米国の麻薬合法化は麻薬カルテルを貧乏にする
今回はuncorrelatedさんのブログ『ニュースの社会科学的な裏側』からご寄稿いただきました。
米国の麻薬合法化は麻薬カルテルを貧乏にする
米国のコロラド州、ワシントン州、オレゴン州で嗜好用マリファナ合法化法案に関する住民投票が行われ、コロラドとワシントンで賛成多数で可決された(CNN*1)。
*1 : 「米コロラドなど2州、大麻合法化の住民投票可決 嗜好用として初」 2012年11月08日 『CNN.co.jp』
http://www.cnn.co.jp/usa/35024218.html
まだ米司法省麻薬取締局は連邦法では違法だと主張しているので、憲法裁判所が連邦と州が管轄権を争う事になるのかもしれないが、大手をふって吸えるわけでは無い。
しかし、ライト・ドラッグの合法化の流れが加速していることが分かる。その理由の一つが、マリファナがギャングの資金源になっている事だ。
メキシコ大学のGerardo Esquival教授のメキシコ紹介のパワポ資料の一部をコピペしてみよう。メキシコから米国にマリファナを輸出することが、いかに儲かるビジネスか分かるはずだ。
北米の麻薬価格(USD/Kg)
メキシコ 米国 カナダ
マリファナ 卸価格 80 2,000 5,935
小売価格 - 10,400 12,000
コカイン 卸価格 12,500 28,500 38,761
小売価格 - 97,400 89,000
ヘロイン 卸価格 35,000 71,200 119,341
小売価格 - 131,000 331,000
合法化して内外価格差を無くせば、北米一帯のギャングは資金源が枯渇して縮小する。中毒性が強く、身体的に悪影響が強いコカインとヘロインは幸いにして内外価格差がそうはない。
麻薬カルテルは年に60億ドル以上の収入を得ていると考えられ、米国の一州が合法化するだけでも、その利益の30%を減らすことができると言われている(Mail Online*2)。
*2 : 「Legalizing marijuana in just ONE U.S. state could cut Mexican drug cartel profits by 30%, claims study」 2012年11月2日 『Mail Online』
http://www.dailymail.co.uk/news/article-2226610/Mexican-study-claims-legalizing-marijuana-just-ONE-U-S-state-cut-drug-cartel-profits-30.html
ドラッグの中でもマリファナ依存度がかなり高いと見込まれるので、もっと減るかも知れない。
マリファナ合法化は膨大な取締コストを削減する上に税収が見込まれる*3だけでは無く、反社会的な組織の資金源を枯渇させる意味もあるわけだ。
健康面での問題は少ないと思われており、今は危惧されていた他の薬物へエスカレートをもたらすと言うゲートウェイ効果*4も限定的だと考えられている。
ただし、統合失調症を引き起こしうると言う話もあるし(Mail Online*5)、以下の動画を見たら、合法化に不安になるかも知れない。
*3 : 「大麻は合法化すべき!?米国でマリファナを合法化すると得られるメリット」 2010年8月21日 『ニュースの社会科学的な裏側』
http://www.anlyznews.com/2010/08/blog-post_21.html
*4 : 「失業した若者は、マリファナから薬物乱用を悪化させる」 2010年9月4日 『ニュースの社会科学的な裏側』
http://www.anlyznews.com/2010/09/blog-post_5958.html
*5 : 「How cannabis can trigger schizophrenia」 『Mail Online』
http://www.dailymail.co.uk/health/article-126056/How-cannabis-trigger-schizophrenia.html
マリファナの焼却処分のレポート中に、煙を吸い込んでおかしくなり、1分10秒ぐらいから立っていられなくなっている。
執筆: この記事はuncorrelatedさんのブログ『ニュースの社会科学的な裏側』からご寄稿いただきました。
ガジェット通信はデジタルガジェット情報・ライフスタイル提案等を提供するウェブ媒体です。シリアスさを排除し、ジョークを交えながら肩の力を抜いて楽しんでいただけるやわらかニュースサイトを目指しています。 こちらのアカウントから記事の寄稿依頼をさせていただいております。
TwitterID: getnews_kiko
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。