金沢のアートスポットめぐり!旅をして思い出をZINEにしてみよう
フォトグラファーのもなみんです。
今回は、加賀藩前田家の拠点として栄えた城下町であり、美術工芸も発展してきた都市、石川県金沢市へ。美術館めぐりなどを中心に「センスを磨く旅」をしてきました。これまでも金沢を訪れたことはありましたが、今回初めてアートを中心に観光することで、理解が深まりました。
また、今回の旅をまとめた「ZINE(ジン) *」を作成したので記事の最後でご紹介します。
*編集部注:「ZINE」とは、個人が趣味などをテーマに制作した冊子のこと。写真やイラスト、文章を自由にまとめたもので、最近は雑誌や作品集のように凝ったものも多い。
東京駅
北陸新幹線で歴史とアートの街・金沢へ
JR東京駅からJR金沢駅へは、北陸新幹線「かがやき」で約2時間30分。2015年に長野〜金沢間が開業し、東京から新幹線一本で行ける魅力的な旅先になっています。
1日目のテーマは「金沢の歴史・伝統をめぐる」です。
金沢百番街
金沢らしい食材「麩(ふ)」を味わう
まずは駅構内の金沢百番街にある「カフェ 加賀麩不室屋」でランチを。2020年6月にリニューアルオープンした「あんと」の一角にあります。新幹線を降りて、すぐアクセスできるのがうれしい。
「〔金沢名物〕じぶ煮膳」を注文。
じぶ煮は、麩や鶏肉、野菜を出汁や調味料で煮て小麦粉でとろみをつけたもの。
じぶ煮に入っている麩は、その形から「すだれ麩」と呼ばれ、出汁の上品な味がしっかりと染み込んでいてジューシーでした。野菜やお肉も入っているのでしっかりとボリュームがあります。
「じぶ煮膳」に付いてくる汁物は、おすましや加賀みそ、赤だしなど7種類の中から好きなものを選べます。汁物にもお花の形をした可愛いお麩が入っていました。
食事も楽しめますが、特にスイーツは人気があるそうです。看板メニューの「くるま麩のフレンチトースト」はお昼ごはんとして注文する人も多いとのこと。
メープルシロップがかけられ、ふわふわの卵液を閉じ込めたくるま麩のフレンチトースト。麩ならではのふわりつるりとした食感があってとても美味しい。しっとりとした味わいで、添えられた生クリームや豆乳アイスと共にいただくとまた別格です。
金沢中央観光案内所
バスで10分!香林坊エリアへ
金沢駅からバスに乗って、金沢を代表する観光エリアのひとつ、香林坊方面へ向かいます。東口から出ている城下まち金沢周遊バスに7分ほど揺られ、「南町・尾山神社」で下車してから徒歩3分ほどで「金沢中央観光案内所」に到着。
総合的な観光案内や手荷物預かり、バスチケットの購入などに利用できる施設。スタッフが常駐しているカウンターで各サービスを利用したり、観光に関する情報を尋ねたりすることができます。イスや無料Wi-Fiもあり休憩スペースとして利用することも可能です。
入口にはアルコール消毒液が設置されていたり、カウンターにはアクリル板が設置されていたりと、新型コロナウイルス感染症対策もされていて安心でした。
尾山神社
歴史ある神社でひと呼吸
金沢中央観光案内所と交差点を挟んだ向かい側、徒歩3分程度にある「尾山神社」。加賀藩主・前田利家公とその正室・お松の方を祀った由緒ある神社です。和・漢・洋の様式が融合した造りが印象的で、人気の観光スポットとのこと。
鳥居をくぐり、正面の階段を上って境内に入ります。階段を上ったところに現れるのは、国の重要文化財にも指定されている「神門」。最上層にはめこまれたカラフルなギヤマン(*)ステンドグラスがとても可愛くて思わずシャッターを切りました。ちなみに、避雷針は日本最古のものだそう。
神門をくぐり抜けて後ろを振り返ると、ギヤマンがちょうど太陽の下に位置していてまた綺麗でした。
*編集部注:ガラス製品・細工物のこと
境内は広々としており、繁華街の近くであることを忘れてしまうほど。緑いっぱいでリラックスできる雰囲気です。近江町市場や香林坊エリアなどにも近いので、観光の途中で立ち寄るのにぴったりだなと思いました。
境内の右奥の通路を進むと、道を挟んだ向かい側の金沢城公園との間に架けられた「鼠多門・鼠多門橋」につながります。
現在の鼠多門橋は、明治10年に老朽化のため撤去された木橋が復元され、2020年7月に完成しました。文字通り、金沢城の鼠多門に続いています。こちらが完成したおかげで、尾山神社から金沢城公園へは下の車道にわざわざ下りず、橋を渡ってのアクセスが可能になりました。
金沢の景観に合ったこの橋を渡ると、尾山神社から金沢城まで歴史と風情を感じることができました。
1日目の旅の最後は、香林坊・長町エリアの「長町武家屋敷跡界隈」へ向かいます。鼠多門から徒歩で約10分です。
江戸時代に武家が暮らしていた屋敷の土塀や石畳が残るエリア。落ち着いた空気が流れていて、金沢の歴史を感じられます。街並みが美しいだけでなく、ところどころにカフェやレストラン、伝統工芸・九谷焼のお店が並んでいるので街歩きが楽しかったです。
金沢東急ホテル
観光エリアからアクセス抜群のホテル
今回のお宿は「金沢東急ホテル」。長町武家屋敷跡界隈からは徒歩約8分で、金沢の中心地・香林坊にあるのが便利。
エントランスではスタッフさんが出迎えてくれ、ロビーまで案内してくれました。エスカレーターで上がった2階のフロントでチェックインを済ませます。親切に対応していただき、スムーズに手続きすることができました。
今回宿泊した部屋は11階。金沢の街を一望でき、景色を楽しむことができました。部屋も清潔感があり、快適に過ごせました。
2日目はホテルの朝食からスタート。
和食か洋食から選ぶことができ、私は洋食を選択。新型コロナウイルス感染症対策のため、ビュッフェ形式ではなくスタッフさんからサーブされる形式でした。卵料理やパンだけでなく、サラダやグリル野菜、フルーツなども付いており、しっかりと朝ごはんを食べることができました。
金沢21世紀美術館
金沢の現代アートを味わう
2日目のテーマは、「金沢のアートに触れる」。
まずは、「金沢21世紀美術館」に向かいます。金沢東急ホテルからは徒歩10分ほど。
入口では自動で検温(サーモグラフィーによる計測)され、アルコール消毒が設置されていました。
「金沢21世紀美術館」は2004年、金沢大学附属中学校・小学校・幼稚園があった場所に建てられました。
美術館内は、チケットを購入して入る有料エリアだけでなく、「交流ゾーン」という無料エリアが開放されています。交流ゾーンは、「まちのようなにぎわいを絶やさないように」という想いから設けらたのだそう。
今回はチケットの必要な「展覧会ゾーン」で、恒久展示作品を見ました。
屋上に設置されていて、館内の一角から見上げると見える作品です。こちらは無料エリアからも観覧可能です。
続いて、「緑の橋」。大きな壁面が、金沢の気候に適した100種類の植物で覆われています。
人気の高い、レアンドロ・エルリッヒの「スイミング・プール」(2004年)は、取材時は新型コロナウイルス感染症の影響で観覧が中止されていましたが、8月から人数制限を設けながら再開しているそうです。
次に期間限定展の「内藤礼 うつしあう創造」を観覧。
風や水、光を感じるシンプルな空間で、空間と対話しながら「創造」と向き合う作品。余白が大きい分、人それぞれの解釈ができるアートだと思いました。
石川県立美術館
現代アートの後は、金沢の伝統に触れる
現代アートに魅了された後は、徒歩約8分の「石川県立美術館」へ。
こちらも入口にアルコール消毒が設置されていたり、チケットカウンターでスタッフとの間がアクリル板で仕切られていたりと、新型コロナウイルス感染症対策がしっかりされていました。
先ほどの現代アートがメインだった金沢21世紀美術館とは対称的で、こちらは金沢の伝統的な工芸品や美術作品を所蔵する美術館。
国宝の「色絵雉香炉(いろえきじこうろ)」はほぼ実物大のキジ。羽毛が赤、紺、緑などの色彩で描かれていて、とても綺麗でした。この展示室では、写真撮影をすることも可能です。
ほかにも、石川県の伝統・九谷焼の重要文化財「色絵梅花図平水指(いろえばいかずひらみずさし)」などが展示されており、特徴的な色使いや技法を見て学ぶことができました。
金沢駅
銘菓をお土産に買って帰路へ
旅の最後に、金沢駅でお土産を買いました。
選んだのは江戸時代から続く老舗和菓子屋「松葉屋」の栗むし羊羹、看板商品「月よみ山路」(750円税込)。中に栗が入っていて、切った断面が月のようでとても綺麗。羊羹と栗の違った食感が楽しめる和菓子です。甘さ控えめで、栗の素材の味がする上品な口当たりでした。
古都の面影を残す金沢で、美術や工芸に触れる2日間を過ごしました。
単に観光地として訪れるだけでなく、不室屋で食文化を体験したり、尾山神社や長町武家屋敷跡で地域の歴史を感じながらめぐったり、美術館でアートへの理解を深めたりしながら、センスを磨く旅となりました。
さらに、2020年10月には東京国立近代美術館工芸館が金沢に移転し、国立工芸館としてオープン予定なので、より旅の楽しみ方が広がりそうです。
自宅
思い出を形に。ZINEを作成しよう
旅の記録を形にしたいと思い、ZINEを作成しました。
今回は、写真とイラストを雑誌風のレイアウトにまとめて印刷し、ノートに貼り付けました。1日目と2日目のページを見開きで分けました。普段、写真はデータとして残すだけだったので、このように紙で手元に残すと特別なものになった気がします。
掲載情報は2020年9月23日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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