプレイ中にホームボタンを押してホームに戻ると、それまでプレイしていたゲームはプレイ状態を残して待機状態になります。
別のゲームを遊んでから、ホーム画面やホームボタンを押して表示されるゲーム一覧で中断したゲームを選ぶと、タイトル画面やメニューを経由せずに中断した状態からゲームを即再開できます。再開する際は画面に1枚絵のゲームのキービジュアルが表示され、右上に「QUICK RESUME」の文字が表示されます。
中断した状態は本体の電源をオフにしても残っているので、再び電源をオンにしても再開が可能。
発売前のレビュー期間はクイックレジュームに関する調整をしているタイトルが多かったのですが、Xbox Series Xに最適化された「Gears of War」では、プレイを即再開できるクイックレジュームの醍醐味が味わえました。スマートフォン用ゲームではホームをタップしてゲームを中断し、別の作業をしてまた中断したところからゲームを再開する、というプレイスタイルが可能ですが、それに近いイメージ。気分次第でコロコロとゲームを変えて遊びたい人や、毎回タイトル画面とメニューを経由する時間が惜しい、という人には待望の機能なのではないでしょうか。
対応機種の違いを意識させない後方互換
Xbox Series Xの売りは、初代Xbox~Xbox 360~Xbox Oneの膨大なゲーム資産をそのままプレイできる後方互換を実現していること。マイクロソフトはこの検証に50万時間以上のリソースを割いているそうです。
ただ動くだけでなく、起動時間や読み込み時間が高速化されたり、フレームレートの安定、解像度の向上、品質の向上などパフォーマンスの向上が体験できるとのこと。
ちなみに、Xbox Series Xに最適化していない過去のゲームでも、一部タイトルがクイックレジュームに対応している模様。Xbox 360用ゲーム「ALAN WAKE」でクイックレジュームが利用できることが確認できました。
Xbox 360用タイトル、Xbox用タイトルとも起動できることが確認できました。ただし、Xbox Series XではKinectをサポートしないため、Kinect用タイトルのディスクを挿入すると「ここでは遊べません」とエラー表示されてしまいました。逆に言うと、Kinect用タイトル以外はほとんどのタイトルが遊べるわけで、後方互換はXbox Series Xの大きな魅力となっています。
さらに、Xbox Series Xでは“Smart Delivery”と呼ぶ技術により、一度購入したSmart Delivery対応タイトルは世代を超えてXbox Series Xに最適化した最新版を入手することができます。
11月10日の発売時点で、Xbox Series Xに最適化されているタイトルは下記30タイトルです。
Assassin’s Creed Valhalla (Smart Delivery)
Borderlands 3 (Smart Delivery)
Bright Memory 1.0
Cuisine Royale (Smart Delivery)
Dead by Daylight (Xbox Game Pass + Smart Delivery)
Devil May Cry 5: Special Edition
DIRT 5 (Smart Delivery)
Enlisted
Evergate
The Falconeer (Smart Delivery)
Fortnite
Forza Horizon 4 (Xbox Game Pass + Smart Delivery)
Gears 5 (Xbox Game Pass + Smart Delivery)
Gears Tactics (Xbox Game Pass + Smart Delivery)
Grounded (Xbox Game Pass + Smart Delivery)
King Oddball (Smart Delivery)
Maneater (Smart Delivery)
Manifold Garden (Smart Delivery)
NBA 2K21
Observer: System Redux
Ori and the Will of the Wisps (Xbox Game Pass + Smart Delivery)
Planet Coaster (Smart Delivery)
Sea of Thieves (Xbox Game Pass + Smart Delivery)
Tetris Effect: Connected (Xbox Game Pass + Smart Delivery)
The Touryst (Xbox Game Pass + Smart Delivery)
War Thunder (Smart Delivery)
Warhammer: Chaosbane Slayer Edition
Watch Dogs: Legion (Smart Delivery)
WRC 9 FIA World Rally Championship (Smart Delivery)
Yakuza: Like a Dragon (Smart Delivery)
Yes, Your Grace (Smart Delivery)
https://news.xbox.com/en-us/2020/10/15/30-optimized-games-on-xbox-series-x-and-s-on-launch-day/[リンク]
xCloudへの対応も楽しみなリモートプレイ
続いて、リモートプレイの機能を見ていきましょう。こちらは、Android/iOS用の「Xbox」アプリをインストールしたスマートフォンやタブレットといったスマートデバイスから、本体にインストールされたゲームをリモートで遊べるというもの。
Xbox Series Xとスマートデバイスの連携は強く、本体のセットアップ時にもXboxアプリから操作してセットアップを進められます。
本体と接続済みのXboxアプリから、設定後に画面右上のリモートプレイアイコンをタップして「このデバイスでリモート再生」を選択するとアプリが本体のメニュー画面と同期し、インストール済みのゲームがプレイ可能に。
AndroidスマートフォンでもiPadでも、好きなデバイスでリモートプレイが可能になります。クイック起動モードなら本体がスリープ状態でもリモートプレイが起動できるので、本体はリビングに置いたまま別の部屋で遊べるのは魅力。
さらに、マイクロソフトは2021年に日本国内でもクラウドゲーミングサービス「Project xCloud」を展開予定。今のところはAndroidデバイスを使って、後述する「Xbox GamePass」収録タイトルをクラウドベースで遊べるようになります。クラウドゲーミングの使用感を、当面はXbox Series Xのリモートプレイで先取りして楽しんでみてはいかがでしょうか。
Xbox GamePassの加入がオススメ
Xbox Series Xと組み合わせて利用したいのが、100タイトル以上のゲームが遊べるマイクロソフトの定額制ゲームサービス、Xbox GamePass。Xbox Series Xに最適化されたForza Horizon 4、Gears 5、Gears Tacticsといったタイトルが買ったその日にプレイできます。
料金はコンソール版とPC版に分かれたプランより、マルチプレイに必要となるXbox Live Goldのサービスも込みになったULTIMATEのプランがオススメです。
ULTIMATEなら上述のxCloudが2021年に利用可能になるだけでなく、Xbox Series X発売日の11月10日からは、エレクトロニック・アーツの定額ゲームサービス「EA Play」に含まれるゲームがXbox GamePassでも遊べるようになります。さらに、マイクロソフト傘下となるベゼスダ・ソフトワークスのタイトルもXbox GamePassに収録される見込み。初月は100円で試せるので、将来性の面でも加入を検討してみるとよいのではないでしょうか。
以上、Xbox Series Xの使用感をまとめてみました。ハードウェア性能を最大限に生かしたプレイ環境やタイトルは試せていませんが、10万円以上するのが一般的なゲーミングPCより静かで速いゲーミング環境が4万9980円(税別)で手に入るのは驚きです。今回は実際に触れていませんが、設置しやすい本体サイズで2万9980円(税別)のXbox Series Sも魅力的ですよね。いずれもしばらくは入手困難な状況が続きそうですが、店頭で触れる機会があったら是非試してみてください。
Xbox Series X仕様
プロセッサ
CPU:8Xコア@3.8GHz(3.66GHzw/SMT) カスタムZen 2 CPU
GPU:12TFLOPS、[email protected] カスタムRDNA 2 GPS
SOCダイサイズ:360.45mm
プロセス:7nm Enhancedメモリとストレージ
メモリ:16GB GDDR6 バスサイズ 320 ビット
メモリ帯域幅:10GB@560GB/s、6GB@336GB/s
内蔵ストレージ:1TB カスタム NVME SSD
I/O スループット:2.4 GB/s (Raw)、4.8 GB/s(圧縮、カスタム ハードウェア圧縮解除ブロック付き)
拡張可能なストレージ:Xbox Series X|Sの1TB Seagate 拡張カードのサポートは、内部ストレージと完全に一致します(別売)。USB 3.1 外付けHDD(別売)のサポート。ビデオ機能
ゲームの解像度:真の4K
ハイダイナミックレンジ:最高8K HDR
光学ドライブ:4K UHD ブルーレイ
パフォーマンス目標:最大 120 FPS
HDMI機能:自動低待機時間モード。HDMI 可変リフレッシュレート。AMD FreeSync。オーディオ機能
Dolby Digital 5.1
DTS 5.1
Atmos を搭載したDolby TrueHD
最大 7.1 L-PCMポートと接続性
HDMI:HDMI2.1ポート×1
USB:USB3.1 Gen 1 ポート×3
ワイヤレス機能:802.11Ac デュアルバンド
イーサネット:802.3 10/100/1000
アクセサリ ラジオ:専用のデュアルバンド Xbox ワイヤレス ラジオ。デザイン
本体サイズ:15.1 cm × 15.1 cm × 30.1 cm
重量:4,45 kg (9.8 lbs)
宮原俊介(エグゼクティブマネージャー) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。2010年3月~2019年11月まで2代目編集長、2019年12月~2024年3月に編集主幹を務め現職。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます
ウェブサイト: http://mogera.jp/
TwitterID: shnskm
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