意外と知らない!?蚊帳とはどのような道具?使い方をご紹介
蚊帳は、かつて夏の夜を快適に寝るために使われた道具です。しかし近代になって姿を消し、使い方も知らない方の方が多くなりました。近年、冷房病対策や節電の意識の高まりから、蚊帳が見直されています。蚊帳の使い方をはじめくわしくご紹介します。
蚊帳って何?どのように使う?
蚊帳は夏の夜を快適に過ごすために、なくてはならない道具でした。蚊をはじめとした虫を寄せ付けず、安眠を約束してくれたのです。
そんな蚊帳も網戸やクーラーの普及で姿を消しましたが、防犯を考えれば網戸だけで寝るのは危険であり、クーラーは冷房病が問題化してきています。そのため再び注目されるようになったのが蚊帳です。
しかし、蚊帳の使い方はすでに忘れられたものになっています。せっかく蚊帳を用意しても使い方がわからないままでは困りものです。本記事では蚊帳がどのような道具なのか、使い方はどうしたらよいのかをご紹介します。
蚊帳とはどのような道具?素材は?
蚊帳とは蚊や小さい虫が入ってこれないように張る布のことです。虫が入ってこれない程度に、それでいて風通しが良い程度に粗めに織ってあります。使い方は寝室の天井や柱に釘などの金具を取り付け、紐などで垂らして寝室を覆い虫を防除する、環境にも優しい道具です。
蚊帳の素材は麻や絹から始まって、時代を経るごとに木綿や和紙なども使われてきました。現在ではナイロンなどの化学繊維も主流です。素材ごとの特徴をまとめると以下のようになります。
本麻
麻100%でできており、最も涼しいとされる素材です。価格も最も高く、洗濯はできません。
片麻
麻にレーヨンや綿も使って作られた素材です。麻が入っているため、本麻ほどではありませんが涼しく、価格もかなり手ごろになっています。こちらも洗濯はできません。
ナイロン
ナイロン100%で作られた丈夫で長持ちする素材です。麻と比較すると暑い難点がありますが、商品によっては洗濯することができます。
綿
綿100%で作られた素材です。一番軽い利点がありますが耐久性が弱く、麻と比較するとやや暑い難点があります。洗濯はできません。
蚊帳の歴史
蚊帳は紀元前6世紀の中東で誕生したといわれています。その後、中国を経由して日本に伝わりました。奈良時代には中国から技術者が渡来し、絹や木綿などを使って「奈良蚊帳」が作られるようになったのです。
その後、室町時代になると近江(現在の滋賀県)八幡の商人が麻で蚊帳づくりを始めました。これらの蚊帳は「八幡蚊帳」や「近江蚊帳」として流通しましたが、戦国時代に入っても「米にして2~3石分の高級品」だったのです。
そんな蚊帳が庶民にも流通し始めたのは江戸時代になってからでした。近江八幡の17件の蚊帳屋が互助会のような組織を作ったことをきっかけに、徐々に麻の蚊帳が広まっていったのです。
近代に入り1970年代までは日本のほとんどの家庭にあった蚊帳は、扇風機やエアコンの普及とともに姿を消していきました。
しかし、近年になって虫よけスプレーが苦手な人や冷房病にかかりやすい人、節電などの意識の変化から、蚊帳は再び注目されはじめました。蚊帳の形状も昔ながらの物以外にも、ベッド用や赤ちゃん用の小型のものなど、様々な種類が売られています。
蚊帳の使い方(吊り方)
蚊帳の使い方は、その蚊帳の形状を確認することから始まります。昔ながらの蚊帳や、ベッド用の蚊帳のように大きいタイプの物は、吊るための金具を取扱説明書を確認してから、柱や天井に取り付けてください。金具は蚊帳の重さに耐えられるものを用意することも忘れてはいけません。
金具を取り付けたら、蚊帳についている吊り手を金具に引っ掛けて吊り上げます。このとき蚊が蚊帳の中に入れないように、生地の裾がしっかりと床につくように吊り下げましょう。15~20cm程度たるませて吊るのがおすすめです。吊る順番は4隅から吊り下げていき、中央のフックは後にするとバランスよく吊るすことができます。
使い方が簡単な方がよいという方には、ワンタッチで開閉できる蚊帳もあります。赤ちゃん用だけでなく大人が使えるタイプもあるため、使い方が簡単なだけでなく、場所を選ばないのも利点です。
蚊帳の収納方法
蚊帳は使い方は簡単ですが、「収納はちょっと大変そう」と思われるかもしれません。使っている最中は、片面にすべてのフックをかけてたたんでおきましょう。ワンタッチ式の物はそのまま折りたたみ、直射日光の当たらない涼しくて風通しのよい場所で保管します。
蚊の季節がすぎたら今度はキチンとたたんで収納しましょう。ワンタッチ式の蚊帳は使い方同様に収納も簡単です。ホコリやゴミなどを落としたら、汚れた部分は硬く絞った布で軽くたたき、汚れを落として乾燥させます。キレイにまとめたら、高温多湿と直射日光を避けて保管しましょう。
吊り下げ式の蚊帳は、メーカーにもよりますが片面にまとめたあと、フックを外しておろしてから裾をしっかりとそろえ、後は取扱説明書にそってたたみます。ワンタッチ式同様にホコリやゴミ、汚れなども落としてからたたむようにしましょう。
蚊帳に切れ目やほころびなどの傷んでいる部分があったら、修理を頼むか翌年は買い替えるか検討する必要があります。メーカーに問い合わせて、かかるコストで決めるとよいでしょう。
おわりに
蚊帳は使い方次第でエアコンよりも快適に過ごせるアイテムです。蚊を気にすることなく寝ることができ、節電することもできます。この夏は日本伝統の蚊帳を使って、快適に過ごしてみてはいかがでしょうか?きっと静かな時間を満喫できることでしょう。
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