風流な雰囲気のことば「月夜に提灯」、その意味はなに?
風流な響きを持つ言葉「月夜に提灯」には、どのような意味があるかご存じでしょうか?
この言葉は必要ないものや役に立たないものの例えとして使われることばです。
いい雰囲気を醸し出している言葉ですが、意外と辛らつな言葉のようです。
ではなぜ、不要なものという意味で使われるのか、そのいわれなどを解説します。
「月夜に提灯」とは
ここではまず、「月夜に提灯」の意味や成り立ちについてご紹介します。
「月夜に提灯」の意味
月夜に提灯は、必要ないものや役に立たないものの例えとして使われることばです。
あっても邪魔になるものという意味で使われます。
そこから転じて、過度な贅沢や無用な奢りに対して使われることがあります。
「月夜に提灯」のいわれ
必要ないものや役立たないものの例えの「月夜に提灯」。
この言葉は、どのような経緯から生まれたとされるのかを解説します。
明るい月夜に提灯に火を灯して歩いていても、役に立ちません。
便利などころか逆に無駄になってしまします。
この様子から生まれた言葉とされています。
ニュアンスとしては、不要なものというより、あることでかえって邪魔になってしまうものなどに使われることが多いです。
「月夜に提灯」と似た意味の言葉
「月夜に提灯」には似た意味を持つ言葉もあります。
ここからは同様な意味のある熟語をご紹介します。
夏炉冬扇・冬扇夏炉
「夏炉冬扇」もしくは「冬扇夏炉」は、季節外れで役に立たない物事の例えとして使われる言葉です。
夏の囲炉裏で暖をとることはないですし、冬に団扇で涼むなんてことはよほどのことが無いと無いですよね。
このことから役に立たない物事の例えとして用いられる四字熟語です。
単に必要ないものというよりは時期外れというニュアンスを含んだ言葉となっています。
無用の長物
「無用の長物」とは、あっても役立つどころか逆に邪魔になってしまうものの例えで使われる言葉です。
刀など「長いもの」を意味すると勘違いしている方も多いかもしれませんが、ここでの長物とは「超えるもの」という意味があります。
身の丈に合っていないことをする人に使われることがあります。
これは長物が度を超えるような状況を表す言葉だからです。
「月夜に提灯」に関する豆知識
「月夜に提灯」には後ろに他の言葉が続くことがあります。
また、対義語も「月夜に提灯」から始まる言葉だったりします。
そこでここでは、月夜に提灯の豆知識も併せてご紹介します。
後ろに続く言葉がある
月夜に提灯という言葉は、実はこれ単体ではありません。
その後ろには「夏火鉢」が付き「月夜に提灯夏火鉢」となります。
暑い夏、炭を入れて部屋や体を温める火鉢を使う事はまずありません。
という事は夏に火鉢を出しても邪魔になるだけという事になります。
「月夜に提灯」同様、「夏火鉢」もまた不要なものという事です。
熟語としては「夏火鉢」まででは長いことと、意味が被っていることから縮められ、月夜に提灯と表現されます。
対義語も「月夜に提灯」
「月夜に提灯」、その対義語も月夜に提灯となってしまいます。
ただし対義語の場合、後ろに続く言葉があります。
「も外聞」が付いて「月夜に提灯も外聞」となります。
不要なことでも世間体があるのでしなければならないということを意味します。
また、見栄を張るためには不要なことも必要という意味で使われることもあります。
「昼の提灯」ではない
「昼の提灯」という表現すると間違いになります。
「昼行燈」や「昼の行灯」という言葉がありますので、混合してしまうかもしれません。
ではなぜ間違いとなるのか、それは提灯と行灯は使用される目的に違いがあるからです。
提灯には懐中電灯と同等の役割があります。
また、店先や門前に設置する、看板などのような役目があります。
つまり屋外での使用を目的とした道具です。
それに対して「行燈・行灯」は夜間の屋内用光源です。
両者には屋内用か屋外用か
目的に違いがあります。
そのため、「昼の提灯」と表現するのは間違いという事になります。
まとめ
「月夜に提灯」は風流を感じさせる言葉です。
しかし実際のところは、必要ないものや役立たないものを意味しまいますので、風情のある言葉ではありません。
同じような意味を持つ言葉として、「夏炉冬扇・冬扇夏炉」、「無用の長物」などもあります。
また、「昼の提灯」と表現するのは間違いになるのでご注意ください。
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