青い海が見たくなったら東北へ!青の洞窟&龍泉洞の青の世界にうっとり
こんにちは。写真家の大村祐里子です。ここのところ、家で過ごす時間が長かったせいか「海が見たい」と思うようになりました。そこで、列車で行ける岩手県宮古市まで、海を見に行ってみることにしました! カメラも新しくしたので、写真を撮るのも楽しみです。
東京駅
山田線で山深い秘境を旅する
JR東京駅発の東北新幹線に乗車し、約2時間かけてJR盛岡駅へ。盛岡駅に降り立つと、東京よりもひんやりと涼しい!
同駅で、盛岡駅からJR宮古駅を結ぶ山田線に乗り換えます。今回は「さんりくトレイン宮古」という2両編成の臨時快速列車に乗車しました。オレンジと黄色と緑のカラーリングがポップな「さんりくトレイン宮古」は、全席指定席なので駅の窓口で乗車券のほかに指定席券を購入する必要があります。指定席の予約はネットでも可能です。
乗り込むと、車内が明るくきれいで驚きました。前方には風景や観光案内を放映している車内モニターまで。これは……快適な旅になること、間違いありません!
車両を探索していると、先頭に「展望室」があるのを発見しました。眺望用の腰掛やソファーが設置されており、それに座りながら、まるで運転手さんになったような気分で外の様子を眺めることができます。
私はここが大変気に入ってしまい、子供のように窓に張り付いて、山深い秘境を進む車窓の風景を眺め続けました。雨が降っていたのですが、ガラスについた水滴も、それを拭うワイパーの軌跡も、すべてがたまらなく美しかったです。
いつの間にか列車は山間を抜け、開けた場所を走っていました。2時間10分ほどの乗車時間を経て、宮古駅に到着です。
宮古駅
三陸屈指の景勝地「浄土ヶ浜」へ
宮古駅からバスに乗り換え、15分ほどで浄土ヶ浜ビジターセンター停留所に着きます。停留所前にあるエレベーターで浜へ降り、ウッドデッキを3分ほど歩くと「浄土ヶ浜マリンハウス」が見えます。
浄土ヶ浜ビジターセンター停留所横からの眺め。思わず「海だー!」と叫んでしまいました。
ただ、この日はあいにくの高波。本当は、浄土ヶ浜マリンハウスから「さっぱ船(小型船)」に乗り、「青の洞窟」との異名をとる八戸穴を観光したかったのですが、終日欠航。
さっぱ船に乗れなかったのは残念でしたが、浄土ヶ浜を散策してみることにしました。海に沿って歩道が舗装されており、散歩できるようになっています。青色をした水面を覗き込むと、波が立っていても海底が確認できるほど透明でした。それを見て心も一緒に澄みわたっていくような気持ちになりました。きれいな海には人の心を鎮める作用がありますね。
浜にはたくさんのウミネコが集まって、じっと海を見つめていました。
「浄土ヶ浜」という地名は、天和年間(1681年〜1683年)に、宮古山常安寺七世の霊鏡竜湖が、「さながら極楽浄土のごとし」と感嘆したことから名付けられたと言われているそうです。たしかに、海の中に、松が生い茂った白くて鋭い岩肌が林立している光景は、自分の住む世界と地続きだとは信じられませんでした。小雨もあいまって、一層この世のものとは思えぬ雰囲気を醸し出していました。
晴れている日には一体どんな光景を目にできるのか知りたくなりました。もう一度訪れたいです!
浄土ヶ浜パークホテル
三陸海岸の絶景と海の幸を堪能
徒歩で約10分、本日の宿である「浄土ヶ浜パークホテル」へ向かいます。
素晴らしい眺望のお部屋で少し休憩してから、お待ちかねの夕食です! 夕食はビュッフェスタイルになっていて、岩手三陸の大自然の恵みが生んだ、海の幸・山の幸を存分に味わえます。
お料理を取るときは、新型コロナウイルス感染症対策として、マスクと手袋を着用。
目の前でシェフが腕をふるう「ライブキッチン」では握り寿司も!
続けて、宮古市のご当地グルメである「瓶ドン」(別途注文)もいただいてみました。瓶ドンとは、宮古の旬の食材を牛乳瓶に入れ、それをご飯にかけていただく体験型のご当地丼のことです。岩手県沿岸では、獲れたてのウニを新鮮に保つため、牛乳瓶に詰めて保存するそうですが、瓶ドンはそのスタイルからヒントを得て考案されたものだそうです。
高級感と可愛らしさが共存する「瓶ドン」のビジュアル!
この日の瓶ドンの中身は、いくらの醤油漬け、ホタテ、あわび、めかぶ。ホテルの方が「ウニご飯の上に載せると美味しいですよ」と教えてくださったので、光の速さでビュッフェからウニご飯を調達してきました。高鳴る胸をおさえながら、瓶の中身をご飯の上に載せます。
ここまで贅沢な食べ物があっていいのですか? と唸ってしまうほどの存在が誕生してしまいました。ひとくち口に運ぶと、いくらのプチプチ感としょっぱさ、あわびの歯ごたえ、ホタテの甘み、めかぶのぬめり、そしてウニご飯のやさしい味が一気に広がって、天に召されそうになりました。多幸感、という単語の意味を私はこのとき初めて知りました。
食後は、宿の方おすすめのライブラリーラウンジへ。暖色のあかりがあたたかく心地よいラウンジで、宮古にゆかりのある本を眺めながらゆったりとリラックスして過ごしました。
浄土ヶ浜パークホテル
レトロな三陸鉄道リアス線でタイムスリップ
次の日は夜明けとともに起床し、空が濃い青色に染まる時間帯に露天風呂へ。赤松越しに太平洋を臨む絶好のロケーション。貸し切り状態のお風呂を心ゆくまで堪能させていただきました。ああ、幸せ。
朝食は再びビュッフェ。朝食でも、豊かな海の恵みをいただきます。
海鮮丼をつくれるコーナーがあったので、欲望の赴くままに具材を盛りつけました。朝からこんなにリッチな食事をいただけることに全力で感謝しました。
8時30分発のホテル送迎バスに乗り、宮古駅に向かいます。さらに宮古駅から三陸鉄道リアス線に乗り込み34分、岩泉小本駅を目指します。
三陸鉄道リアス線は、岩手県の三陸海岸沿いを走るローカル線です。いくつか車両のバリエーションがあるそうですが、今回乗車したのは36-R形式という、昭和初期の優等車両をイメージしたものだそうです。
昭和初期にタイムスリップしてしまったのではないかと錯覚するような、クラシカルで素敵なデザインの車内は居心地が抜群でした。
トンネルに入ると途端に暗くなり、シャンデリア風のあたたかい光がぼんやりと浮かび上がって雰囲気が変わります。それもまたドラマチックでした。列車に乗って、トンネルに入るのが楽しみだと思ったのは人生初かもしれません。
龍泉洞
日本三大鍾乳洞のひとつで青の世界を堪能
岩泉小本駅の目の前からバスに乗り、26分ほど揺られると龍泉洞前バス停に着きます。バス停の目の前が「龍泉洞」の入り口。
龍泉洞は日本三大鍾乳洞のひとつで、いまなお調査が続けられている洞窟の全長はなんと5,000m以上と推定されているようです。その中で、観光コースとして700mほどが一般公開されています。入り口で検温と手指の消毒をしてから、洞内へ。
洞内は10度前後。持ってきたカーディガンをはおらなければ間違いなく凍えていました。ピチョン……ピチョン……という水が垂れる音と、自分の呼吸音だけが聞こえてくるような、どこまでも静寂に満ちた空間でした。
鍾乳洞特有の、溶け出しているような形の岩を眺めながら進んでいきます。
洞内はさまざまな色にライトアップされていて、とにかくミステリアスな雰囲気。
「月宮殿」と呼ばれる、抜けるような高さの天井が広がる空間。
最大のみどころは、ドラゴンブルーと称される深い青色をした地底湖です。観光コース内には、第一、第二、第三、と3つの地底湖があります。恐ろしいほどに澄んだ水面を眺めていると、気を抜くとフッと吸い込まれてしまいそうで……手すりを握る指に思わず力が入りました。遥かなる時の流れがつくりだした神秘的な美に、ただただ圧倒されました。
水深38mの第二地底湖。その静謐さには、言葉が出ませんでした。
現在、龍泉洞は、来場者同士の接触を避けるため一方通行となっています。ゆっくり歩いても40分ほどで、洞内を見学できます。
盛岡
お土産を買って帰路に
龍泉洞前バス停から2時間13分ほどバスに乗車し、盛岡駅へ。駅構内にあるセレクトショップ「東北めぐり いろといろ盛岡店」で、お土産を購入。迷いましたが、美味しそうで、パッケージも可愛いジュース、大野農園ジュースの「りんご」と「なし×りんごブレンド」を選びました。
今回は、お気に入りのカメラを片手に、落ち着いた青い世界の中で大好きな列車や海をマイペースに堪能できました。窮屈な生活から一時的にぱっと解放されて、心がゆるゆるとほぐれていくのを感じました。岩手の青さが、私の心の曇りを洗い流してくれたようです。お天気の良い日にまた同じコースを巡ってみたいです。
東京駅
掲載情報は2020年10月29日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
関連記事リンク(外部サイト)
IGRいわて銀河鉄道でめぐる、麺料理づくしの岩手旅。焼きうどん、冷麺も
福島の酒造めぐり&お座トロ展望列車を日本酒マニアが旅してみた
冬の松島は幸せに満ち溢れていた。絶景とごちそうを求め男ひとり旅へ
郷愁あふれるザ・ローカル線。「由利高原鉄道」でノスタルジックな秋田旅
ポケモンマンホールふた、縮めて「ポケふた」。15箇所制覇・宮城編!
旅するメディア「びゅうたび」は、ライターが現地を取材し、どんな旅をしたのかをモデルコースとともにお届け。個性たっぷりのライター陣が、独自の視点で書く新鮮な情報を、臨場感たっぷりにご紹介します。
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。